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86.マスタールームへ
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ソフィアのおかげで何とか騎士たちの防衛網を突破することができ、沢山の護衛に囲まれながら、俺たちはとある部屋に案内された。
とある部屋、というのは言わずもがなマスタールームだ。
そこで例の三人が緊急会議をしているらしい。
「やっぱ、何度来てもスゴイな。ここは……」
今日で人生三度目のマスタールーム。
やはりここに立つとそれなりの緊張感が溢れ出てくる。
そもそも一般人が出入りできるようなところじゃないからな。
「へぇ……ここがギルマスの居城というわけね」
「居城って……」
「わたしも初めて来ました。なんかもう入り口から違いますね……」
王女であるソフィアですらもここには入ったことないらしい。
それを聞くと、俺みたいな一般ピーポーがもう二度もこの領域に入っていることは、相当なことなんだなということを再認識させられる。
俺たちは扉の前で一度止まる。
そして護衛騎士が二回ノックを叩くと、扉前で声を張り上げた。
「アルバート様、レイム様、ドロイド様。ソフィア第一王女殿下がお見えになられました」
「……入りたまえ」
この声はアルバートさんの声だ。
事前に話を通してくれていたのか、すんなりと中に入ることができた。
中に入るとアルバートさんとレイムさんが隣同士で、その向かい側にドロイドさんがテーブルを囲んで座っていた。
「ソフィア殿下!」
「殿下!」
「ソフィア様!」
ソフィアを見るなり、三人はすぐに彼女の前に出て膝を立てる。
その姿はまさに権力者と従者の構図そのもの。
こういう場面を見ると、改めてソフィアが一国の王女なんだなということを再確認する。
普段のように生活していると、忘れることがあるからな。
彼女がこの国のプリンセスだということに。
「面を上げてください、皆さん。それよりも、何があったんですか?」
三人は顔を上げるなり、顔を険しくさせる。
その面々を見るだけで、事の深刻さは十二分に伝わってきた。
「殿下、その前に一つお聞きしたいのですが……」
「何でしょうか?」
口を開いたのはアルバートさんだった。
アルバートさんは姿勢はそのままに、
「殿下、無礼を承知でお聞き致します。今回はここに何用でお越しになられたのですか?」
アルバートさんは俺たちの方をチラリと見ながらソフィアにそう言う。
やはりこんな大勢でここに来たのに不審ではなくとも、何か感じるものがあったのだろう。
ソフィアはアルバートさんの質問にすぐに答えた。
「わたしたちもギルドマスターさんに伝えなければいけないことがあるからです。この王都、いえ……この国の存亡に関わることを……」
「この国の存亡……?」
その言葉に三人とも顔を顰めた。
当然の反応である。
すると今度は、
「アルバートたちも何か大事なことを伝えにきたみたいね。ギルドを閉鎖してまでということはよほどのことが……?」
ソフィアが質問する側に。
アルバートさんはソフィアの質問に小さく頷くと、
「え、ええ。実は我々の方でも事件が発生していまして。現在、王城内が軽くパニック状態に……」
瞬間。
張り詰めた空気が一気にこの場を支配する。
俺たち外野はひたすら口を閉じ、二人のやり取りを見守っていた。
だが何だろう。
このなんとも嫌な予感は……
三人ともいつもと様子が違った。
「王城で……何があったの?」
「……」
恐る恐るアルバートさんに問うソフィア。
アルバートさんは再び無言で下を向いてしまう。
普段のこの人なら絶対にそんな対応はしない。
面と向かって事実を述べるはずだ。
でも今回は違った。
もちろん彼だけじゃない。
レイムさんも、ドロイドさんも。
「ねぇ、何があったのアルバート!」
中々答えないアルバートさんについ声が出てしまうソフィア。
ソフィアもいつもと違う彼らに何かを予感したのか、いつもは見せないような一面を前面に出していた。
当然だ。
まだ付き合いがそこまで長くない俺ですら分かったのだから。
この変化にソフィアが気づかないはずがない。
すると。
アルバートさんはスッと一瞬だけ目を瞑り、再び開眼させる。
