四天王最弱の男、最強ダンジョンを創る〜俺を追放した魔王から戻ってこいと言われたけど新たなダンジョン創りが楽しいし、知らんがな〜

伊坂 枕

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123 ダンジョン・攻略戦④

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「あっ!?」

「どうした? ルシーファ」

「い、いえ……あの、気のせいかもしれないんですが、一瞬、画面の端にサタナス様に似た魔族が映って……」

 え? サタナス??
 思わず俺も画面を見つめるが、あの特徴的な6枚羽は見当たらない。

「……ドエムンに弾き飛ばされ、アルファの鉄拳を喰らって、あの泥の中に突っ込んじゃったので……」

 ルシーファの指さす先に、ヘドロに埋もれて尻と尻尾だけピクピクしている魔族が居るが、正直この状態では判断がつかない。

 しかも、メインの敵はトラオウとフジョシーヌちゃんなので、皆の視線からさっさと外れてしまっている。

 どうやら、トラオウが部下らしき魔族を何人か召喚して応戦していた、その内の一人らしいのだが、あのバカ魔王が、トラオウの部下として召喚される訳がない。

「よく似たデーモン種と見間違えたんじゃねーのか? ほら、あの手の顔って結構いるみたいだし? ウチのドエムンだってそうだろ?」

「そうかもしれませんね……聖水と魔マタタビBの作りすぎで疲れが出たんでしょうか……」

 それは有るのかもしれない。

「あ、カイトシェイド、疲労回復のお茶でも飲みます?」

「……そうだな~」

 向こうから誰も来てくれない以上、俺の出来ることはネーヴェリク達の戦いを眺める事だけである。
 ……ちょっと寂しいじゃねーか。
 何やってんだ? ミーカイルのