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第2章 学園編
第15.5話「日常」
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―――これは今からちょうど数日前に遡った話である。
「はぁー俺のパドルとフィンが……帰ったら母さんに怒られるよな……」
この俺、財前 龍太郎は落胆していた。
この世界に来て初めて失った財産が普段部活で使っていた道具だった。
なんだかんだ言って水泳も真面目にやってきたし、異世界LOVEとはいえ水泳もそれなりに好きでやっていた。
俺は周りの競泳者よりも道具をとにかく大事にするタイプだった。
実際、この世界でおさらばした道具たちは一度も買い替えたことはない。
それくらい毎日の手入れは欠かさなかった。
それがこの世界に来てパドルはマグに切り落とされ、フィンは片方は無事なものの、もう片方は先端だけ綺麗に溶けた状態になっている。
まぁあの時は咄嗟のことで考え無しに動いてしまったのが悪いのだが……
「リュウタロウーどうしたのそんなに暗い顔して」
「アイリスか……いや俺の昔使っていた道具を見ていただけだよ」
「どんな道具?」
俺は現実世界で使っていたバックを《並行世界》の異次元空間から取り出した。
もう完全にこの世界に慣れてしまっていた。
普通、異次元空間からバックなんて出てこないだろ?
でも今はそれが日常なのだ。
「あ、これって……私が襲われていた時に腕にはめていた物よね?」
「うん、まぁこんな悲惨な姿になったが」
「これは腕にはめて使う武器なの?」
「いや、これは足に履いて使う物なんだ」
「足に履いて使う武器なのね?」
「いや、武器じゃなくて競技で使うんだ」
「へぇーどんな競技なの?」
どうやらアイリスは少し興味があるようだ。
まぁ確かにこの世界じゃフィンは珍しいよな……
「水泳っていう競技なんだけど」
「スイエイ?」
「うん、泳いで誰が速いかを決める競技なんだけど……」
「ああ、水舞のことね」
「水舞?」
「ええ、よく湖とかで競技大会とか開かれるわ。速さ部門とダンス部門ってあるの」
(ダンス部門? シンクロナイズドスイミングのことか)
「へぇーこの世界にもあるんだな」
「え? この世界」
あ、やっべ。
異世界から来たことは知らないんだっけ。
「あ、いやいや違う違う。呼び方が違って驚いてさ」
「そっちじゃスイエイっていうのね」
「まあね……」
「そういえば今度王都近くの湖で競技が行われるを聞いたわ」
「お、まじか」
「泳ぎに自信があるなら出てみれば? どちらにせよ今度王都に行くし、ちょうど開催時期が重なっている頃よ」
「そうだな……出てみるかな」
と、いうわけで今度行く予定の王都のついでとして競技に参加することになった。
―――そして放課後。
アイリスはエリカ先生に用を頼まれたらしく、先に帰っていてと言われた
「今日も疲れた……帰って寝るかな……」
「ん? リュウタロウか」
「あ、レーナ会長」
「ちょうどよかった。ちょっと生徒会室まで来てくれないか?」
「あ、はい。分かりました」
そういって俺はなにも知らないまま生徒会室へ。
(俺、何かしたっけかな~?)
不安が募る。
怒られたら嫌だな……
そう思い、緊張しながら生徒会室へ向かう。
ちなみに生徒会室に足を踏み入れるのはこれが初めてだ。
生徒会室でレーナ会長はゆっくりと話し始めた。
「リュウタロウ。君にいい知らせがある」
「いい知らせ?」
「ああ、今度ベラード王国国王が君に会いたいと言っているのだ」
「こ、ここ国王陛下が!?」
「そうだ。だから今度王都に出向く時に王宮へと顔を出してほしいそうだ」
「でもいきなりなんで……」
「先の魔獣ビースト討伐で陛下が君を大変気に入ったようで是非とも会いたいのだそうだ」
「と、唐突ですね……」
「アイリス、ミル、イルーナも呼ばれている。3人も顔を出すように言っておいてくれないか?」
レーナ会長からこう言われ、俺たちは王宮へ出向くことになった。
王宮に出向くことにより王都に滞在中は長期休暇として扱ってくれるようだ。
なので1週間ほど休みができた。
(なんの用事だろうか……まさか何か欲しいものとかくれるのか!?)
