159 / 160
159.デジャヴ
しおりを挟むお久しぶりです。
長らく更新が滞ってしまい、申し訳ございませんでした。
活動報告でもお話した通り、今日は新作告知もありますので、是非後書きまで読んでいただけますと嬉しいです!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「な、なんだこれ……」
「これは……」
水路から地上に出た俺たちは、ギルドに向かっていた。
そこで俺たちは大通りに布陣を取る王国兵の一行を目にしていた。
「あれって、王国の騎士なのか?」
「ええ。しかもかなりの重装備です」
「王国も臨戦態勢を整えてきたってわけか」
詳しい状況は分からない。
だが、もう引き返せないところまで来ているのだろう。
戦争は確実に起こる。
これはどうやら決定事項のようだ。
「早くギルドに向かいましょう。今は状況がどうなっているか知りたいです」
「ああ、そうだな」
俺たちは足早にギルドに向かう。
下手な混乱を招かないようにできる限り、王国兵には見つからないように動いた。
そして、なんとかギルドまでたどり着いた。
「閉鎖……」
「ま、そうだよな」
ギルドは完全に閉鎖されていた。
ギルド前には数人の護衛兵が身構えており、近づこうにも近づけない。
「どうする、ソフィア?」
「わたしが行きます。前回のように理由をしっかりといえば通してくれるはずです」
確かに前はそれで通ることは出来た。
まぁあの時は通してくれたというよりかは王女権限での強行突破みたいな感じだったけど。
「なら俺も行こう。万が一ってこともあるしな」
「ありがとうございます、ランス」
「では私は周囲の警戒をしておきます」
「お願いします、アリシアさん」
というわけで。
俺とソフィアは物陰から出ると、ギルドの前にゆっくりと近づく。
向こうも俺たちを視認したようで、声を張り上げてきた。
「何者だ! お前ら!」
「わたしです」
そう言いながら、ソフィアはフードを取った。
その顔を見た途端、兵たちの表情が変わる。
「あ、貴女は……」
「そ、ソフィア様! ご無事でいらしたのですね!」
兵の一人が声を荒げる。
その必死さから彼女の失踪はもう広まっているみたいだった。
まぁ当然と言えば当然だが。
「ソフィア様、今王国は……」
「分かっています。なのでここを通してもらえませんか?」
「ぎ、ギルドに何かご用が?」
「はい。わたしはドロイドギルドマスターに話をするためにここへ来ました。生憎急ぎなので面会状はありませんが、許可を願えませんか?」
丁寧な言い回しを許可をお願いするソフィア。
雰囲気的にはいけそう……そう思ったが。
「も、申し訳ありませんソフィア様。現在、ドロイド様は会議中でして誰であってもここを通すなと命じられているのです」
「それがたとえ王族であっても……ですか?」
「……はい。申し訳ございません」
力なく頷く兵士。
言われたことを忠実に守っているので、彼が悪いわけじゃない。
でも……
「なら、言い方を変えましょう」
「は、はい?」
ソフィアの表情と声色が変わる。
それは以前にもあったやり取り。
これは前回と同じように……
「グリーズ王国第一王女の名において命じます。ここを通しなさい。これはお願いではありません、命令と受け取ってください」
前と同様に兵たちに権力という名の圧力をかけていく。
流石の兵たちもその言葉に動揺し始めていた。
「で、ですがソフィア殿下。現在ギルドは閉鎖中でして、我々はギルドマスターのご命令には逆らうことはできないのです」
それでも兵士は退かない。
命令を徹底されているのだろう。
正直、その忠誠心は流石としか言いようがない。
「どうしても……無理なのですか?」
「も、申し訳ございません!」
勢いのある謝罪だ。
これはどうも難しいらしい。
前回のように強行突破は無理そうだな。
「……今回はそうはいきませんか」
小声でボソッと呟くソフィア。
すると。
「で、殿下!?」
背後から聞いたことのある声が聞こえてくる。
ゴッツイ身体にゴッツイ鎧を身に纏った巨漢。
その巨漢はヘルムを取ると、見覚えのある顔が目に入ってきた。
「あ、アルバートさん!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本話もお読みいただきありがとうございました!
前書きでもお伝えしましたが新作『完全無欠の脳筋令嬢~脳筋思考で婚約破棄、弱い男は要りません!~』を投稿致しました。
下記にリンクを貼っておきますので是非読んでみてください!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/466415534/850835283
1
お気に入りに追加
1,555
あなたにおすすめの小説

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)
屯神 焔
ファンタジー
魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』
この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。
そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。
それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。
しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。
正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。
そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。
スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。
迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。
父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。
一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。
そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。
毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。
そんなある日。
『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』
「・・・・・・え?」
祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。
「祠が消えた?」
彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。
「ま、いっか。」
この日から、彼の生活は一変する。

知らない異世界を生き抜く方法
明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。
なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。
そんな状況で生き抜く方法は?

独裁王国を追放された鍛冶師、実は《鍛冶女神》の加護持ちで、いきなり《超伝説級》武具フル装備で冒険者デビューする。あと魔素が濃い超重力な鉱脈で
ハーーナ殿下
ファンタジー
鍛冶師ハルクは幼い時から、道具作りが好きな青年。だが独裁的な国王によって、不本意な戦争武器ばかり作らされてきた。
そんなある日、ハルクは国王によって国外追放されてしまう。自分の力不足をなげきつつ、生きていくために隣の小国で冒険者になる。だが多くの冒険者が「生産職のクセに冒険者とか、馬鹿か!」と嘲笑してきた。
しかし人々は知らなかった。実はハルクが地上でただ一人《鍛冶女神の加護》を有することを。彼が真心込めて作り出す道具と武具は地味だが、全て《超伝説級》に仕上がる秘密を。それを知らずに追放した独裁王国は衰退していく。
これはモノ作りが好きな純粋な青年が、色んな人たちを助けて認められ、《超伝説級》武具道具で活躍していく物語である。「えっ…聖剣? いえ、これは普通の短剣ですが、どうかしましたか?」

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる