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第4章 おっさん、祭りに参加する

第79.5話 3年A組

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 アロナード総合魔術学園、3年A組。
 彼らの実力はもう周りの生徒とは別格だと思っていたほうが良い。
 
 此処、アロナード学園では毎年学年末の時期に次の学年のクラスの振り分け。いわゆる組分試験セパレートが行われる。

 基本、1クラス30人前後で編成されるのだが3年A組だけは特別だ。何せ、3年進級と同時にA組に入れるものはたったの10人。それもかなりの条件つきだ。

 A組に入ったものは学園内での待遇がガラリと変わる。1年、2年のA組は他のクラスとはそこまで大差はないものの3年のA組は校舎ですら違うとのことだ。

 なので学園生はその姿を見たことが魔技祭以外では滅多になく、ましては交流を持つことなんてあり得なかった。もちろん、毎年毎年生徒は変わるのでどんな奴がいるのかということも全て謎に包まれている。担任講師が存在しないというのも3年A組の大きな特徴と言えるだろう。

 そして……これらのことを踏まえて学園生から付けられた異名が『神剣十傑レヴィア
 かつてこの世界を命運を握った10本の神剣から持ってきた異名だ。今では大衆的な童話として語り継がれている。

 そして魔技祭まで1週間とちょっとになったこの日。彼らの間でとある会議が行われようとしていた。



「……ではこれより円卓会議を執行する。議題はもちろん、今度の魔技祭についてだ」

 この男はA組、またの名を神剣十傑レヴィアのリーダー兼生徒会長のルーカス・アルモンド。

 生徒会長というのは名ばかりで彼は滅多に人前に立ったりはしない。なのでこの学園には生徒会長は実質上、いないということになっている。

 またそういうことをするのは全てB組所属の副会長が全てを受け持っており、彼の立ち位置はいわゆる偶像上の生徒会長、もっと言えば物神のような存在だ。

「で、ポーン。マルク先生はもう来ているのか?」
「はい。もうこちらに向かっているとのことです」
「ふっ、そうか。ならそれまでの間にやることは一つしかないな」

 円卓を囲むには10人の選ばれし者たち。皆共通している点としてはルーカス以外黒いローブを羽織っていることだ。
 姿を見られてはいけない、それが彼ら神剣十傑の掟であり、学園からの盟約でもある。

 すると、ここで一人の女性メンバーが口を開く。

「ねぇルーカス。例の一件についてはどうなったの?」
「順調だ。王国も随分とコキ使ってくれる。あんなくだらない祭りのために我々が出陣しなければならないとは」
「でも、その代わりに我々にはそれ相応の報酬を与えてもらっている。カネ稼ぎのために使われると言う点では腑に落ちませんがね」
「ま、全ては俺たちの野望のためだ。神剣さえ手に入れば我々の権力は絶対のものとなる。なぜかつての先輩方がこのような絶対的力を有効的に使わなかったのか理解できない」
「まったくですね。今やその方々も王国軍が誇る使い勝手のいい玩具おもちゃ……アロナードの生徒としては実に惨めですわ」
「ああ。だからこそ俺たちの代ではっきりとさせるのだ」
「ひっひっひ、楽しみだなぁ……」
「小生も尽力させてもらう」

 十傑たちが一同にして話し始める。
 そして彼らは声を揃え、


「「「「「全ては自分たちの私欲のために尽くす王国を……潰すために」」」」」


 邪気とも呼べる不穏な力が部屋全体に漂い始める。その力は人と言う概念を超越し、新たな人類の進化を匂わせるものといってもいいくらいであった。
 
 そしてこの時、彼らが裏で何かを働かせようとしていることなど王国軍を始め、学園のものですら認知するものはいなかったのである。
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