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オーネストへ!
Mirai’z Stage One
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私の名前は明日葉未来。ゲームでの名前はミライ。今いるこの世界———【Another world・Online】のサービスが開始したその日に始めた高校生。クラスの人たちとパーティーを組んで遊んでいて、とても楽しかった。その時は。
※
問題が起きたのはゲームから落ちるときだった。なんと、ログアウトしようとメニューを開いたら、どこにも【ログアウト】のボタンがなかった。その時はただのバグだと思って誰にも言わなかった。
それから【始まりの草原】に行って魔物を狩ったりして時間を潰していた。でも、何時間たっても【ログアウト】のボタンは出てこなくて、運営が強制ログアウトもしてくれなかった。この頃から何かおかしいと思っていた。でも何もできなかった。今の時間は深夜三時過ぎ、この時間までログインしている人はガチ勢だったり、オタクだったりと、あまり近づきたくない人たちだった。だって、ガチ勢は私が弱いし、それにそもそも私のゲームの腕はそこまで上手じゃないから。オタクの人たちは、忌避感があるわけじゃないけどなんか怖かったから近づけなかった。
それでこれからどうしようか考えていた。お金は装備を買うために使っちゃってほぼ残ってないし、ソロで戦うための力もないし、それに今ゲームオーバーになったらいけない気がしたから【始まりの街】の中をうろうろしていた。その時、私に声をかけてくれた人がいた。
「お嬢ちゃん、今一人?俺たちと遊ぼうよ」
「お、こいつぁ可愛いな。NPCなのか?」
「プレイヤーだろ。アイコン見てみろよ」
「あ、ほんとだ。プレイヤーか。確かこのゲームって性別は変えられないんだよな?」
「確かそうだと思うぞ」
「そんなこと良いだろ!早くしようぜ!」
私に声をかけてきたのは三人の男の人だった。男の人達の私を見る目がいやらしかったし、舐め回すように凝視してきたから、気持ち悪かった。すかさず私は逃げた。遠くへ、遠くへと。
息が切れて苦しくなり、走る速度も落ちてきたころ、私は後ろを見てみたがあの人たちはもういなかった。良かった、と安堵の溜め息を吐く。でも、私は次の問題に気付いた。
「ここ、どこ・・・?」
今、自分が居る場所が分からなかった。どうしよう。
そのまま周りが明るくなるまで周囲を散策していた。それでわかったことが、
「ここ、スラム街かな・・・?」
ここがスラム街なのではないか、と言うことだった。地面は汚くて周りにある壁もボロボロで所々黒くなっていたり、更には真っ赤な手形もあった。・・・全裸で倒れている女性もいたけど見なかったことにした。でも、いくらゲームで、ここにはプレイヤーが来ないからってここまですることはないんじゃないかな?そもそも、プレイヤーが来ないのに何でこんなに凝って作ってるの?・・・運営が遊ぶため?
そんなことを考えていると、またしても声を掛けられた。
「おや?こんなところで何してんの?・・・もしかして、おじさんたちと遊びに来たの?」
「ならばたっぷりと遊んであげなければな」
今度はおじさん二人組だった。私はこのおじさんNPCたちに迫られた。抵抗しようとしても男と女。少しレベルアップしてるけど、おじさんたちは二人、対して私一人。私に選択肢なんて一つしかなかった。つまり———逃げ。
おじさんたちから逃げ切り、安心———しようとしたけど、無理だった。眠気が襲ってきたから。それもそうだ。寝てないんだもの。このゲームには食欲はないのに睡眠欲はある。―――勿論、性欲も。だから男の人、特にスラム街に居る人は私を襲ってくる。そんな中で安心などできない。ましてやここで眠ってしまったらどうなるかなど火を見るより明らかだ。そんな愚行、私はしたくない。ではどうしようか。
スラム街から出る。―――どうやって?さらに迷うかもしれないよ?
ここで誰かが助けに来るまで待つ。―――誰かが来るの?それはいつ?助けくれるの?
ここで生きていく。―――生きていけるの?どうやって?
そんなことが脳内を駆け巡っていく。様々な案が浮かんでくるが、全てネガティブな思考で否定されていく。もう私には立っている気力も体力もなくなり、地面に座り込んでしまった。そしてまた、思考の渦に巻き込まれていった。
どれくらい考えていただろう。そこまで時間は経っていないと思う。でも、私はもう限界だった。
———もう諦めちゃいなよ。何も考えずに、只々毎日生きていけばいいじゃん。
そんな悪魔の囁きが聞こえてきそうだった。たった数日、それだけで私のメンタルはボロボロになっていた。
————もうここから出るのは諦めた方が良いのかな。男の人たちに媚売っておけば死なずに済むかな。媚を売るには何が必要?体だけでいいのかな?こんな貧相な私の体でもいいのかな?
