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第1章 おっさん、魔術講師になる
第1話 英雄から引きこもりへ
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俺は天才である。
生まれた時から魔術に才があり、両親を驚かせたのを覚えている。
魔術には複雑な定式があり、発動するためには一つ一つ解読をしていく必要がある。
実際に行えばとてつもなく時間のかかる重作業だ。
だが前世の魔術師たちはこれに苦を覚え、複雑な定式を一瞬にして簡略化することのできる技術を生み出した。
それがスペル、いわゆる呪文である。
決められた呪文を発して詠唱することで複雑な定式を容易く解読することができ、魔術を発動させることができるわけだ。
これは歴史上、魔術革命と呼ばれ、人々は自らの利益のために魔術を行使した争いを行うようになった。
沢山の人間が赤い血を流し、魔術によって人間は醜い生き物と化した。
そして現世。今のキャスターは当たり前のように呪文を詠唱し、魔術を発動させている。
キャスターというのはもはや一種の職業となっていた。
そしてなぜ俺が天才なのかというと……
「まさか……SSSSSランク……じゃと……」
俺は学園に入学して初の魔術査定を受けた。
結果はSSSSSランク。当時6の歳の頃だ。
「な、何かの間違いでしょう。もう一回査定してみては?」
「そ、そうじゃな。アーク・シュテルクストくん、もう1回魔術を行使してはくれんかのお」
「あ、はい」
俺は黙って何も詠唱することなく高位魔術≪ヘルマグナム≫を放つ。
かなり手加減はしたが、査定場を軽く焼野原にする。
「そんなバカな……高位魔術を詠唱なしで……」
どんだけやっても査定結果はSが5つ並ぶ。
「歴代でもSSSランクが最高だというのに。しかもこんな幼い年齢で……」
あまりの破格さに教師陣は唖然。
だが、俺からすれば詠唱なしで魔術を発動させるなど朝飯前だった。
俺はすぐさま学園で有名人となった。何万年に一度の天才として毎日のように祭り上げられる始末。
人との関わりが苦手だった俺には苦痛でしかなかった。
元々人付き合いが苦手であったため学園に入学すること自体不満であったのだが、両親の凄まじい押しに負けて入ることになってしまった。
学園は高等部まで存在したが、とあるきっかけによって初等部卒業と同時に学園を去った。
なぜかというと、とある組織に入らないかと誘いを受けたからだ。
その組織とは……。
「ようこそ神聖魔術団へ。君を7人目の仲間として迎えよう」
神聖魔術団。いわゆる神魔団は元々6人からなるキャスターズギルド。
数百年の歳月をかけ復活した魔王を倒すべく、世界中から人材を集めたキャスターの精鋭たちだ。
俺の魔術の才能に目を光らせ、団長直々にスカウトしてきたわけだ。
「君の噂はよく聞いている。前代未聞のSSSSSランクキャスターであるとね」
「そうですか」
彼の名はプリュー・アンドレス。神魔団団長にしてこの世界で最強のキャスターと言われた男だ。
プリューという名を聞けば、分からない者はいない。それくらい有名なキャスターに声をかけられたわけだ。
「当時、SSSランクだった俺と比べると確かに破格の才だ。神魔団に入ってくれたことを光栄に思うよ」
「はぁ……」
実際の所、俺は神魔団にもプリュー団長にも全く興味がなかった。
名前だけ知ってはいたが憧れがあるわけでもなかった。
ただ今の学園生活が自分にとって心地よくない場所であったがために入団することを決意したのだ。
「とりあえずまずは此処に慣れてもらうために色々と覚えてもらう」
と、まぁこんな感じで俺は12の歳に神魔団に入った。もちろん団の中では最年少である。
月日が流れるのは早いもので気が付けば16の歳になっていた。
「アーク! いけるか?」
「大丈夫っす」
「お前がいると頼もしい。魔王は頼んだぞ!」
「ういーす」
俺たちは魔王との最終決戦に臨んでいた。
「はっはっは! 貴様一人が俺の相手をするのか?」
「そうだが。なにか不満でも?」
「ふん、命知らずな奴め。自分が死ぬことも理解できぬとは」
「さぁ……そりゃあやってみないと分からないんじゃない?」
「そうか……ならばここが貴様の墓場となる。覚悟するんだな」
「うん、分かった分かった。じゃあ始めようか」
決着。俺は最高位魔術≪エンシェント・レイ≫を放った。
「ぬあっっ!? バカな……人間ごときが伝説の最高位魔術を発動できるわけが……」
「勝敗は決した。安らかに眠れ」
「ぐあああああああああああああ!」
こうして再び魔王は封印され、長きに渡った魔王討伐に終止符が打たれた。
「アーク! 生きてるか!?」
「あ、だんちょー。終わりましたよ」
「そうか。ふっ……やはりお前は破格のキャスターだな」
俺はこの日、魔王を討伐したことにより若くして英雄となった。
沢山の人々に祝福を受け、アーク・シュテルクストの名を世界中に響かせた。
