無能と蔑まれし魔術師、ホワイトパーティで最強を目指す

幕間1

影の支配者

　いつもご愛読、ありがとうございます！
　遂に本日、当作品の2巻が発売されました！

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　是非お手にとってみてくださいっ！

　何卒、宜しくお願い致します！

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　マルクたちが部隊決めを行っていたその頃――

「……それで、例の実験は失敗したのね？」
「も、申し訳ございません！　あと少しのところで高ランクの冒険者たちに邪魔されまして……」

　ローブを来た男が玉座に座る人物を前にビクビクと震える。
　彼は決してオーバーなリアクションを取っているわけではない。

　主である人物の圧倒的存在感と自身の罪の重さを実感したことによる恐怖にも勝る感情が彼の心情を蝕んでいるのだ。

「別プランの方は？」
「そ、そちらもその――」
「失敗したのね？」
「も、申し訳ございません！」

　男は頭を深く下げ謝罪する。
　まるで頭を下げたまま固められたかのようにそのまま項垂れていた。

「ふんっ、まぁいいわ。実験なんていつでもできるもの。でもまさか私のコピー作の中でもそこそこな出来だった作品たちがやられるなんてね……狐霊族スピリフォクスの奴隷の子も手放しちゃったみたいだし、とんだ損失だわ」
「ほ、本当に申し訳ございませんでした！　今回の失態はこの私の命と引き換えに――」

　そう男が発した途端、シュンと何かが発動する音のようなものが響いた。
　同時に、さっきまで玉座から聞こえてきていたはずの声が間近で聞こえるようになる。

「顔をあげなさい」

　その一言だけでビクッと男の身体が跳ねた。
　だが主の命令だ。

　重い頭を恐る恐るあげると、さっきまで玉座に座っていたはずの御人が目の前にいた。
　ただ顔が見えない。

　そのご尊顔はベールによって覆い隠されていた。

「せ、聖帝……陛下」
「あまり自分を卑下にすることは言わないでちょうだい。貴方も、私の可愛い可愛い下僕の一人なんだから」

　耳元まで近づくと聖帝と呼ばれる人物はそっと囁いた。
　だがその瞬間、まるで抜け殻になったかのように男の身体から力が抜けていく。

「へ、へい……か……」
「貴方はよくやったわ。だから……おやすみなさい」

　気を吸われるというべきか、男は完全に骨抜きにされるとそのままバタリと倒れた。

「……ふぅ、相変わらず人間の気力は美味しくないわね。でも……」

　聖帝はニヤリと笑みを浮かべると、

「この記憶は……使えるわ」

　気力を食べた男の記憶を引き出すと、ある事に目をつけた。
　そして数秒ほど考えこむと、傍で待機させていた人物の名を呼んだ。

「イレーゼ」
「はい」

　金色の髪を靡かせながら、玉座の影から一人の美少女が現れる。
　聖帝は手に入れた記憶のかけらを空気上に投影すると、

「この女を、私の元へと連れてきなさい。ただ、いきなりはダメよ？　じっくりと監視しつつ、この女が本当に吸血鬼族の末裔であるか確認した上で捕縛しなさい。分かったわね？」
「承知致しました。必ずや、陛下のご期待に応えてみせます」
　
　少女はそういうと、影のようにその場から消え去った。
　聖帝は投影した人物を見つめながら、

「ハクア・リーフェル。へぇ……吸血鬼族の末裔かぁ。しかも貴族級の血を引く上質な血族と。これは、複製コピーするためのいい材料になるわぁ」

　妖艶な雰囲気を纏わせ、自身の野望を胸に抱きながら、その頬を緩ませた。

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本話もお読みいただき、ありがとうございます！
次回から5章の内容に入ります。

引き続き、当作品を宜しくお願い致します！