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しりうす。

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新たなステージへ!

Stage One Hundred And Two

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 騎士(笑)を倒したサクラは、奥の扉の中に入った。すると、ウィンドウに新しい文字が浮かんできた。

『試練突破を確認しました。これより【種族転生】を行います』

 サクラの身体が薄緑色の光に包まれ、数秒後にはその光が弾け飛んだ。サクラの身体に変わりはないので、見た目が変わったわけではないようだ(実は小さい変化だが耳が長くなっている)。

 ステータス画面を開いてみると、二倍とまではいかないがステータス値が増えていた。さらに【種族スキル】という欄が追加され、そこにはかなりたくさんのスキルが書かれていた。サクラはその全てスルーし、少し先にある魔法陣の上に乗った。サクラを白い光が包みこみ、浮遊感が襲う。しかしそれも一瞬の事で次の瞬間には神殿の入り口前にいた。

 周りをサクラが見回すと、少し先にキラ達の姿が見えた。それを確認したサクラは駆け足でキラ達のもとへ近づいて行った。
 はたして、サクラがそこで見た物とは。

「な、なんでたわししか出ないのよ~!」

 たわしに囲まれ涙するカオリとそれを無表情で見つめるキラとミライの姿だった。とりあえずサクラはキラのもとへ行き、試練終了の報告と現状の説明を聞いた。

「カオリが朱雀を狙ってガチャ引いてんだけど、このざまだ。そろそろカオリの金が尽きるぞ」

 確かにカオリのガチャ運が悪いのは知っていたが、サクラは未だに軽く見積もっていたようだ。サクラはカオリのガチャ運の悪さを規格外にまで引き上げておいた。

「よし、サクラも帰ってきたことだし帰るか」

 キラがそう言いだすと、ミライは自然に。サクラも自然に手を繋ぎ、カオリも自然にたわしをストレージにしまってからキラにつかまった。自然にストレージにしまえるほど動作が身に付くなんてカオリは凄いと、その場にいたカオリ以外の全ての人が思った。

 無事(?)に朱雀を引き当て、その朱雀が卵を温めているところを優しく見守っているカオリを横目に、俺達は家の庭に出ていた。正面にはサクラがいて、家からはミライとアンラが俺達を見ている。
 サクラは[烈火の弓]を握りしめ、じりじりと間合いを測っている。そう、これから(というか今現在)俺達は模擬戦をするのだ。理由は勿論サクラがどこまで強くなっているか、であり、そこまで強くなっていないのであれば【種族転生】の優先順位を引き下げるつもりだ。
 俺は[しらゆり・くろばら]を腰に差し、いつでも抜けるように準備しておく。今回はサクラから言われるまで俺は防御に徹する。模擬戦と言っても検証のような感じだからな。

「・・・いく」

 その言と同時にサクラは神速で弦を引き絞り、三本同時に矢を解き放つ。それを俺は易々と避け、守り、切り捨てる。本気のサクラはいつ攻撃されるかわからないから、前兆があるならこれくらい余裕だ。

「・・・今の、が・・・通常、の、ような・・・もの」
「・・・マジで?」
「・・・まじ」

 え、三本同時&見えない矢が通常攻撃?それって、サクラのってことだよね?全員じゃないよね?【愛縁】の力で強化されたサクラだからだと信じてる。

「・・・次、いく」

 次のサクラの攻撃は、弦を引き絞るだけの予備動作だった。矢を番えることもせず、真っすぐに俺に照準を合わせ、手を放す。

「・・・【魔法の矢マジックアロー雷牙らいが】」

 サクラが極限まで引き絞られた弦を放すと同時に俺の横をバチバチッという音を残して何かが奔った。なにこれ怖い。

「・・・MP消費、で・・・魔法の矢、放つ」

 あ~なるほどね。杖が無くても魔法が使えるよ、みたいな?そんな【種族スキル】か。・・・フッツーに怖いいいですけど。

「・・・でも、消費多い、から」

 多用はできない、と。まぁ、こんな初見殺し乱発できたら最強だわな。

「・・・とりあえず・・・これ、で・・・全部」
「他にもあるのか?」
「・・・ある」

 ここからは簡単にまとめる。沢山あってサクラの話し方じゃあ聞きづらいからな。
 まず【MP回復量増加】。これはそのまんまだな。
 次は【攻撃量増加】。これはサクラが使ってる同時に矢を放つ奴の事だな。これだけで恐怖だよ。【魔法の矢】との競合は無理らしい。
 他にも【俊敏強化】とか【消費MP量減少】、【魔法威力上昇】などその名の通りのスキルがずらりと並んでいた。これだけでも【種族転生】した意味があると思う。これは早くミライとかもさせたいな。
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