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第5章
103.水着という名の……
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「よし、ついたぞ!」
「へぇ……こんなところにお店があったなんて」
時は一週間後の週末。
俺たち一行はリール内のとあるお店の前に来ていた。
そして話は現在へと戻る。
「まさに穴場って感じの店だな」
場所はリールでも人目につかないような路地裏にあった。
「ここは俺のダチがやっている店でな。立地が悪すぎて客足が悲惨なことになっているから、こうして手助けしているわけよ」
「そうだったのか……」
なんだ、そんな裏話があったのか。
初めは下心だけなのかと思っていたが、とんだ勘違い……
「というのは建前だ」
「建前かよ!」
やはり勘違いだったようだ。
「ということは前に言っていた水着を使った実験とやらを?」
「そうだ。てかそもそもここは水着屋ではない」
「こんなにも水着があるのにか?」
所狭しと並べられている水着たち。
傍から見れば水着専門の店のように見えるが……
「水着はただのカモフラージュにすぎんのだよ。本来は……」
「きゃああっ!」
「なんだ!?」
店内で悲鳴があがる。
声のした方から察すると……試着室の方か。
「どうした!?」
すぐに駆け寄ると、そこには試着室のカーテンに身をくるんだエリーの姿があった。
「エリー? どうかしたのか?」
「え、えっとその……」
妙にもじもじとしている。
本当にどうしたんだ?
「着替え終わったかと思ったら、エレノアの悲鳴が聞こえてきて試しにカーテンを開こうとしたらこの有様で」
ステラさんの説明に皆も頷く。
「エレノアさん、そんなに恥ずかしい水着を選んだんですか?」
「そ、そういうわけじゃ……ただその……」
何故か歯切れが悪い。
だが約2名、その理由を知っているのかニヤニヤと笑みを浮かべる者たちがいた。
「おい、カイザー! お前何か知っているだろ?」
「いや、何も? なぁ店主?」
「ええ。私は彼女に自分に合う水着を見繕ってほしいといわれたのでそうしたまでですが……」
「こ、これが水着ですか!? どう見てもこれは――!」
その時だ。
勢いあまったのか、カーテンの止め金具が壊れ、エリーが大きく態勢を崩した。
「危ない……!」
俺はすかさず駆け寄り、手を伸ばす……が。
「ごめん、マルくん。ケガはない?」
「お、おう……」
「マルくん?」
キョトンした顔で見てくるエリー。
だが俺はそれどころではなかった。
馬乗りになられ、その姿が卑猥に映る最高のプロモーションが俺の目に焼きついたからだ。
「ま、マルくん? どうしたの?」
「エレノアさん、それって……」
「へ……?」
ようやくエレノアも状況を理解し始める。
だがそれは本人とっては世界の崩壊を願うレベルのものだった。
「ひ、ひぃっ……!」
一気に顔を真っ赤に染め上げ、今にも泣きだしそうな顔を向けてくる。
なんたって彼女が着ていたのは水着というよりは、露出を極限にまで極めたビキニアーマーだったのだから。
「へぇ……こんなところにお店があったなんて」
時は一週間後の週末。
俺たち一行はリール内のとあるお店の前に来ていた。
そして話は現在へと戻る。
「まさに穴場って感じの店だな」
場所はリールでも人目につかないような路地裏にあった。
「ここは俺のダチがやっている店でな。立地が悪すぎて客足が悲惨なことになっているから、こうして手助けしているわけよ」
「そうだったのか……」
なんだ、そんな裏話があったのか。
初めは下心だけなのかと思っていたが、とんだ勘違い……
「というのは建前だ」
「建前かよ!」
やはり勘違いだったようだ。
「ということは前に言っていた水着を使った実験とやらを?」
「そうだ。てかそもそもここは水着屋ではない」
「こんなにも水着があるのにか?」
所狭しと並べられている水着たち。
傍から見れば水着専門の店のように見えるが……
「水着はただのカモフラージュにすぎんのだよ。本来は……」
「きゃああっ!」
「なんだ!?」
店内で悲鳴があがる。
声のした方から察すると……試着室の方か。
「どうした!?」
すぐに駆け寄ると、そこには試着室のカーテンに身をくるんだエリーの姿があった。
「エリー? どうかしたのか?」
「え、えっとその……」
妙にもじもじとしている。
本当にどうしたんだ?
「着替え終わったかと思ったら、エレノアの悲鳴が聞こえてきて試しにカーテンを開こうとしたらこの有様で」
ステラさんの説明に皆も頷く。
「エレノアさん、そんなに恥ずかしい水着を選んだんですか?」
「そ、そういうわけじゃ……ただその……」
何故か歯切れが悪い。
だが約2名、その理由を知っているのかニヤニヤと笑みを浮かべる者たちがいた。
「おい、カイザー! お前何か知っているだろ?」
「いや、何も? なぁ店主?」
「ええ。私は彼女に自分に合う水着を見繕ってほしいといわれたのでそうしたまでですが……」
「こ、これが水着ですか!? どう見てもこれは――!」
その時だ。
勢いあまったのか、カーテンの止め金具が壊れ、エリーが大きく態勢を崩した。
「危ない……!」
俺はすかさず駆け寄り、手を伸ばす……が。
「ごめん、マルくん。ケガはない?」
「お、おう……」
「マルくん?」
キョトンした顔で見てくるエリー。
だが俺はそれどころではなかった。
馬乗りになられ、その姿が卑猥に映る最高のプロモーションが俺の目に焼きついたからだ。
「ま、マルくん? どうしたの?」
「エレノアさん、それって……」
「へ……?」
ようやくエレノアも状況を理解し始める。
だがそれは本人とっては世界の崩壊を願うレベルのものだった。
「ひ、ひぃっ……!」
一気に顔を真っ赤に染め上げ、今にも泣きだしそうな顔を向けてくる。
なんたって彼女が着ていたのは水着というよりは、露出を極限にまで極めたビキニアーマーだったのだから。
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