62 / 118
創造神に会いに行こう!あとついでに龍神も
Stage Fifty-Six
しおりを挟む
「カオリ!?」
「・・・え?」
ミライとサクラは驚いていたが、今はそんなこと言ってる場合じゃねぇ!俺が使った【目印】は、使った相手の位置と、周りの状況がわかる魔法だ。それの情報はミニマップ(全プレイヤー所持)に映し出される。そして、そこには───夥しい量の魔物に囲まれたカオリのマークがあった。
推測できる魔物の種類はオリハルコンゴーレム。そしてカオリには有効打となる攻撃がない。つまり、このままだと待っているのは───死だ。それだけは阻止しなければ!
こんなに呑気に考えてる場合じゃねぇ!早く移動しないと!
「ミライ、サクラ!急ぐぞ俺に付いて来い!NPCを使うんだ!」
「っはい!」
「・・・わかたっ!」
高速で移動しているが、ここからカオリのところまで結構な距離がある。今はカオリが【百花繚乱】でも使っているのか機敏に動き回っているが、それもいつまでも続くわけじゃない。一刻も早く辿り着かなければ!
焦っても仕方ない。何故こうなってしまったかを考えよう。この階層は魔物が出るのは魔物部屋しかないのだろう。何もいない所を探索させ、疲れたところで壁に描かれている“転移魔法陣”で魔物部屋へ強制的に移動させ、倒す。そういう階層だろう。くそっ!もっと早く気付いていれば!
「キラ君!今は自分を責めていないでカオリを助けることだけに集中しましょう!」
あぁ、ミライ。こういう時は心を読んでくれて助かると思うよ。
「わかってる!先に行くぞ!───【神護】【神足通】!」
先に行くので、ミライ達に【神護】をかけ、【神足通】でほぼ瞬間移動ほどの速さで移動していった。
◇◇◇
「カオリ!そこから離れろ!」
最初は何を言っているかわからなかった。でもすぐに分かった。いや、分からされた。だって───浮遊感を感じだんだもの。この浮遊感は“転移”の証。そして、ダンジョンで“転移”といえば、トラップしかないじゃない。
私が転移させられたのは、とても広い部屋だった。遮蔽物は何も無くて。平らな床と、平らで飾り気のない壁。照明も何もついていない天井で囲まれた、そんな部屋だった。一瞬、どんなトラップかわからなかったけど、すぐにわかった。だって───沢山オリハルコンゴーレムが沸いてきたのだもの。
その瞬間、私は悟った。───私はここで、死んでしまうのだと。
「【明鏡止水】【百花繚乱】」
出た言葉がそれだった。今更叫んでもどうしようもない。でも───精精、命尽きるその時まで、必死に足掻いてみようと。そう思った。
それからはどうやったのかは分からない。我武者羅に、一心不乱に、攻撃を受けないように立ち回り、カウンターを入れる。それの繰り返し。でも───必ず終わりは来る。
「あ・・・」
疲労の所為か、私の片足に、もう片方の足が躓いて、私は倒れてしまった。いくら動きが遅いゴーレムであっても、数えきれないほどの量がいるこの部屋で、私が攻撃を捌きながら動き回れる範囲は当然広くなかった。なので、一瞬で今まであった空白がオリハルコンゴーレムで埋め尽くされ、今にもその最前線───つまり私に近いオリハルコンゴーレムが一斉に腕を振り上げ、私を圧し潰そうと迫ってきそう。
私は無意識のうちにこの部屋から脱出しようとしていたのかもしれない。何故なら、私の前方は、たった数体のオリハルコンゴーレムがいるだけで、その後ろはこの部屋から脱出するための扉だったから。
私の周りにいるオリハルコンゴーレム達が一斉に腕を振り上げた。もう10秒もしないうちに私はぐちゃぐちゃに潰されてしまう。
そこで、私は、世界がゆっくりに見えるようになった。あぁ、走馬燈ってこんな風に見えるのね。と呑気に考えていた。だって、もう、死んじゃうから。
私は幼いころからママに『情けは人の為ならず』と言われ続けていた。『誰かを助けることは、まわりまわって薫のためになるから』と。だから、人助けをたくさんしたし、誰もなりたがらなかった学級委員にもなった。なら、私の今の願い事くらい叶えてくれても、良いんじゃないかなぁ?いい加減、この感情を誤魔化すのも難しくなってきたよ?
だから、さ。この私の願い、かなえてくれないかなぁ?
──────誰か、助けてよ!いやだ!私はまだ死にたくないのよ!まだまだやりたいことはたくさんあるの!だから!
「だれか、たすけてよぉ・・・」
でも、私の願いは叶えられることなく、オリハルコンゴーレムの振り下ろされた腕に押しつぶされ───なかった。
「───【神護】!」
「え・・・?」
「お望み通り、助けてやったぞ?」
「キラ・・・キラぁぁぁああああ!」
「おう!俺だ!」
キラ・・・良かった。私、助けてもらえたのね?もう危なくないの、よね?・・・あぁ!キラ一人だけじゃ絶対に勝てない!私も一緒に戦わないと!
「キラ!私も加戦するわよ!」
「ばか。こんなの俺一人で大丈夫だって。お前は、ミライ達と後ろで観戦してろ。あ、あと涙拭いとけよ?」
キラのその言葉で、私は自分が泣いていることを初めて知った。そして、そう言った後すぐにキラが戦いに行ってしまったので、いつの間にか後ろに居たミライとサクラのところへ行った。
・・・キラが戦ってる姿をミライ達と見ているときに、胸がざわついていたのは、何故かしら?
