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しりうす。

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デスゲーム?

Stage Ten

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「調子はどうだ?」
「順調ですよ」
「そうか」

 此処は都内某所のオフィスの中。其処で二人の男が話していた。

「今どれくらいだ?」
「サーバー強化してアップデートの準備もしたのでほぼ全てのプレイヤーが対象になりますね」
「よくやった。この調子で頑張れ」
「はい。ところで、プレイヤーたちにプレゼントを与えませんか?」
「プレゼント?」
「ゲームと言ったらガチャですよ、ガチャ!」
「ふむ。良いのではないか?好きにやればよい」
「ありがとうございます!」

 話が終わったらしく、片方はカタカタとパソコンのキーボードを打ち、もう片方はコップに注いだコーヒーを飲んでいた。



 目が覚める。ここは俺が泊っている宿の一室だ。今日も今日とてレベル上げに勤しもうと、体を起こす。・・・しかし、起きることができない。何故だ?と思いつつ、自分の上を見てみた。・・・何もいない。右腕が何か柔らかいものに包まれているような感覚がするが、スルーする。次に、左腕を見る。・・・何もいない。・・・右側から「すぅ・・・すぅ・・・」と言う可愛らしい寝息が聞こえる。仕方なしに右側を見ると、俺と同い年位の少女がいた。・・・まぁ、ここで慌てたりはしない。何故なら、この状況は簡単に説明が付くからだ。

 ここで、この少女の事を少し説明しよう。彼女は明日葉未来。このゲームでの名前はミライ。黄道北星高等学校に通う女子生徒だ。容姿は艶のある黒髪を後ろでポニーテールに結っている。端正な顔立ちで、勉強もそこそこ出来る。運動は、まぁ、触れないでおこう。そんな彼女がここに、正確には俺の隣で寝ていることについて説明しよう。

 彼女———ミライは、このゲーム、【Another World・Online】からログアウトできなくなってしまっている。そして、スラム街で倒れているところを俺が助けたのだ。そこからは、この宿まで連れてきて、今後のことについて話し合い、ミライの誘惑にも耐えて、俺はログアウトした、と言うところまでは覚えている。

 しかし、しかしだ。何故、ミライは、俺の隣でしかも全裸・・で寝ている!?・・・まぁ、隣で寝ているのは良しとしよう。このゲームはプレイヤーがログアウトしても、アバターだけは残るので、抱き枕代わりとして使っていたのだろう。一人じゃ寂しい的なことも言ってたし。だが、何故全裸?もしかして俺がいない間に既成事実とか作ってないよな?大丈夫だよな?・・・まぁ、何はともあれ、ミライを起こすことにした。

「おい、ミライ起きろ」
「ん~。・・・あと4分30秒・・・寝かせて・・・・・・すぅ」
「やけに現実的な長さだな!おい!起きろって!朝倉たちが来るぞ?」
「!・・・ふぁ~。・・・あ、そか。薫たち来るんだっけ・・・?」
「そうだ。取り合えず服着ろ、服」
「え?」

 ミライは一瞬意味が分からないような表情をしていたが、段々自分が今どんな格好をしているのかに気付き、顔を真っ赤にしながら叫んだ。

「き、キラ君!ほ、本番は、夜がいいな~」
「何言ってんの!?ねぇ、何言ってんの!?」
「え?キラ君が私に欲情しちゃったんでしょ?だから、そういうことするのはいいけど、夜の方が良いな~、って。別に、今じゃなきゃダメってことなら今でもいいよ?」
「よ~し。早く着替えような?ん?」

 キラは むしを した!

「はい!3秒で着替えます!」

 ミライは なぞの あつに おしつぶされた!

 ミライは本当に3秒で着替えた。着替えた、と言ってもメニュー画面を出し、装備欄に服や防具をスライドしてセットするだけの簡単なことなので当たり前だが。
 ミライが着替えたので、今一番聞きたいことを聞くことにする。

「んで、ミライ。俺がいない間、変なことしなかったよな?」
「し、してないよ~。・・・匂い嗅ぐぐらいしか」
「してんじゃねーか」
「だ、だって!キラ君の匂いを嗅いで少しでも安心したかったんだもん!」
「そ、そうか」

 ぐっ、そんなこと言われたら強く言えないじゃないか。

「はぁ、ま、いっか。そんなことよりもうそろここでないと集合時間に間に合わないぞ。準備できてるか?」
「うん!」

 【始まりの街】転移水晶前広場。ここは〝転移水晶〟と呼ばれる、街と街を一瞬で移動できる水晶がある広場だ。もっとわかりやすく言うと、この世界に初めて入ってきた場合、ここに出る。つまり、リスポーン地点、と言うことだ。ここに俺とミライは来ていた。

「もうそろそろだな」
「何か緊張してきた・・・」
「なんでだよ」
「いやだって、久しぶりじゃん。キラ君と一夜を共に過ごしちゃったじゃん」
「誤解を招くような発言をするな!」
「あ!来たよ!」
「ごめんね~。待った?」
「ああ、少し待った」
「そこは今来たところだよ、って言って欲しかったな~」
「今来たところだよー」
「今言っても遅いの!しかも棒読みだし!」

 今何かガヤガヤうるさく言っているのは・・・誰だ?話しかけられたから反応してたけど。

「誰?」
「私よ私」
「詐欺?」
「ちっがーう!朝倉よ!あ・さ・く・ら!」
「やっぱり」
「分かってたなら聞かないでよ!・・・あ、因みにこのゲームではカオリだから」
「本名か」
「いつもカオリでやってるからね!」
「ふ~ん」
「興味なさそうね」

 うん。興味ないかな。でもそれを言うとまたうるさくなりそうだから言わないけど。

「あの・・・人前でイチャイチャしないでもらえます?」
「あら、無事だったのね。よかったわ、ミライ」
「キラ君が助けてくれたからね」
「んで?キラ君とはどこまで進んだの?」
「一夜を共にしました」

 おい!何勝手に言ってんだよ!しかも何故にドヤ顔?無い胸も張らなくていいからな?・・・ミライは貧乳だったね。さっき知ったけど。

「なにか失礼なこと考えませんでした?キラ君」
「な、なにも?」
「えぇ~!未来・・・ミライか。ミライはもう大人になっちゃったんだね」
「ミライが変なこと言うから誤解されちゃったぞ!」
「勝手にさせていればいいじゃないですか。別に私は肯定していませんよ?否定もしていませんけど。っていうかしませんけど」
「否定しようよ!」
「イヤです」
「あ~もう!ミライ、カオリ!宿に行くぞ!」
「えっ!私だけでは満足できずにカオリにまで手を出すんですか?」
「そうなの!?」
「うるさい!黙ってついてこい!」

 もうヤダ。おうち帰りたい・・・。
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