13 / 36
13
しおりを挟むシャルルの部屋の前で、しばらく呆然としていた。
考えてみれば、本人からは男だと言われた事は無い。
シャルルは男性に付ける名前だが、女性に付けては駄目だという法は無い、多分。
僕と言う一人称だって、王都では使ってる女性も見たことがある。
俺とか、ワシとか使ってる女性だっていた。
17歳でスリムな身体付きだが、女性だと分かればなぜ男だと思っていたのかと、自分を殴りたくなる。
ちゃんと丸みをおびた優しい身体だったのだ。
ふたつの膨らみはささやかだったが。
いや、膨らみの事は忘れよう。
これ以上突き詰めて考えては不味い事だった。
そう、彼女は女性だった。
可愛いと思っていた弟が、女性、、、妹だった?
妹、、、本当に妹?
俺はうずくまって、頭を抱えるのだった。
もう二度と顔を見せてくれないかと思ったが、夜には部屋から出てきてくれた。
「シャルル!
さっきはごめん。
俺が勝手に男の子だと思い込んでた。
君は一度も性別の話はしなかったのに。」
「別に男でも良い。
その方がお互い都合が良いでしょう。」
「都合が良い?
なんでだ?」
「同性の方が気兼ねしないでしょう。
こんな所に住んでいるんだから、男に思われていた方が安心だし。」
「シャルル、やっぱり俺と一緒に行こう。
女の子ならば、余計に一人では置いておけない。」
「ほうっておいて。
あなたは通りすがりの、ただの他人。
もう、私に係わらないで。」
シャルル、、、。
気まずい雰囲気のまま、そろろ旅に出なければならない時期がやってきた。
祖母殿はまだ帰らない。
このまま本当に、彼女をひとりで置いて行くのだろうか。
俺には彼女を説得する事が出来ない。
とても、無力だった。
考えてみれば、本人からは男だと言われた事は無い。
シャルルは男性に付ける名前だが、女性に付けては駄目だという法は無い、多分。
僕と言う一人称だって、王都では使ってる女性も見たことがある。
俺とか、ワシとか使ってる女性だっていた。
17歳でスリムな身体付きだが、女性だと分かればなぜ男だと思っていたのかと、自分を殴りたくなる。
ちゃんと丸みをおびた優しい身体だったのだ。
ふたつの膨らみはささやかだったが。
いや、膨らみの事は忘れよう。
これ以上突き詰めて考えては不味い事だった。
そう、彼女は女性だった。
可愛いと思っていた弟が、女性、、、妹だった?
妹、、、本当に妹?
俺はうずくまって、頭を抱えるのだった。
もう二度と顔を見せてくれないかと思ったが、夜には部屋から出てきてくれた。
「シャルル!
さっきはごめん。
俺が勝手に男の子だと思い込んでた。
君は一度も性別の話はしなかったのに。」
「別に男でも良い。
その方がお互い都合が良いでしょう。」
「都合が良い?
なんでだ?」
「同性の方が気兼ねしないでしょう。
こんな所に住んでいるんだから、男に思われていた方が安心だし。」
「シャルル、やっぱり俺と一緒に行こう。
女の子ならば、余計に一人では置いておけない。」
「ほうっておいて。
あなたは通りすがりの、ただの他人。
もう、私に係わらないで。」
シャルル、、、。
気まずい雰囲気のまま、そろろ旅に出なければならない時期がやってきた。
祖母殿はまだ帰らない。
このまま本当に、彼女をひとりで置いて行くのだろうか。
俺には彼女を説得する事が出来ない。
とても、無力だった。
15
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
あなたの側にいられたら、それだけで
椎名さえら
恋愛
目を覚ましたとき、すべての記憶が失われていた。
私の名前は、どうやらアデルと言うらしい。
傍らにいた男性はエリオットと名乗り、甲斐甲斐しく面倒をみてくれる。
彼は一体誰?
そして私は……?
アデルの記憶が戻るとき、すべての真実がわかる。
_____________________________
私らしい作品になっているかと思います。
ご都合主義ですが、雰囲気を楽しんでいただければ嬉しいです。
※私の商業2周年記念にネップリで配布した短編小説になります
※表紙イラストは 由乃嶋 眞亊先生に有償依頼いたしました(投稿の許可を得ています)

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

彼女がいなくなった6年後の話
こん
恋愛
今日は、彼女が死んでから6年目である。
彼女は、しがない男爵令嬢だった。薄い桃色でサラサラの髪、端正な顔にある2つのアーモンド色のキラキラと光る瞳には誰もが惹かれ、それは私も例外では無かった。
彼女の墓の前で、一通り遺書を読んで立ち上がる。
「今日で貴方が死んでから6年が経ったの。遺書に何を書いたか忘れたのかもしれないから、読み上げるわ。悪く思わないで」
何回も読んで覚えてしまった遺書の最後を一息で言う。
「「必ず、貴方に会いに帰るから。1人にしないって約束、私は破らない。」」
突然、私の声と共に知らない誰かの声がした。驚いて声の方を振り向く。そこには、見たことのない男性が立っていた。
※ガールズラブの要素は殆どありませんが、念の為入れています。最終的には男女です!
※なろう様にも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる