上 下
30 / 35

第三十話 あること

しおりを挟む
 
 久しぶりの投稿になります。お待たせして申し訳ございませんでした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「えぇ!? 俺を生徒会にスカウトしたい!?」
「はい。その方がメンバー集めもしやすいかなと思いまして」
「た、確かにそうだけど……」

 でもいきなり生徒会という上部組織にこんな新参者が立ち入っていいのか?

 確かにクラスも学年も違うし、会おうと思っても中々機会もないから悪い提案ではないと思うが。

「で、でも俺はまだこの学園に入ってから数日ですよ? そんな人間が生徒会に入ってもいいですか? それにこの学園の選抜システムって確か投票制ですよね?」
「そうです。基本的に生徒会役員は年に一度の総生徒役会で行われる全学年一斉投票によって決まります。ですが、例外もありまして……」
「例外?」
「はい。実は生徒会役員の選定には投票制の他にもう一つ、推薦制があるのです」

 そう、生徒会役員になるには全生徒による支持を一定数集める投票制の他に現生徒会役員による推薦を受けることで認定される推薦制の二種類がある。

 今回フィアットが提案してきたのは後者。
 推薦制を利用したスカウトだった。

「私には一応、生徒会長として新たな生徒会役員を選定できる権限があります。もしユーリ様がよろしいとおっしゃられるのでしたら……」
「投票なしで入れるってことですか?」
「はい」

 マジか。こりゃえらいことになったな。
 
 しかも本来、一学年というのは学年上生徒会役員に入ることはできない。
 でもフィアットが一言言えばそんな制約は簡単に崩れ去る。

(ジンの言っていたことは本当だったんだな……)

「どうなさいますか? 無理にとは言いませんが……」
「う、う~ん……」

 どうしよう。でもこれはある意味チャンスなのかもしれない。
 
 俺の目的はより多くの人脈を作ること。

 そのためには学園のこともより知っておく必要がある。

 それも生徒会という後ろ盾があればより効率よく人の輪を広げることができるだろう。

 人というものは権力を持つ人間の周りに集るものだ。
 別にそれを理由にして――というわけではないが、今後の学園生活がやりやすくなるのは確実だろう。

 それに、ジンの話によれば生徒会に入ると色々な恩恵があるらしいし。

「……分かった、検討しよう。できれば詳しい話を聞かせてはくれないか?」

 一応即答するのは控えてワンクッション置くことに。
 もしかしたらとんでもない落とし穴があったりするかもしれないしね。

(まぁ……フィアットを信用していないというわけではないのだが……)

 いくら親しい間柄でもこういう時は人を疑う目も必要である。

 これはカトレアからの助言だ。

「それなら、今日の放課後、生徒会室でいかがでしょうか? 詳しくお話致します」

 フィアットからの提案。
 特に放課後には予定は入っていないので了承することに。

「では、放課後に生徒会室で」
「ああ、分かった」

 フィアットはその場で一礼すると、自分の教室へと去っていく。

「生徒会かぁ……何だか入学早々えらいことになったなぁ」

 俺はそう思いながらも、再び後ろを振り向き、教室内へと戻った。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

処理中です...