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第2章 学園編
第13話「新種」
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マグを構える5人。
対するは今までした観測したことのない謎の魔獣。
従来の魔獣ビーストでもアークビーでもない。
見たことのない相手に不安が募る。
俺はまだ1回しか魔獣と対峙したことがないが、その1回の戦闘でどれほど恐ろしい生物かは重々承知した。
一歩間違えたら命を落としかねない。
だからこそ一瞬の油断も許されないのだ。
「私が先陣をきる。お前たちはその隙に背後へ回り、攻撃。わかったか?」
「は、背後ですか?」
「あいつの背中の上の部分をよく見てみろ」
謎の魔獣の背中部分を見てみるとアークビーと同様のコアみたいな部位があった。
前回のアークビー戦ではその部分を破壊した途端、動きにキレがなくなった。
「あそこか……」
高さは数十メートルはある。
なかなか届く高さではない。
だが、俺たちには先陣をきってくれるレーナ会長がいる。
会長が化け物の気を引き、その一瞬の隙をついて一気にたたみ込む。
「轟け! 我が雷帝の化身、ユピテール!」
霆を纏いながら現れたのは一本のマグだった。
「あれがレーナ会長の……」
霆を帯びたマグを握ったその堂々たる姿は、まるで雷神のようだった。
「参る!」
この声を聴いた時には既に会長は敵の懐にいた。
視認すら不可能な速さだ。
「ぎゃあああああああああああああああう!」
謎の魔獣の大きな唸り声が響き渡る。
「す、すげえ……」
もはや攻撃していることすら分からないほどに速い連撃。
俺たちから見れば勝手に敵が悶えているようにしか見えない。
「きゅううううううううううううううううう」
止まらない連撃を受け、魔獣が大きく転倒する。
「よし今だ! コアを叩け!」
会長のGOサインが出た。俺たちは一気に魔獣の背後へ。
「よっしゃ! 行くぞ相棒!」
俺たちは一気にコアを叩く。
「ぎゅあああああああああああああああああああん!」
魔獣の力が段々と弱まっていく。
どうやらコアの部分が弱点なのはほぼ間違いなさそうだ。
そして弱った所を一気に攻める。
魔獣は悶え苦しみ、その場に倒れこむ。
勝った。誰もがそう思った時だった。
「ん? これは……」
コアを集中攻撃された魔獣が赤く輝き始める。
だが、その様子はどこか変だった。
「まさか……皆、今すぐこの場から離れるんだ!」
俺たちは会長の言う通り下がるが、時すでに遅しだった。
「きゅあああああああああああああああああ!」
謎の魔獣はその大きな咆哮と共に大爆発を引き起こした。
「う、うわーーーーーーー!」
(も、もう終わりなのか……?)
気を失いかけた時、近くでミルの声が聞こえた。
「み、皆さん! 大丈夫ですか? しっかりしてください!」
(ん、あれ? 俺、生きている?)
「確か俺たち、あの爆発に巻き込まれたはずじゃ……」
「危機一髪でしたね。防御魔術を張っておいて正解でした」
なるほど。そういうことか。
こんなこともあろうかとミルがあらかじめ防壁魔術を広範囲に渡って張ってくれていたようだ。
「助かったわ、ミル」
「申し訳ないですわ」
「いえいえ、今のは流石に危なかったですね」
周りを見渡すとまっさらな焼野原と化していた。
木々で囲まれていたはずのそこはもう面影が全くなかった。
ミルの推考な判断で助けられたわけだが、そこには会長の姿がない。
「あれ? 会長は……?」
「会長ならすぐそこにいますよ」
見てみると、右斜め前に会長の姿が。
「会長は凄い方ですよ。あの大爆発を気迫だけで返したんですから」
「き、気迫だけって……」
よく見ると会長の身体には傷ひとつなかった。
「皆、無事か?」
「あ、はい。なんとか生きてます」
「すまなかった。あれは私の判断ミスだ」
「い、いいえ。わかりっこないですよ。あんなの」
勝手に自爆をしてくれたのはありがたいが、それはほんの気休めにすぎなかった。
『ピコーン』
「ん? なんだこの感覚……さっきと同じだ」
そして再度大きな地鳴りが起きる。
「くっ! まだ来るか!」
驚くことに粉砕したはずの”奴”が再生を始めたのだ。
しかも再生速度が前に戦ったアークビーとは比べ物にならない。
治癒能力もはるか上をいっていた。
「皆、援軍が来るまでもうひと踏ん張りだ。もう一度いくぞ!」
「は、はい!」
「ぎゅああああああああああああああああああああああん!」
どうやらあちら側は第2回戦もやる気満々のようだ。
こんなピンチな時なのに身体がうずうずしている。
それには恐怖というものは一切なかった。
「今度はやり方を変えるぞ。一撃離脱戦法だ!」
「一撃離脱か……タイミングが重要だな……」
しかし今度はなんとしてもあの爆発だけは阻止しなければならない。
立ち回りが非常に重要となる。
「再度私が先陣をきる! 魔力をしっかりと溜めておいてくれ」
作戦内容を確認し、皆頷く。
「よし、行くぞ!」
新種の化け物との第2回戦が始まった。
