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73.調査?
しおりを挟む「二人とも~こっちこっち!」
イリアに引っ張られ、連れていかれる俺とソフィア。
そして同じ班となったリベルが後から付いてくる。
「ここだよ!」
イリアがその場所を指さす。
その目的地の周りには結構な人だかりができていた。
「ここは?」
「最近王都に新しく出来たって噂のカフェだよ。なんか変わったスイーツが売られているみたいでずっと気になってたの!」
「あ、わたしもそれ聞いたことあります。今すごい人気だって」
「へぇ~……」
どうやらソフィアもカフェことを間接的に存じていた模様。
現にその店からは入り口から数十メートルくらい先まで長蛇の列ができていた。
ちなみに俺は流行とかにそこまで敏感な方ではないので、カフェが出来たことすら知らなかった。
「……入りたいのか?」
俺がイリアにそう聞くと、目を輝かせながら首をブンブン振る。
「とは言ってもなぁ……俺たちは遊びに王都まで来たんじゃないんだぞ?」
俺たちが今しているのはあくまで事件の調査。
決して遊びで王都を回っているわけじゃない。
ドロイドさんはいつも通り過ごしてくれとは言っていたけど、それなりの線引きは必要だと思う。
「それに店の中に入ったら、調査ができないじゃないか」
「まぁまぁ、そうお堅いこと言わないの。ドロイドさんだって言ってたじゃない。カフェにいってもショッピングしてもいいって」
「だ、だがなぁ……」
「いいんじゃないんですか、ランス。調査と言ってもあくまで自然に……とのことでしたので」
「そ、ソフィアまで……」
「僕もいいと思うよ。今日はまぁ……半分遊びみたいなものだから」
「そ、そうですかね……」
リベルもソフィアも賛成派な様子。
あと半分遊びってリベルさん……
(それでいいのか……? もっとこう……危機感を持った方が……)
「それにランス。調査ならここでもできるわよ」
「なに? どういう感じでだ?」
まさかこのカフェに入ることで知れる情報があるということか?
確かにこれだけ人がいれば一つくらい有益な情報が――
「何故、このカフェがこんなに繁盛しているのか……それが分かるわ!」
「……全く関係ねぇーじゃんか、それ」
店でも開くつもりか、この子は。
個人的にイリアはもっと危機感を持った方が良いと思う。
朝の件とか、特に。
「いや、もしかしたらこういう人が集まるところにあえて拠点を構えているかもしれないじゃないの。ここの店主が実は例の誘拐事件の黒幕だったり……」
「んなわけあるか!」
次々と膨らむイリアの妄想に深い溜息が出てしまう。
まぁでも、冷静に考えてみれば可能性はゼロとも言いきれないな。
イリアの言う通り、結構意外なところにアジトを構えている可能性も無きにしも非ず。
特に沢山の人で溢れる王都で身を隠すには相当卓越した潜伏技術が必要だ。
割と多頻度で犯行が行われているようだから、王都に潜んでいるのはだけは間違いない。
と、なるとこういうところを調べてみるのも一つの手……かもしれないな。
「分かった。そこまで言うなら入ろう」
「ホント!? やったぁ~~~!」
「じゃあ早速並びましょ!」
子どものようにはしゃぐイリア。
ソフィアも気になっていたのか、いつの間にかノリノリになっていた。
二人は楽しそうにお喋りしながら、列の後ろの方へ走っていく。
「ははは。ランスくんのパーティーは賑やかでいいね」
「賑やかすぎて困ることもありますけどね……」
たまに俺一人じゃ歯止めが効かない時があるし。
此処だけの話、リベルさんが同じ調査班で良かったと思っている。
「ランス~早く早く!」
「今行く!」
声を少し張り上げ、返事をする。
(ホント、賑やかすぎるくらいだよ……)
まぁ……毎日が楽しいことには変わりはないんだけどね。
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