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しりうす。

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Stage One Hundred And Seven

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「どうしよう・・・」
「どうしようか・・・」

 解決策を考え始めて数秒。たったそれだけの時間で、二人は頭痛を覚えるほどに脳を酷使していた。一つの武器に、キラ、ミライ、カオリ、サクラの特徴を織り込んだ武器を造ることはできる。それでも造れないのは、武器が変形するため稼働部が増え、耐久度が異常に少なくなってしまうからだ。

「もうさ、別々にする?」
「そうしようか」

 数十秒後、二人はそれぞれの武器を造り始めた。一つの武器にするのは諦めたようだ。そして、作り始めてから数十分後、武器は完成していた。

「「できたー!」」
「お、新しい武器、造り終わったのか。どんな武器なんだ?」

 二人の武器が完成した丁度その時、キラ達が帰ってきた。二人はキラに武器の性能を説明し、今度はキラ達にどうだったのかを聞いた。

♢♢♢

「まぁ俺は楽勝だったな。ミライ達はそうでもないようだが」
「そうですね。突然強くなりましたから。サクラちゃんに聞いていなかったら対応できなかったと思います」
「私も同じ考えね。よくサクラは勝てたと思うわ」
「あの変化は卑怯だよね。今まで攻めてこなかったのにいきなり攻めてくるんだもん」

 俺の場合は相手が俺達の事を人族、それも【種族進化】していないプレイヤーだと思ってるから最初は力を見極めるため防御に徹し、ある程度読み切ったらそれを攻略するための戦闘データをインストール。そして猛攻してくるっていうだけのプログラムだから、防御している間は遠くから魔法を使って魔法職だと思い込ませて、その後は魔法職に対しての攻撃しかしてこないから一気に接近して連続攻撃を食らわせれば勝利。これができれば楽勝だ。この戦い方は魔法剣士とかでもできると思う。
 と、言うことをブルーとレッドに話し、俺は二人を連れて神殿に向かった。

 そこは、やはり険しい崖の上に建っていて、吹き付ける暴風により全体的に風化しているように見える。しかしそれでもなんとも言えぬ威圧感があり、遊び半分で中に入ろうなどとは思わない。

「いいか?絶対に最初から本気を出すんじゃないぞ?途中で何かブツブツ呟くと思うから、その後の攻撃には十分に気を付けてくれ。・・・誰から行く?」
「わ、私から行きます・・・お姉ちゃんですから・・・・・・」

 名乗り出たのは、ブルーだった。やっぱり死ぬかもしれないことをするのは怖いのか、足がぶるぶると震えている。それを見て、俺は努めて優しく声をかけた。

「怖いならしなくてもいいんだぞ?ブルー達は家の中で武器を造ったり修理しててくれれば、俺やミライが絶対に守ってあげるから」
「いやです。守られているだけって言うのは、いやです。この前戦ったゴッドギャラクシーに所属する生産職の人も絶対にこれに挑戦するはずです。それで負けるのは嫌なんです」

 ブルーのその決意表明は、即答だった。横ではレッドも首を振り、その眼はブルーと同じ色をしていた。

「・・・わかった。アイテムのチェックは終わってるな?」
「はい」
「・・・絶対に、クリアして来いよ」
「・・・はい」
「・・・お姉ちゃん、頑張ってね」
「うん。頑張ってくるね」

 ブルーは俺達と違って、純粋なプレイヤーだ。スキルや称号でステータスアップを受けていないため、この戦いは、本当に危険だ。それでも行くというのならば、俺は止めない。止めることはできない。
 レッドもブルーを応援し、ブルーもそれに応える。
 そして、

「行ってきます」

 ブルーは一人、神殿の中に入っていった。

 数時間後、ブルーとレッドの【種族進化】は完了し、俺達は家に帰った。

 家に帰ると、豪華な料理がテーブルの上に並んでいた。片隅にある禍々しいオーラを放つダークマター的な何かは、俺には見えない。

「おかえりなさい、キラ君」
「ただいま。ミライ、これは?」
「ギルドメンバー全員の【種族進化】完了のお祝いパーティーです!」

 と、言うことは、ミライは二人がクリアできると信じて・・・いや、確信してたわけだ。それに、ここにミライがいて、サクラとカオリが料理を運んでいるということは、アンラもそう思っていたと言う訳だろう。少しは心配してもいいと思うけど、信頼するのもいいと思う。ギルドメンバー同士、信用がないといざという時最悪なことになりそうだからね。
 それに、こういうお祝いの準備をするのはギルマスの仕事だよね。

「さぁ!全員の【種族進化】完了を祝って───乾杯!」
「「「「「「かんぱーい!」」」」」」

 それぞれが持ったジュース入りのグラスを突き合わせ、カンッといい音を響かせる。中身はオレンジジュースだったりリンゴジュースだったり、大人な雰囲気を味わえるように味の濃いぶどうジュースやマスカットジュースのスパークリングなどもある。
 テーブルには様々な料理が並べられている。鳥の丸焼きなどもあり、とても食欲をそそる。この鳥の丸焼きは【センド平野】という【始まりの平原】の次にある平たい土地に生息する鶏の姿をした魔物で、主に食用に使われる肉がドロップする。初期の頃はいい稼ぎどころだろう。
 その魔物は強力なケリで攻撃するため、足、特にももの発達が凄く、食べると脂がのっていて口の中で溶けるような食感だ。

 並んでいるのは、ご飯だけではない。氷の入ったグラスに挿されているポッ〇ーや、チーズなどの素材が乗せられたリ〇ツなど、沢山のお菓子がある。
 これ、現実で食べたら確実に太る奴だな、うん。

 その後は、夜遅くまで騒ぎまくり、疲れ果て寝落ちしてしまったサクラ、カオリ、アンラ、ブルー、レッドをそれぞれの自室に運んだ。ミライも目を擦ってたので眠いのだろう。俺も眠い。

「ミライ、寝るか?」
「・・・キラふんといっひょにれすかぁ~?」
「いやそういう訳じゃ・・・まぁ、俺と寝たいならそれでもいいけど」
「・・・いっひょにねたいれふぅ!」
「じゃあ俺の部屋まで行こう。・・・歩ける?」

 ミライは既に目を瞑り、ゆらゆらと微かに揺れている。ほぼ寝ているのと同じだろう。仕方がないので、俺はミライの背後から背中と膝を支え、持ち上げた。所謂お姫様抱っこの状態だ。
 その状態でミライを見ると、口元がにやけていた。起きているというより、とても良い夢を見ているのだろう。
 そう思うことにして、俺は階段を上り・・・

「・・・おやひゅみなはい、キラふん・・・」
「・・・おやすみ、ミライ」

 恐らく寝相と寝言だろうが、ミライに頬にキスされ、不意打ちだったのもあり少し顔が赤くなっているのを自覚しつつ俺は速やかに自室に戻り、ミライをベッドに寝かせて、その横で俺も眠りについた。
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