だが、俺は人付き合いが苦手な男だ。これは何年経っても克服することはなかった。
どこを歩いても英雄としての肩書に苦悩する日々が続いた。
そして俺は決心する。
「アーク・シュテルクストの名を捨てて引きこもろう」
アーク・シュテルクストは死んだ。原因は病死。
このニュースはすぐに人から人へ、国から国へと流れ渡った。
そしてこの俺、アーク・シュテルクストは団のメンバーの協力もあって人のいる世界から姿を消したのである。
姿を消して十数年という時が経った。
35歳となった俺は未だ引きこもりの生活を続けていた。
「ねぇアーク、本当にこのままでいいの?」
「おい、俺をその名で呼ぶのはやめろ。レイナード・アーバンクルスと呼べ」
「わ、分かったわよ……」
彼女は神聖魔術団の一人、フィーネ・アロナード。
俺、プリュー団長に次ぐ神魔団のナンバー3だ。
「このまま引きこもりニート生活を続けていると本当に死ぬわよ」
「うるさいな。俺は一生こうやって生きることを決めたんだ」
「最近は団も金銭面で苦しんでいるのよ? それなのに……」
「悪いな、俺は働く気はさらさらない。というか外界にはでない」
「外界って……はぁ……」
深い溜息をつくフィーネ。だがここである名案を思い付く。
「ねぇ、あー……じゃなくてレイナード?」
「今度はなんだ?」
「学園の先生を……」
「断る!」
俺はフィーネの話を聞く前に否定で遮る。
言いたいことは言われなくても分かる。
学園の教師として働かないかということだろう。
フィーネは神魔団の傍ら、王国にあるアロナード学園の学園長でもある。
だが、俺に働くという選択肢は存在しない。よって俺は彼女の誘いを受ける前に断った。
「あっそう。じゃあプリュー団長に言っておきますね」
「は? 何をだ?」
「アーク・シュテルクスト改めレイナード・アーバンクルスは神魔団のメンバーから除外しますと」
「そうか、分かった。なら勝手に除外してくれ」
「いいのね。除外するということは……」
この言葉を聞いて俺は『はっ』と思いつく。
俺が住んでいる施設は世界中にある神魔団の活動拠点の一角だ。
もし除外されるようなことになったら……住む場所がなくなる。
「ちょ、ちょっと待てフィーネ!」
「ん? 何か?」
「分かった。学園で働く」
「あら、そう? 助かるわ。今、魔術講師が不足していて困っていた所なのよー」
一気にフィーネの表情が変わる。
くっそ……見事にハメられた。こいつ狙っていたな。
俺はフィーネの望んだ通り、学園の魔術講師になることを決意した。
あくまでこれは住処を確保するためと資産稼ぎ。
金さえ貯まったらすぐにでもやめてやる。
こうして俺は後日、学園に魔術講師として出向くことになった。
生まれた時から魔術に才があり、両親を驚かせたのを覚えている。
魔術には複雑な定式があり、発動するためには一つ一つ解読をしていく必要がある。
実際に行えばとてつもなく時間のかかる重作業だ。
だが前世の魔術師たちはこれに苦を覚え、複雑な定式を一瞬にして簡略化することのできる技術を生み出した。
それがスペル、いわゆる呪文である。
決められた呪文を発して詠唱することで複雑な定式を容易く解読することができ、魔術を発動させることができるわけだ。
これは歴史上、魔術革命と呼ばれ、人々は自らの利益のために魔術を行使した争いを行うようになった。
沢山の人間が赤い血を流し、魔術によって人間は醜い生き物と化した。
そして現世。今のキャスターは当たり前のように呪文を詠唱し、魔術を発動させている。
キャスターというのはもはや一種の職業となっていた。
そしてなぜ俺が天才なのかというと……
「まさか……SSSSSランク……じゃと……」
俺は学園に入学して初の魔術査定を受けた。
結果はSSSSSランク。当時6の歳の頃だ。
「な、何かの間違いでしょう。もう一回査定してみては?」
「そ、そうじゃな。アーク・シュテルクストくん、もう1回魔術を行使してはくれんかのお」
「あ、はい」
俺は黙って何も詠唱することなく高位魔術≪ヘルマグナム≫を放つ。
かなり手加減はしたが、査定場を軽く焼野原にする。
「そんなバカな……高位魔術を詠唱なしで……」
どんだけやっても査定結果はSが5つ並ぶ。
「歴代でもSSSランクが最高だというのに。しかもこんな幼い年齢で……」
あまりの破格さに教師陣は唖然。
だが、俺からすれば詠唱なしで魔術を発動させるなど朝飯前だった。
俺はすぐさま学園で有名人となった。何万年に一度の天才として毎日のように祭り上げられる始末。
人との関わりが苦手だった俺には苦痛でしかなかった。
元々人付き合いが苦手であったため学園に入学すること自体不満であったのだが、両親の凄まじい押しに負けて入ることになってしまった。
学園は高等部まで存在したが、とあるきっかけによって初等部卒業と同時に学園を去った。
なぜかというと、とある組織に入らないかと誘いを受けたからだ。
その組織とは……。
「ようこそ神聖魔術団へ。君を7人目の仲間として迎えよう」