◇◇◇
「・・・え?」
ミライとサクラは驚いていたが、今はそんなこと言ってる場合じゃねぇ!俺が使った【目印】は、使った相手の位置と、周りの状況がわかる魔法だ。それの情報はミニマップ(全プレイヤー所持)に映し出される。そして、そこには───夥しい量の魔物に囲まれたカオリのマークがあった。
推測できる魔物の種類はオリハルコンゴーレム。そしてカオリには有効打となる攻撃がない。つまり、このままだと待っているのは───死だ。それだけは阻止しなければ!
こんなに呑気に考えてる場合じゃねぇ!早く移動しないと!
「ミライ、サクラ!急ぐぞ俺に付いて来い!NPCを使うんだ!」
「っはい!」
「・・・わかたっ!」
高速で移動しているが、ここからカオリのところまで結構な距離がある。今はカオリが【百花繚乱】でも使っているのか機敏に動き回っているが、それもいつまでも続くわけじゃない。一刻も早く辿り着かなければ!
焦っても仕方ない。何故こうなってしまったかを考えよう。この階層は魔物が出るのは魔物部屋しかないのだろう。何もいない所を探索させ、疲れたところで壁に描かれている“転移魔法陣”で魔物部屋へ強制的に移動させ、倒す。そういう階層だろう。くそっ!もっと早く気付いていれば!
「キラ君!今は自分を責めていないでカオリを助けることだけに集中しましょう!」
あぁ、ミライ。こういう時は心を読んでくれて助かると思うよ。
「わかってる!先に行くぞ!───【神護】【神足通】!」
先に行くので、ミライ達に【神護】をかけ、【神足通】でほぼ瞬間移動ほどの速さで移動していった。
◇◇◇
「カオリ!そこから離れろ!」
最初は何を言っているかわからなかった。でもすぐに分かった。いや、分からされた。だって───浮遊感を感じだんだもの。この浮遊感は“転移”の証。そして、ダンジョンで“転移”といえば、トラップしかないじゃない。
私が転移させられたのは、とても広い部屋だった。遮蔽物は何も無くて。平らな床と、平らで飾り気のない壁。照明も何もついていない天井で囲まれた、そんな部屋だった。一瞬、どんなトラップかわからなかったけど、すぐにわかった。だって───沢山オリハルコンゴーレムが沸いてきたのだもの。
その瞬間、私は悟った。───私はここで、死んでしまうのだと。
「【明鏡止水】【百花繚乱】」
出た言葉がそれだった。今更叫んでもどうしようもない。でも───精精、命尽きるその時まで、必死に足掻いてみようと。そう思った。
それからはどうやったのかは分からない。我武者羅に、一心不乱に、攻撃を受けないように立ち回り、カウンターを入れる。それの繰り返し。でも───必ず終わりは来る。
「あ・・・」
疲労の所為か、私の片足に、もう片方の足が躓いて、私は倒れてしまった。いくら動きが遅いゴーレムであっても、数えきれないほどの量がいるこの部屋で、私が攻撃を捌きながら動き回れる範囲は当然広くなかった。なので、一瞬で今まであった空白がオリハルコンゴーレムで埋め尽くされ、今にもその最前線───つまり私に近いオリハルコンゴーレムが一斉に腕を振り上げ、私を圧し潰そうと迫ってきそう。
私は無意識のうちにこの部屋から脱出しようとしていたのかもしれない。何故なら、私の前方は、たった数体のオリハルコンゴーレムがいるだけで、その後ろはこの部屋から脱出するための扉だったから。
私の周りにいるオリハルコンゴーレム達が一斉に腕を振り上げた。もう10秒もしないうちに私はぐちゃぐちゃに潰されてしまう。
そこで、私は、世界がゆっくりに見えるようになった。あぁ、走馬燈ってこんな風に見えるのね。と呑気に考えていた。だって、もう、死んじゃうから。
私は幼いころからママに『情けは人の為ならず』と言われ続けていた。『誰かを助けることは、まわりまわって薫のためになるから』と。だから、人助けをたくさんしたし、誰もなりたがらなかった学級委員にもなった。なら、私の今の願い事くらい叶えてくれても、良いんじゃないかなぁ?いい加減、この感情を誤魔化すのも難しくなってきたよ?
だから、さ。この私の願い、かなえてくれないかなぁ?
──────誰か、助けてよ!いやだ!私はまだ死にたくないのよ!まだまだやりたいことはたくさんあるの!だから!
「だれか、たすけてよぉ・・・」
でも、私の願いは叶えられることなく、オリハルコンゴーレムの振り下ろされた腕に押しつぶされ───なかった。
「───【神護】!」
「え・・・?」
「お望み通り、助けてやったぞ?」
「キラ・・・キラぁぁぁああああ!」
「おう!俺だ!」
キラ・・・良かった。私、助けてもらえたのね?もう危なくないの、よね?・・・あぁ!キラ一人だけじゃ絶対に勝てない!私も一緒に戦わないと!
「キラ!私も加戦するわよ!」
「ばか。こんなの俺一人で大丈夫だって。お前は、ミライ達と後ろで観戦してろ。あ、あと涙拭いとけよ?」
キラのその言葉で、私は自分が泣いていることを初めて知った。そして、そう言った後すぐにキラが戦いに行ってしまったので、いつの間にか後ろに居たミライとサクラのところへ行った。
・・・キラが戦ってる姿をミライ達と見ているときに、胸がざわついていたのは、何故かしら?
◇◇◇
11
お気に入りに追加
1,213
あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる