チート級スキルを得たゲーマーのやりたいことだけするVRMMO!

しりうす。

文字の大きさ
上 下
91 / 118
Let's ギルドバトル!

Stage Eighty-Four

しおりを挟む
「皆!やっぱりこいつ先に仕留めるよ!」

 このままではサクラに完封されてしまうと考えたコノハは、全戦力をサクラに投入しようと考えた。だが、それは悪手も悪手、大悪手だ。
 何故なら、放置することにしたプレイヤー、アンラは。レベルが低いが称号に【βテストクリア者】があるのだ。注意を背けた瞬間、一閃。───クレアシオンに貰った武技、【天衣無縫】を使った一撃だった。
 そのたった一撃で後ろにいたプレイヤー二人が倒れた。そのままアンラはサクラの元へ戻り、横に並んだ。

「・・・私が」
「わかった。シュパっとやっちゃって!」
「・・・シュパ」

 気の抜ける掛け声と共にサクラは矢を打ち放つ。飛ばされた矢が描く残像は、一筋。しかし放った矢の数は、三本。それが一直線に一人のプレイヤーへと飛んで行った。
 そして、命中。一発もずれることなくピンポイントへ当たり、クリティカルダメージを出す。このゲームは、攻撃が当たった数舜の内にそこを攻撃するとクリティカルになる。その数舜が凄く短いが、それをサクラは成功させたのだ。勿論相手は倒れた。

「さっすが~!さぁ後二人もやっちゃって~!」
「・・・シュパ」
「一度見たら対応するよ!」

 その言葉通り、コノハは横へステップ。少しずれることでサクラの矢を回避した。
 さらにそれと同時にもう一人がコノハとは反対側に回り、サクラを挟んだ。

「どう?これなら攻撃できないでしょ?」
「・・・できる」
「なに、ブラフ?そんな手に乗るわけないじゃない」
「・・・」
 
 サクラは少し怒ったのかデフォルトのジト目をさらにジトっとして矢を放った。空へ向かって。
 これまた描かれる残像は一本。しかし、風切り音は無数に聞こえてくる。いったいどれほどの量を打ったのか。それは、すぐに分かった。

「・・・名、付け、て・・・【幾千の矢】」

 サクラが言った通り、空から無数の矢が落ちてきたからだ。その恐怖すら覚える精密射撃による、空からの攻撃。当然自分には当たらないようになっている。もし、自分のところに逃げてこられても、対応できるように矢を番えておく。

 そんなことをされては、もうなす術などなく、あとはHPが切れるのを待つだけだった。


※※※───※※※

ところ変わってこちらミカエルさん。勢い余って家屋に衝突してから少し時間がたっている。MPもある程度回復しているようだ。

「無理しすぎた。・・・っ誰!?」

 ミカエルは、周囲を魔法で探る。するとすぐに反応があった。

「あら、気付かれちゃいました」
「お、お前は・・・?」

 瓦礫の陰から出てきたのは1人の女性。しかしアイコンを見るにNPCのようだ。そのNPCは、抑揚のない声で、さらに続ける。

「わたくしはカムイ様の僕である女神、イシスです。以後、お見知りおきを」
「何の用だ」
「少々邪魔なのであなた方を排除しようかと」
「・・・誰に言われた?」
「自己判断です」
「それは───」
「お話はここまでです。ここであなたを倒させていただきます」
「っ・・・」

 言うと同時に放たれた【光矢】を、ほとんど反射で転がるように躱す。
 少しでも時間稼ぎをしなければ。時間を稼げば遊撃隊の援軍が来る。そう思いミカエルは、攻撃よりも回避に主力を注いだ。

 どれくらいたっただろうか。恐らく3分も経っていないだろうが、ミカエルには永遠に感じた。
 性能差ではミカエルの方が断然上だが、いかんせん今はMPが少ない。なので空を飛んで回避という選択肢が取りにくいのだ。しかも魔法を使うことはできれば控えたいため、今のミカエルには回避することしかできないのだ。

「いい加減諦めたらどうですか」
「・・・だめだ」
「では、倒されますか?」
「・・・だめだ。それだけは絶対に」

 倒されるということは、もう二度とキラに合えないということだ。
 今回のギルドバトル。プレイヤーはHPが尽きることはないと言っていた。だが、NPCは別だ。HPが尽きれば当然、消える。それはミカエル自身とても嫌だ。さらに今回は必ず帰って来いという命令もされている。なのでミカエルに諦めて消えるという選択肢はない。

「仕方ありませんね。これは使いたくなかったのですが」
「なに?」
「【神力解放】」
「!?」

 ミカエルは、イシスの力が増していることに気付いた。
 【神力解放】。クレアシオンが使う【神気全開放】と違い、こっちはガチャで出る神系NPCが使える技だ。【神気全開放】よりもグレードは落ちるが、ランダムで1,5倍~2倍までステータスが上がる。
 これにより、ミカエルとイシスの拮抗していた力関係が崩れた。

 それからはミカエルは必死に避けるものの何発かは当たるようになり、それが繰り返された今はもう、あと少しでもダメージを食らうと消えてしまう程にHPが無くなっていた。

「では、さようなら」
「ぇぇぇぇえええええええい!」

 そんなピンチに現れたのは、遊撃隊のNPCである、トールだった。
 結果だけ言うと、トールはミカエルと同じくボッコボコにされた。理由はいたって単純。攻撃速度が遅いからだ。
 トールはハンマーを使って攻撃するが、攻撃モーションに入ってから攻撃までの時間と、イシスの攻撃までの時間が面白いまでにマッチしていて、イシスの攻撃ばかりが当たっていた。
 何しに来たんだトール。という目を送るミカエルさん。あなた、自分のミス棚に上げてません?

「少し邪魔が入りましたが、まぁいいです。まとめて始末しましょう」
「それはどうかな?」
「またですか。今度は誰ですか?」
「プレイヤー、って言ったらわかるかな?」

 声が聞こえた方を向くイシス。つられてミカエルとトールも見ると、そこには。

「そこのミカエルの主、キラだ。良くもまぁ俺の従者を瀕死にしてくれたなぁ?」

 背中から腰にかけて七対十四翼の翼を、半分は純白、半分は漆黒に染めたキラだった。
 ここでトール。あれ、俺は・・・?と思ったが言わないでおいた。自分の主怖い。

「プレイヤー、キラ。あなたを敵とみなし、排除します」
「おう、やってみろ。返り討ちにしてやるから♪」

 キラはにっこりと笑顔で対決を始めた。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...