そして覚悟を決めたような表情へと切り替わると、アルバートさんに静かに口を開いた。
「……実は昨日、王城内でフォルト国王陛下が何者かに、撃たれました」
とある部屋、というのは言わずもがなマスタールームだ。
そこで例の三人が緊急会議をしているらしい。
「やっぱ、何度来てもスゴイな。ここは……」
今日で人生三度目のマスタールーム。
やはりここに立つとそれなりの緊張感が溢れ出てくる。
そもそも一般人が出入りできるようなところじゃないからな。
「へぇ……ここがギルマスの居城というわけね」
「居城って……」
「わたしも初めて来ました。なんかもう入り口から違いますね……」
王女であるソフィアですらもここには入ったことないらしい。
それを聞くと、俺みたいな一般ピーポーがもう二度もこの領域に入っていることは、相当なことなんだなということを再認識させられる。
俺たちは扉の前で一度止まる。
そして護衛騎士が二回ノックを叩くと、扉前で声を張り上げた。
「アルバート様、レイム様、ドロイド様。ソフィア第一王女殿下がお見えになられました」
「……入りたまえ」
この声はアルバートさんの声だ。
事前に話を通してくれていたのか、すんなりと中に入ることができた。
中に入るとアルバートさんとレイムさんが隣同士で、その向かい側にドロイドさんがテーブルを囲んで座っていた。
「ソフィア殿下!」
「殿下!」
「ソフィア様!」
ソフィアを見るなり、三人はすぐに彼女の前に出て膝を立てる。
その姿はまさに権力者と従者の構図そのもの。
こういう場面を見ると、改めてソフィアが一国の王女なんだなということを再確認する。
普段のように生活していると、忘れることがあるからな。
彼女がこの国のプリンセスだということに。
「面を上げてください、皆さん。それよりも、何があったんですか?」
三人は顔を上げるなり、顔を険しくさせる。
その面々を見るだけで、事の深刻さは十二分に伝わってきた。
「殿下、その前に一つお聞きしたいのですが……」
「何でしょうか?」
口を開いたのはアルバートさんだった。
アルバートさんは姿勢はそのままに、
「殿下、無礼を承知でお聞き致します。今回はここに何用でお越しになられたのですか?」
アルバートさんは俺たちの方をチラリと見ながらソフィアにそう言う。
やはりこんな大勢でここに来たのに不審ではなくとも、何か感じるものがあったのだろう。
ソフィアはアルバートさんの質問にすぐに答えた。
「わたしたちもギルドマスターさんに伝えなければいけないことがあるからです。この王都、いえ……この国の存亡に関わることを……」
「この国の存亡……?」
その言葉に三人とも顔を顰めた。
当然の反応である。
すると今度は、
「アルバートたちも何か大事なことを伝えにきたみたいね。ギルドを閉鎖してまでということはよほどのことが……?」
ソフィアが質問する側に。
アルバートさんはソフィアの質問に小さく頷くと、
「え、ええ。実は我々の方でも事件が発生していまして。現在、王城内が軽くパニック状態に……」
瞬間。
張り詰めた空気が一気にこの場を支配する。
俺たち外野はひたすら口を閉じ、二人のやり取りを見守っていた。
だが何だろう。
このなんとも嫌な予感は……
三人ともいつもと様子が違った。
「王城で……何があったの?」
「……」
恐る恐るアルバートさんに問うソフィア。
アルバートさんは再び無言で下を向いてしまう。
普段のこの人なら絶対にそんな対応はしない。
面と向かって事実を述べるはずだ。
でも今回は違った。
もちろん彼だけじゃない。
レイムさんも、ドロイドさんも。
「ねぇ、何があったのアルバート!」
中々答えないアルバートさんについ声が出てしまうソフィア。
ソフィアもいつもと違う彼らに何かを予感したのか、いつもは見せないような一面を前面に出していた。
当然だ。
まだ付き合いがそこまで長くない俺ですら分かったのだから。
この変化にソフィアが気づかないはずがない。
すると。
アルバートさんはスッと一瞬だけ目を瞑り、再び開眼させる。
そして覚悟を決めたような表情へと切り替わると、アルバートさんに静かに口を開いた。
「……実は昨日、王城内でフォルト国王陛下が何者かに、撃たれました」
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