期待に胸を膨らませる俺。
そして話は現在に戻るのであった。
「はぁー俺のパドルとフィンが……帰ったら母さんに怒られるよな……」
この俺、財前 龍太郎は落胆していた。
この世界に来て初めて失った財産が普段部活で使っていた道具だった。
なんだかんだ言って水泳も真面目にやってきたし、異世界LOVEとはいえ水泳もそれなりに好きでやっていた。
俺は周りの競泳者よりも道具をとにかく大事にするタイプだった。
実際、この世界でおさらばした道具たちは一度も買い替えたことはない。
それくらい毎日の手入れは欠かさなかった。
それがこの世界に来てパドルはマグに切り落とされ、フィンは片方は無事なものの、もう片方は先端だけ綺麗に溶けた状態になっている。
まぁあの時は咄嗟のことで考え無しに動いてしまったのが悪いのだが……
「リュウタロウーどうしたのそんなに暗い顔して」
「アイリスか……いや俺の昔使っていた道具を見ていただけだよ」
「どんな道具?」
俺は現実世界で使っていたバックを《並行世界》の異次元空間から取り出した。
もう完全にこの世界に慣れてしまっていた。
普通、異次元空間からバックなんて出てこないだろ?
でも今はそれが日常なのだ。
「あ、これって……私が襲われていた時に腕にはめていた物よね?」
「うん、まぁこんな悲惨な姿になったが」
「これは腕にはめて使う武器なの?」
「いや、これは足に履いて使う物なんだ」
「足に履いて使う武器なのね?」
「いや、武器じゃなくて競技で使うんだ」
「へぇーどんな競技なの?」
どうやらアイリスは少し興味があるようだ。
まぁ確かにこの世界じゃフィンは珍しいよな……
「水泳っていう競技なんだけど」
「スイエイ?」
「うん、泳いで誰が速いかを決める競技なんだけど……」
「ああ、水舞のことね」
「水舞?」
「ええ、よく湖とかで競技大会とか開かれるわ。速さ部門とダンス部門ってあるの」
(ダンス部門? シンクロナイズドスイミングのことか)
「へぇーこの世界にもあるんだな」
「え? この世界」
あ、やっべ。
異世界から来たことは知らないんだっけ。
「あ、いやいや違う違う。呼び方が違って驚いてさ」
「そっちじゃスイエイっていうのね」
「まあね……」
「そういえば今度王都近くの湖で競技が行われるを聞いたわ」
「お、まじか」
「泳ぎに自信があるなら出てみれば? どちらにせよ今度王都に行くし、ちょうど開催時期が重なっている頃よ」
「そうだな……出てみるかな」
と、いうわけで今度行く予定の王都のついでとして競技に参加することになった。
―――そして放課後。
アイリスはエリカ先生に用を頼まれたらしく、先に帰っていてと言われた
「今日も疲れた……帰って寝るかな……」
「ん? リュウタロウか」
「あ、レーナ会長」
「ちょうどよかった。ちょっと生徒会室まで来てくれないか?」
「あ、はい。分かりました」
そういって俺はなにも知らないまま生徒会室へ。
(俺、何かしたっけかな~?)
不安が募る。
怒られたら嫌だな……
そう思い、緊張しながら生徒会室へ向かう。
ちなみに生徒会室に足を踏み入れるのはこれが初めてだ。
生徒会室でレーナ会長はゆっくりと話し始めた。
「リュウタロウ。君にいい知らせがある」
「いい知らせ?」
「ああ、今度ベラード王国国王が君に会いたいと言っているのだ」
「こ、ここ国王陛下が!?」
「そうだ。だから今度王都に出向く時に王宮へと顔を出してほしいそうだ」
「でもいきなりなんで……」
「先の魔獣ビースト討伐で陛下が君を大変気に入ったようで是非とも会いたいのだそうだ」
「と、唐突ですね……」
「アイリス、ミル、イルーナも呼ばれている。3人も顔を出すように言っておいてくれないか?」
レーナ会長からこう言われ、俺たちは王宮へ出向くことになった。
王宮に出向くことにより王都に滞在中は長期休暇として扱ってくれるようだ。
なので1週間ほど休みができた。
(なんの用事だろうか……まさか何か欲しいものとかくれるのか!?)
期待に胸を膨らませる俺。
そして話は現在に戻るのであった。
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