そんな考えばかりが頭に浮かんでくる。どうせ誰も来ない。そう思いこれからどう生きようか考え始めた時、男の人の声が聞こえた。また逃げないといけないのかな。でもそんな体力無い。
———はぁ、仕方ない。本当は好きな人とが良かったけど、今更そんな高望みは無理。
私が初めては自分が愛した人がいいと思いながら、諦めモードに入ろうとした、その瞬間だった。―――彼が来たのは。
※
問題が起きたのはゲームから落ちるときだった。なんと、ログアウトしようとメニューを開いたら、どこにも【ログアウト】のボタンがなかった。その時はただのバグだと思って誰にも言わなかった。
それから【始まりの草原】に行って魔物を狩ったりして時間を潰していた。でも、何時間たっても【ログアウト】のボタンは出てこなくて、運営が強制ログアウトもしてくれなかった。この頃から何かおかしいと思っていた。でも何もできなかった。今の時間は深夜三時過ぎ、この時間までログインしている人はガチ勢だったり、オタクだったりと、あまり近づきたくない人たちだった。だって、ガチ勢は私が弱いし、それにそもそも私のゲームの腕はそこまで上手じゃないから。オタクの人たちは、忌避感があるわけじゃないけどなんか怖かったから近づけなかった。
それでこれからどうしようか考えていた。お金は装備を買うために使っちゃってほぼ残ってないし、ソロで戦うための力もないし、それに今ゲームオーバーになったらいけない気がしたから【始まりの街】の中をうろうろしていた。その時、私に声をかけてくれた人がいた。
「お嬢ちゃん、今一人?俺たちと遊ぼうよ」
「お、こいつぁ可愛いな。NPCなのか?」
「プレイヤーだろ。アイコン見てみろよ」
「あ、ほんとだ。プレイヤーか。確かこのゲームって性別は変えられないんだよな?」
「確かそうだと思うぞ」
「そんなこと良いだろ!早くしようぜ!」
私に声をかけてきたのは三人の男の人だった。男の人達の私を見る目がいやらしかったし、舐め回すように凝視してきたから、気持ち悪かった。すかさず私は逃げた。遠くへ、遠くへと。
息が切れて苦しくなり、走る速度も落ちてきたころ、私は後ろを見てみたがあの人たちはもういなかった。良かった、と安堵の溜め息を吐く。でも、私は次の問題に気付いた。
「ここ、どこ・・・?」
今、自分が居る場所が分からなかった。どうしよう。
そのまま周りが明るくなるまで周囲を散策していた。それでわかったことが、
「ここ、スラム街かな・・・?」
ここがスラム街なのではないか、と言うことだった。地面は汚くて周りにある壁もボロボロで所々黒くなっていたり、更には真っ赤な手形もあった。・・・全裸で倒れている女性もいたけど見なかったことにした。でも、いくらゲームで、ここにはプレイヤーが来ないからってここまですることはないんじゃないかな?そもそも、プレイヤーが来ないのに何でこんなに凝って作ってるの?・・・運営が遊ぶため?
そんなことを考えていると、またしても声を掛けられた。
「おや?こんなところで何してんの?・・・もしかして、おじさんたちと遊びに来たの?」
「ならばたっぷりと遊んであげなければな」
今度はおじさん二人組だった。私はこのおじさんNPCたちに迫られた。抵抗しようとしても男と女。少しレベルアップしてるけど、おじさんたちは二人、対して私一人。私に選択肢なんて一つしかなかった。つまり———逃げ。
おじさんたちから逃げ切り、安心———しようとしたけど、無理だった。眠気が襲ってきたから。それもそうだ。寝てないんだもの。このゲームには食欲はないのに睡眠欲はある。―――勿論、性欲も。だから男の人、特にスラム街に居る人は私を襲ってくる。そんな中で安心などできない。ましてやここで眠ってしまったらどうなるかなど火を見るより明らかだ。そんな愚行、私はしたくない。ではどうしようか。
スラム街から出る。―――どうやって?さらに迷うかもしれないよ?
ここで誰かが助けに来るまで待つ。―――誰かが来るの?それはいつ?助けくれるの?
ここで生きていく。―――生きていけるの?どうやって?
そんなことが脳内を駆け巡っていく。様々な案が浮かんでくるが、全てネガティブな思考で否定されていく。もう私には立っている気力も体力もなくなり、地面に座り込んでしまった。そしてまた、思考の渦に巻き込まれていった。
どれくらい考えていただろう。そこまで時間は経っていないと思う。でも、私はもう限界だった。
———もう諦めちゃいなよ。何も考えずに、只々毎日生きていけばいいじゃん。
そんな悪魔の囁きが聞こえてきそうだった。たった数日、それだけで私のメンタルはボロボロになっていた。
————もうここから出るのは諦めた方が良いのかな。男の人たちに媚売っておけば死なずに済むかな。媚を売るには何が必要?体だけでいいのかな?こんな貧相な私の体でもいいのかな?
そんな考えばかりが頭に浮かんでくる。どうせ誰も来ない。そう思いこれからどう生きようか考え始めた時、男の人の声が聞こえた。また逃げないといけないのかな。でもそんな体力無い。
———はぁ、仕方ない。本当は好きな人とが良かったけど、今更そんな高望みは無理。
私が初めては自分が愛した人がいいと思いながら、諦めモードに入ろうとした、その瞬間だった。―――彼が来たのは。
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