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第1章 異世界転移編
第1話「転移」
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『異世界はロマン』
俺にとって異世界とは偉大な場所だ。
夢に溢れ、人々が思い描いた空想が現実にある世界。
俺は、毎日異世界のことばかり考えているし、異世界にしか興味がなかった。
なぜかと言えば答えは単純だ。
異世界という世界観が大好きだからだ。
異世界にあるものはなんでも好きだった。
魔法や魔獣、ドラゴンやユニコーンなどの空想上の生き物もそうだ。
俺はこの先の余生を異世界に捧げるつもりだし、存在しないのなら存在することを証明すればいいとまで思っていた。
そう、俺は生粋の異世界オタクなのだ。
異世界と言ってもそんなのあるわけないと思うことだろう。
だが、本当にそうだろうか?
俺はそうは思わない。
必ず異世界はあると信じている。
絶対的根拠はない。
だけど世界は1つだけしかないとも言い切れないのではないだろうか。
俺は将来、異世界があることを証明し異世界で自分の王国を建国するのが夢だ。
馬鹿にしたければするがいいさ。
俺は必ず成し遂げてやる。
* * *
「龍太郎! いつまで寝ているの! 学校遅れるわよ~!」
「あ~もう、うるさいな~」
ある日の朝、俺はいつものように母親にたたき起こされてリビングに向かった。
目をこすり、あくびをしながら朝食を取り、歯を磨き、学校へ行く支度を済ませて家を出た。
俺の名前は財前 龍太郎(ざいぜん りゅうたろう)。
年齢は16歳の高校2年生だ。
異世界を愛し、異世界に生涯を捧げる予定の異世界オタクである。
ちなみに家族を含む他の人にはこのことを隠している。
ちゅんちゅんと小鳥の鳴き声が響き渡る。
今日も何も変わることのない日常が始まるのだ。
今日も俺はこの世界に対する不満を言いながら怠そうに通学路を歩く。
「つまらない世界だ。ドラゴンもいなきゃユニコーンもいない。この世界の魅力って一体なんなんだ?」
俺は学校に着いても自分の席に座ってぼーっとしているだけだ。
別にぼっちだったわけではない。
友人もいるし、部活動で水泳をやっているためそれなりに知名度もあった。
身長が高く、体格がいいというのもあってか女子にもある程度の人気があり、しまいには筋肉を触らせてほしいと言われる始末。
別に嫌なわけではない。
ただ俺にとってはそんな日常が退屈で仕方なかった。
「お~い龍太郎、なにぼーっとしてんだよ」
彼は友人の前田 一騎(まえだ いっき)
中学からの友達で一緒に遊んだりするなど仲が良かった。
「なあそういえばこの前テレビでみたんだけどさ。異世界って本当にあると思うか?」
俺はそのワードでビビっときた。
まさか学校に行ってその言葉を聞くことなんてないと思ったからだ。
「異世界は絶対にある! 普通の人からすればそんなのは漫画やアニメの世界だけだって言うけど絶対にないとは言い切れない。むしろある可能性の方が高いとまで思っている」
俺はつい声を張り上げて異世界のことについて熱く語ってしまった。
「そもそも異世界がないって言い切れる方がどうかしてるわ。それこそ絶対的根拠なんてないのにさ」
この後も異世界が存在するかしないかで持論を展開させていった。
「お、おい龍太郎。恥ずかしいからもうやめてくれないか。すごい見られてるんだが」
完全に自分の世界に入り込んでしまった俺は一騎の要求を無視して話を続けてしまった。
しかもさっきより大きな声で。
「おい、頼むからやめてくれよ! もういいから!」
彼の大きな声でやっと元の世界へと戻ってきた。
「わ、悪い悪い。つい熱くなっちまったよ」
すると一騎は無言で席から立ち上がり、他の友達のほうへと行ってしまった。
クラスメートが可哀想な人を見る目でじっと見ている。
その瞬間、俺は我に返った。
(やばい、やってしまった……今まで頑張って隠し通してきたのにぃ~)
その日からだ。彼が俺を避けるようになったのは。
いつも朝来ると必ず俺の席にきて話をするが、その日以降から席に来ることはなくなった。
俺自らが一騎の所へ行くと「用事を思い出した」と言ってどこかへ行ってしまう。
気を悪くさせてしまったと思い、一騎の所に謝りに行った。
「な、なあ一騎。この前は気を悪くさせてごめん」
すると一騎の表情が変わった。