まだまだ魔力は十分に残っている。
「次こそは!」
俺は再度、気合いを入れ直したのであった。
対するは今までした観測したことのない謎の魔獣。
従来の魔獣ビーストでもアークビーでもない。
見たことのない相手に不安が募る。
俺はまだ1回しか魔獣と対峙したことがないが、その1回の戦闘でどれほど恐ろしい生物かは重々承知した。
一歩間違えたら命を落としかねない。
だからこそ一瞬の油断も許されないのだ。
「私が先陣をきる。お前たちはその隙に背後へ回り、攻撃。わかったか?」
「は、背後ですか?」
「あいつの背中の上の部分をよく見てみろ」
謎の魔獣の背中部分を見てみるとアークビーと同様のコアみたいな部位があった。
前回のアークビー戦ではその部分を破壊した途端、動きにキレがなくなった。
「あそこか……」
高さは数十メートルはある。
なかなか届く高さではない。
だが、俺たちには先陣をきってくれるレーナ会長がいる。
会長が化け物の気を引き、その一瞬の隙をついて一気にたたみ込む。
「轟け! 我が雷帝の化身、ユピテール!」
霆を纏いながら現れたのは一本のマグだった。
「あれがレーナ会長の……」
霆を帯びたマグを握ったその堂々たる姿は、まるで雷神のようだった。
「参る!」
この声を聴いた時には既に会長は敵の懐にいた。
視認すら不可能な速さだ。
「ぎゃあああああああああああああああう!」
謎の魔獣の大きな唸り声が響き渡る。
「す、すげえ……」
もはや攻撃していることすら分からないほどに速い連撃。
俺たちから見れば勝手に敵が悶えているようにしか見えない。
「きゅううううううううううううううううう」
止まらない連撃を受け、魔獣が大きく転倒する。
「よし今だ! コアを叩け!」
会長のGOサインが出た。俺たちは一気に魔獣の背後へ。
「よっしゃ! 行くぞ相棒!」
俺たちは一気にコアを叩く。
「ぎゅあああああああああああああああああああん!」
魔獣の力が段々と弱まっていく。
どうやらコアの部分が弱点なのはほぼ間違いなさそうだ。
そして弱った所を一気に攻める。
魔獣は悶え苦しみ、その場に倒れこむ。
勝った。誰もがそう思った時だった。
「ん? これは……」
コアを集中攻撃された魔獣が赤く輝き始める。
だが、その様子はどこか変だった。
「まさか……皆、今すぐこの場から離れるんだ!」
俺たちは会長の言う通り下がるが、時すでに遅しだった。
「きゅあああああああああああああああああ!」
謎の魔獣はその大きな咆哮と共に大爆発を引き起こした。
「う、うわーーーーーーー!」
(も、もう終わりなのか……?)
気を失いかけた時、近くでミルの声が聞こえた。
「み、皆さん! 大丈夫ですか? しっかりしてください!」
(ん、あれ? 俺、生きている?)
「確か俺たち、あの爆発に巻き込まれたはずじゃ……」
「危機一髪でしたね。防御魔術を張っておいて正解でした」
なるほど。そういうことか。
こんなこともあろうかとミルがあらかじめ防壁魔術を広範囲に渡って張ってくれていたようだ。
「助かったわ、ミル」
「申し訳ないですわ」
「いえいえ、今のは流石に危なかったですね」
周りを見渡すとまっさらな焼野原と化していた。
木々で囲まれていたはずのそこはもう面影が全くなかった。
ミルの推考な判断で助けられたわけだが、そこには会長の姿がない。
「あれ? 会長は……?」
「会長ならすぐそこにいますよ」
見てみると、右斜め前に会長の姿が。
「会長は凄い方ですよ。あの大爆発を気迫だけで返したんですから」
「き、気迫だけって……」
よく見ると会長の身体には傷ひとつなかった。
「皆、無事か?」
「あ、はい。なんとか生きてます」
「すまなかった。あれは私の判断ミスだ」
「い、いいえ。わかりっこないですよ。あんなの」
勝手に自爆をしてくれたのはありがたいが、それはほんの気休めにすぎなかった。
『ピコーン』
「ん? なんだこの感覚……さっきと同じだ」
そして再度大きな地鳴りが起きる。
「くっ! まだ来るか!」
驚くことに粉砕したはずの”奴”が再生を始めたのだ。
しかも再生速度が前に戦ったアークビーとは比べ物にならない。
治癒能力もはるか上をいっていた。
「皆、援軍が来るまでもうひと踏ん張りだ。もう一度いくぞ!」
「は、はい!」
「ぎゅああああああああああああああああああああああん!」
どうやらあちら側は第2回戦もやる気満々のようだ。
こんなピンチな時なのに身体がうずうずしている。
それには恐怖というものは一切なかった。
「今度はやり方を変えるぞ。一撃離脱戦法だ!」
「一撃離脱か……タイミングが重要だな……」
しかし今度はなんとしてもあの爆発だけは阻止しなければならない。
立ち回りが非常に重要となる。
「再度私が先陣をきる! 魔力をしっかりと溜めておいてくれ」
作戦内容を確認し、皆頷く。
「よし、行くぞ!」
新種の化け物との第2回戦が始まった。
まだまだ魔力は十分に残っている。
「次こそは!」
俺は再度、気合いを入れ直したのであった。
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