神聖魔術団。いわゆる神魔団は元々6人からなるキャスターズギルド。
数百年の歳月をかけ復活した魔王を倒すべく、世界中から人材を集めたキャスターの精鋭たちだ。
俺の魔術の才能に目を光らせ、団長直々にスカウトしてきたわけだ。
「君の噂はよく聞いている。前代未聞のSSSSSランクキャスターであるとね」
「そうですか」
彼の名はプリュー・アンドレス。神魔団団長にしてこの世界で最強のキャスターと言われた男だ。
プリューという名を聞けば、分からない者はいない。それくらい有名なキャスターに声をかけられたわけだ。
「当時、SSSランクだった俺と比べると確かに破格の才だ。神魔団に入ってくれたことを光栄に思うよ」
「はぁ……」
実際の所、俺は神魔団にもプリュー団長にも全く興味がなかった。
名前だけ知ってはいたが憧れがあるわけでもなかった。
ただ今の学園生活が自分にとって心地よくない場所であったがために入団することを決意したのだ。
「とりあえずまずは此処に慣れてもらうために色々と覚えてもらう」
と、まぁこんな感じで俺は12の歳に神魔団に入った。もちろん団の中では最年少である。
月日が流れるのは早いもので気が付けば16の歳になっていた。
「アーク! いけるか?」
「大丈夫っす」
「お前がいると頼もしい。魔王は頼んだぞ!」
「ういーす」
俺たちは魔王との最終決戦に臨んでいた。
「はっはっは! 貴様一人が俺の相手をするのか?」
「そうだが。なにか不満でも?」
「ふん、命知らずな奴め。自分が死ぬことも理解できぬとは」
「さぁ……そりゃあやってみないと分からないんじゃない?」
「そうか……ならばここが貴様の墓場となる。覚悟するんだな」
「うん、分かった分かった。じゃあ始めようか」
決着。俺は最高位魔術≪エンシェント・レイ≫を放った。
「ぬあっっ!? バカな……人間ごときが伝説の最高位魔術を発動できるわけが……」
「勝敗は決した。安らかに眠れ」
「ぐあああああああああああああ!」
こうして再び魔王は封印され、長きに渡った魔王討伐に終止符が打たれた。
「アーク! 生きてるか!?」
「あ、だんちょー。終わりましたよ」
「そうか。ふっ……やはりお前は破格のキャスターだな」
俺はこの日、魔王を討伐したことにより若くして英雄となった。
沢山の人々に祝福を受け、アーク・シュテルクストの名を世界中に響かせた。
だが、俺は人付き合いが苦手な男だ。これは何年経っても克服することはなかった。
どこを歩いても英雄としての肩書に苦悩する日々が続いた。
そして俺は決心する。
「アーク・シュテルクストの名を捨てて引きこもろう」
アーク・シュテルクストは死んだ。原因は病死。
このニュースはすぐに人から人へ、国から国へと流れ渡った。
そしてこの俺、アーク・シュテルクストは団のメンバーの協力もあって人のいる世界から姿を消したのである。
姿を消して十数年という時が経った。
35歳となった俺は未だ引きこもりの生活を続けていた。
「ねぇアーク、本当にこのままでいいの?」
「おい、俺をその名で呼ぶのはやめろ。レイナード・アーバンクルスと呼べ」
「わ、分かったわよ……」
彼女は神聖魔術団の一人、フィーネ・アロナード。
俺、プリュー団長に次ぐ神魔団のナンバー3だ。
「このまま引きこもりニート生活を続けていると本当に死ぬわよ」
「うるさいな。俺は一生こうやって生きることを決めたんだ」
「最近は団も金銭面で苦しんでいるのよ? それなのに……」
「悪いな、俺は働く気はさらさらない。というか外界にはでない」
「外界って……はぁ……」
深い溜息をつくフィーネ。だがここである名案を思い付く。
「ねぇ、あー……じゃなくてレイナード?」
「今度はなんだ?」
「学園の先生を……」
「断る!」
俺はフィーネの話を聞く前に否定で遮る。
言いたいことは言われなくても分かる。
学園の教師として働かないかということだろう。
フィーネは神魔団の傍ら、王国にあるアロナード学園の学園長でもある。
だが、俺に働くという選択肢は存在しない。よって俺は彼女の誘いを受ける前に断った。
「あっそう。じゃあプリュー団長に言っておきますね」
「は? 何をだ?」
「アーク・シュテルクスト改めレイナード・アーバンクルスは神魔団のメンバーから除外しますと」
「そうか、分かった。なら勝手に除外してくれ」
「いいのね。除外するということは……」
この言葉を聞いて俺は『はっ』と思いつく。
俺が住んでいる施設は世界中にある神魔団の活動拠点の一角だ。
もし除外されるようなことになったら……住む場所がなくなる。
「ちょ、ちょっと待てフィーネ!」
「ん? 何か?」
「分かった。学園で働く」
「あら、そう? 助かるわ。今、魔術講師が不足していて困っていた所なのよー」
一気にフィーネの表情が変わる。
くっそ……見事にハメられた。こいつ狙っていたな。
俺はフィーネの望んだ通り、学園の魔術講師になることを決意した。
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