「お前のせいでみくちゃんに変な目で見られたじゃないかよ。いい感じで告白までいけそうだったのにどうしてくれんだ!」
みくちゃんというのはクラスメートの澤田 美玖(さわだ みく)のことだ。
「わ、悪い。俺が熱くなりすぎた……わざとじゃないんだ許してほしい」
「そんなに許してほしいなら俺に異世界の素晴らしさを伝えてみろよ」
俺はありとあらゆる知識を使って異世界について説明したが、彼は全く興味を示さなかった。
その日の放課後、俺は彼にどうしたら異世界の良さを分かってもらえるか考えていた。
その日は運よく部活動がなかったため時間にも余裕があった。
「う~ん、一騎が好きそうな話題から異世界へと繋げる……いやいや現実世界と比較するのは俺から言わせればナンセンスだ」
ぶつぶつと独り言を呟きながら歩いているといつの間にか知らない所まで歩いてきてしまった。
「えっと、ここはどこだ?」
俺はスマホで帰り道を調べながら近道をするために細い路地へと入っていった。
「あれ、行き止まりか」
路地を進んだ先は行き止まりで先へ進めなかった。
「仕方ない。戻るか」
そう思って後ろに振り向こうとした時、俺はなにか違和感に気づいた。
壁をよく見てみるとなにやら黒いゲートみたいなものが見えるではないか。
「なんだ? これは」
触れようとした次の瞬間、ゲートが大きくなりそのままゲートの中に吸い込まれてしまった。
咄嗟のことで驚いてしまい、俺はそのまま意識を失った。
* * *
「うっ……眩しい」
俺は日の光の眩しさで目を覚ました。
起き上がるとそこはとてつもなく大きな樹木の真下だった。
「どこだ……? ここは」
見慣れない場所だった。
少なくとも日本ではなかった。
この位置からでは空が見えないほど樹木の枝が大きかった。
だが、太陽の光だけは強く差し込んでおり、ここに座っているだけでも神秘的な力が宿っている気がするほどであった。
俺は立ち上がり、樹木の外に出て空を見渡した。
俺はこの時、思いもしないものを見てしまったのだ。
「ドラゴンが空を飛んでいる……だと」
そう、見渡すとドラゴンの群れが空を飛んでいるではないか。
さらに近くの草原を見渡すと角の生えた別名一角獣と呼ばれる伝説の生き物、ユニコーンが平然と歩いていた。
「嘘だろ? まさかここって……」
俺はすぐに察した。
ここは俺が夢見たあの場所。
そう、異世界だった。
俺にとって異世界とは偉大な場所だ。
夢に溢れ、人々が思い描いた空想が現実にある世界。
俺は、毎日異世界のことばかり考えているし、異世界にしか興味がなかった。
なぜかと言えば答えは単純だ。
異世界という世界観が大好きだからだ。
異世界にあるものはなんでも好きだった。
魔法や魔獣、ドラゴンやユニコーンなどの空想上の生き物もそうだ。
俺はこの先の余生を異世界に捧げるつもりだし、存在しないのなら存在することを証明すればいいとまで思っていた。
そう、俺は生粋の異世界オタクなのだ。
異世界と言ってもそんなのあるわけないと思うことだろう。
だが、本当にそうだろうか?
俺はそうは思わない。
必ず異世界はあると信じている。
絶対的根拠はない。
だけど世界は1つだけしかないとも言い切れないのではないだろうか。
俺は将来、異世界があることを証明し異世界で自分の王国を建国するのが夢だ。
馬鹿にしたければするがいいさ。
俺は必ず成し遂げてやる。
* * *
「龍太郎! いつまで寝ているの! 学校遅れるわよ~!」
「あ~もう、うるさいな~」
ある日の朝、俺はいつものように母親にたたき起こされてリビングに向かった。
目をこすり、あくびをしながら朝食を取り、歯を磨き、学校へ行く支度を済ませて家を出た。
俺の名前は財前 龍太郎(ざいぜん りゅうたろう)。
年齢は16歳の高校2年生だ。
異世界を愛し、異世界に生涯を捧げる予定の異世界オタクである。
ちなみに家族を含む他の人にはこのことを隠している。
ちゅんちゅんと小鳥の鳴き声が響き渡る。
今日も何も変わることのない日常が始まるのだ。
今日も俺はこの世界に対する不満を言いながら怠そうに通学路を歩く。
「つまらない世界だ。ドラゴンもいなきゃユニコーンもいない。この世界の魅力って一体なんなんだ?」
俺は学校に着いても自分の席に座ってぼーっとしているだけだ。
別にぼっちだったわけではない。
友人もいるし、部活動で水泳をやっているためそれなりに知名度もあった。
身長が高く、体格がいいというのもあってか女子にもある程度の人気があり、しまいには筋肉を触らせてほしいと言われる始末。
