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103.書庫
しおりを挟む「えーっと、帝国魔法師団に関する書物は……」
俺とソフィアは今、屋敷内にある書庫にいる。
あれから、イリアの刻印分析が始まった。
邪魔になるといけないので、俺たちは部屋を出てからしばらくリビングにいたが、落ち着かないので出来る限りの情報を集めることにした。
書庫に足を運んだのはそのためだ。
「見つかりましたか?」
「いや……」
「こんなに多いと、見つけるのに一苦労ですね……」
「だな」
俺たちはある情報を得るために奮闘していた。
それはあの刻印の出自に関することだ。
イリア曰く、あの刻印は人工術式とのこと。
そしてその術式を作ったのは聖十字魔法師団だという皇帝の私営魔導士団らしい。
なのでその情報源をもとに探ればあるいは……と思ったので、帝国魔法師団に関する書物を漁っている。
「にしても、イリアにあんな特技があったなんてな」
「ホントですね。何もできないというのが心苦しいですけど……」
「仕方ないさ。でもこれで次に繋がる情報が手に入ればいいのだが……」
ソフィアの言う通り、端から人頼みというのはあまりいい気分ではないが、こればっかりは仕方ない。
今こうして書庫にいるのも、彼女の頑張りに少しでも報いるためだしな。
「あっ、見つけましたよランス! ちょっとこっちに来てください!」
と、突然ソフィアから発見報告が。
すぐさまソフィアの方に行くと、帝国組織に関する分厚い書物が彼女に手にあった。
「お、ナイスソフィア! これは期待できそうだな!」
本の厚さからしてかなりの情報が詰まってそうだ。
「早速見てみましょう! 向こうにテーブルが置いてあるので」
「おう!」
そんなわけで。
俺たちは書庫の奥にあるリーディングスペースでその書物を見ることに。
屋敷の書庫は屋敷内でも奥の方にあり、広さはリビングよりもある。
書庫とは言っても、書棚で埋め尽くされるというわけではない。
きっちりと書棚で密集している部分と、本を読むためのスペースで分割されている。
ちなみにソフィアは公務とかがない暇な時間はここで小説を読むことが多いらしい。
俺たちは一つのテーブルに隣り合わせで座ると、書物を開く。
「えーっと、聖十字魔法師団……聖十字魔法師団……」
「あっ、ありましたよ! そのページの下部の方です」
「お、ホントだ」
書庫で探して数十分。
ようやくその情報源に辿り着くことができた。
「えーっとなになに……帝国第一私営魔法大隊所属の『聖十字魔法師団』は古くより帝直属の私営魔法部隊として仕えてきた。主な任務は諜報、要人護衛、工作活動など幅広い。しかし中でも当部隊が得意とするのが――」
ここまで読み、その先の文章へと目線をもっていったその時だ。
俺たちはとんでもない情報を目にすることになった。
「ら、ランス……これって」
「あ、ああ……これはつまり、そういうことだよな?」
その先に書いてあったのは、聖十字魔法師団という組織の役割だった。
その役割とは……
「要人暗殺……殺しのスペシャリストってことか」
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