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150.張り巡らせた罠2
しおりを挟む「こ、これは……!」
「オートメーション・トラップ。しかもこれは……転移か?」
「転移……? うっ……!」
魔法陣起動と共に光が俺たちを包み込んでいく。
その光は視界一杯に広がると、俺たちはいつの間にか気を失ってしまった。
♦
「……っ」
目を覚ますと見慣れない空が目に移る。
どうやら相手の思惑通り、どこかに転移させられたみたいだ。
「ソフィア……?」
ガバッと起き上がると、すぐにソフィアの安否を確認。
ソフィアは隣でまだ気を失ったままだった。
「ふぅ、何ともないみたいだな」
あの魔法は単に俺たちはここへと転移させただけだったということか。
でも、一体誰が……
「ん、んん……」
ソフィアが目を覚ました。
「あれ、ここは……?」
「大丈夫か、ソフィア?」
「わたしなら大丈夫です。ちょっと気を失ってしまっていただけなので。それよりも、屋敷のみんなはどうなったんでしょうか? 無事だといいのですが……」
「そう思いたいが、何かしらの手は加わっているだろうな」
「そんな……」
「でもまだ最悪の事態になっていると決まったわけじゃない。俺たちをわざわざこんなところに呼んだのも、何か理由があるはずだからな」
転移された先はどこかの森の中のようだった。
しかしよくよく見たら、この光景には見覚えがあった。
「あの、もしかしてここって……」
「ああ。俺も今ピンと来た」
ここは森の中なんかではない。
木々の隙間から見える遊具が俺たちの記憶を遡らさせた。
「都内公園……」
「そのようだな」
俺たちは立ち上がると、木々の隙間を縫うように進み、広場へと出る。
予想通り、ここはいつかの都内公園だった。
前来た時は確か夜だったな。
あの時はイリアから逃げた先がここだったっけ。
「でもなんでここに――ん?」
その時。
途端に広場全体を覆うように結界が張られる。
この形状は恐らく人払いの結界だ。
途端に謎の霧が、広場を覆い尽くした。
「結界?」
「そろそろお出ましみたいだな。ソフィア、戦闘態勢を整えておけ」
「は、はい!」
完全に外界と遮断したということは、何か仕掛けてくるのは間違いない。
俺たちは背中合わせになり、霧による死角を無くしながら相手の出方を待つ。
すると、
「たった数人でアジトの一部を突き止めたみたいね。しかも壊滅までさせちゃうなんて……ホント、相変わらず規格外なことするコンビなんだから」
風に乗って聞こえてくる人の声。
だがその声は、俺たちにとっては聞き覚えのあるものだった。
「おい、嘘だろ。その声……」
「まさか……」
「あぁ……まだ姿も見せていないのに分かっちゃうんだ。流石だね」
ツカツカと徐々に向かってくる足音。
霧で視界不良の中、一方向から黒い影が見えてくる。
その影は近づいてくるにつれ、大きくなっていく。
だがそのシルエットだけで、俺たちはもう悟っていた。
「どうして……どうしてこんなことを。……イリア!」
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