別に嫌なわけではない。
ただ俺にとってはそんな日常が退屈で仕方なかった。
「お~い龍太郎、なにぼーっとしてんだよ」
彼は友人の前田 一騎(まえだ いっき)
中学からの友達で一緒に遊んだりするなど仲が良かった。
「なあそういえばこの前テレビでみたんだけどさ。異世界って本当にあると思うか?」
俺はそのワードでビビっときた。
まさか学校に行ってその言葉を聞くことなんてないと思ったからだ。
「異世界は絶対にある! 普通の人からすればそんなのは漫画やアニメの世界だけだって言うけど絶対にないとは言い切れない。むしろある可能性の方が高いとまで思っている」
俺はつい声を張り上げて異世界のことについて熱く語ってしまった。
「そもそも異世界がないって言い切れる方がどうかしてるわ。それこそ絶対的根拠なんてないのにさ」
この後も異世界が存在するかしないかで持論を展開させていった。
「お、おい龍太郎。恥ずかしいからもうやめてくれないか。すごい見られてるんだが」
完全に自分の世界に入り込んでしまった俺は一騎の要求を無視して話を続けてしまった。
しかもさっきより大きな声で。
「おい、頼むからやめてくれよ! もういいから!」
彼の大きな声でやっと元の世界へと戻ってきた。
「わ、悪い悪い。つい熱くなっちまったよ」
すると一騎は無言で席から立ち上がり、他の友達のほうへと行ってしまった。
クラスメートが可哀想な人を見る目でじっと見ている。
その瞬間、俺は我に返った。
(やばい、やってしまった……今まで頑張って隠し通してきたのにぃ~)
その日からだ。彼が俺を避けるようになったのは。
いつも朝来ると必ず俺の席にきて話をするが、その日以降から席に来ることはなくなった。
俺自らが一騎の所へ行くと「用事を思い出した」と言ってどこかへ行ってしまう。
気を悪くさせてしまったと思い、一騎の所に謝りに行った。
「な、なあ一騎。この前は気を悪くさせてごめん」
すると一騎の表情が変わった。
「お前のせいでみくちゃんに変な目で見られたじゃないかよ。いい感じで告白までいけそうだったのにどうしてくれんだ!」
みくちゃんというのはクラスメートの澤田 美玖(さわだ みく)のことだ。
「わ、悪い。俺が熱くなりすぎた……わざとじゃないんだ許してほしい」
「そんなに許してほしいなら俺に異世界の素晴らしさを伝えてみろよ」
俺はありとあらゆる知識を使って異世界について説明したが、彼は全く興味を示さなかった。
その日の放課後、俺は彼にどうしたら異世界の良さを分かってもらえるか考えていた。
その日は運よく部活動がなかったため時間にも余裕があった。
「う~ん、一騎が好きそうな話題から異世界へと繋げる……いやいや現実世界と比較するのは俺から言わせればナンセンスだ」
ぶつぶつと独り言を呟きながら歩いているといつの間にか知らない所まで歩いてきてしまった。
「えっと、ここはどこだ?」
俺はスマホで帰り道を調べながら近道をするために細い路地へと入っていった。
「あれ、行き止まりか」
路地を進んだ先は行き止まりで先へ進めなかった。
「仕方ない。戻るか」
そう思って後ろに振り向こうとした時、俺はなにか違和感に気づいた。
壁をよく見てみるとなにやら黒いゲートみたいなものが見えるではないか。
「なんだ? これは」
触れようとした次の瞬間、ゲートが大きくなりそのままゲートの中に吸い込まれてしまった。
咄嗟のことで驚いてしまい、俺はそのまま意識を失った。
* * *
「うっ……眩しい」
俺は日の光の眩しさで目を覚ました。
起き上がるとそこはとてつもなく大きな樹木の真下だった。
「どこだ……? ここは」
見慣れない場所だった。
少なくとも日本ではなかった。
この位置からでは空が見えないほど樹木の枝が大きかった。
だが、太陽の光だけは強く差し込んでおり、ここに座っているだけでも神秘的な力が宿っている気がするほどであった。
俺は立ち上がり、樹木の外に出て空を見渡した。
俺はこの時、思いもしないものを見てしまったのだ。
「ドラゴンが空を飛んでいる……だと」
そう、見渡すとドラゴンの群れが空を飛んでいるではないか。
さらに近くの草原を見渡すと角の生えた別名一角獣と呼ばれる伝説の生き物、ユニコーンが平然と歩いていた。
「嘘だろ? まさかここって……」
俺はすぐに察した。
ここは俺が夢見たあの場所。
そう、異世界だった。
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