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しりうす。

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新たなステージへ!

Stage One Hundred And Five

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 その情報が入ってきたのは、サクラと233手に及ぶ死闘を将棋で繰り広げた翌日だった。サクラ強すぎだろ・・・。粘りに粘ったが、俺の攻め駒が無くなったので投了。穴熊固すぎだろ。
 
 閑話休題。入ってきた情報とは、【種族転生】を行う神殿についての情報だった。場所は【マジエンスシティ】から数個の街を経由した先にある荒野。しかし、そこは荒れている、というよりもサバンナに近いような景色だそうだ。神殿には看板が立っており、そこにはこの前と同じような文言が書き込まれていた。前回と違うのは種族だ。今回は人のようだ。
 それだけでない。その神殿と真逆の方向にも神殿が見つかったのだ。場所は同じくらい離れている山岳。切り立った崖が多数存在し、足を踏み外したら・・・想像もしたくない。
 さて、今の俺はどちらに行こうか迷っている。ブルー達を早く【種族転生】させてあげたいのもあるし、ミライやカオリもさせてあげたい。

「う~む。どちらにしようか」

 俺がリビングで考えていると、ミライが隣に座った。両手には湯気が立ち上るマグカップを持っている。

「はい、キラ君。どうしたんですか?」
「ありがとうミライ。いや、どっちの神殿に行こうか迷ってて」
「・・・サクラちゃんにブルーちゃん達を任せて、私達は私達の神殿に行くって言うのはどうですか?」

 ミライの提案は、俺も考えたことだった。お金を沢山渡して旅立たせれば、途中で餓死するということもないだろうし、宿にだって止まることができる。しかし、

「それだと何かあった時に心配だろ。もしPKにでも遭遇したらどうするんだよ」

 ドワーフの神殿がある場所は、一度【始まりの街】を通過するので、待ち伏せしているPKに出くわさないとも限らない。そいつらは他のゲームと同様にプレイヤーを殺しているので、頭の上に橙から赤のアイコンが表示される。色が濃くなるに連れて犯した犯罪が重くなる。勿論全プレイヤーが対象なのでブルーとレッドでも安心できない。
 サクラのレベルで負けるとは思わないが、一対多の状況ならばわからない。もし人質でも取られたら手も足の出ないだろう。

「もうみんな一緒に行けばいいじゃないですか。態々別れる必要なんてありませんよね?」
「それはそうだが、早いに越したことはないだろ?」
「じゃあ早く攻略すればいいじゃないですか。時間はありますよね?」

 ぐぅの音も出ないとはこの事か。確かに速攻で攻略すればいい話だ。サクラの話では最初の頃は防御に徹していて攻撃はあまりしてこないようだったし。

「じゃ、そうするか。ちょっと下見してくるわ」
「行ってらっしゃいです」
「行ってくる」

 [純白翼のコート]を羽織り、庭に出る。そして背中に七対十四翼の翼を生やす。左側を漆黒に染め、反対側を純白に染める。コートも色も翼に対応するように二色が混ざり合った灰色になっている。これがデフォルト。
 庭の地面を踏み砕くつもりで上に跳び、最高到達点に達した瞬間に翼をはためかせる。進行方向を【マジエンスシティ】方面に合わせ、[天駆のブーツ]と使って空中に足場を展開。それを蹴って勢いよく飛ぶ。

 数十秒した後に翼を全て純白で染め、スピード重視型に切り替える。一度翼をはためかせれば、空気の幕を破りそうなほどの速度で飛翔する。
 そんな速度なのにもかかわらず、まだ着く気配はない。恐らく後数分かかるだろう。

 その読みは当たってア俺から四分後に目的地に着いた。翼を全て漆黒に変え、その神殿を目視する。神殿全体を蔓が覆うように隠し、保護色の役割を果たしている。
 そこまで見た俺は、空中に浮遊し、方向転換をする。向かう先はもう一つの神殿だ。足場を展開し、今度は最初から純白の翼で飛翔する。勢いよく障壁を蹴ると、パリンッという音を残して俺は消えた。

 倍の時間をかけて神殿に到着してみれば、そこには凄まじい光景が広がっていた。全てが垂直とほぼ変わらないほどの角度を持った崖で、所々抉れている為垂直よりもさらに角度が大きい場所もある。
 そんな環境の中に神殿はあった。崖の頂上に鎮座し、そこに吹き付ける暴風のせいか石は風化し建物はボロボロ。今にも崩れてしまいそうだった。
 こちらも外見と場所を目視だけして今度は家に帰った。家を出発して帰宅までの所要時間は、十五分程度。攻略も視野に入れて総合的にかかる時間を考えると、早くても二時間。長くて三から四時間程度だろうか。
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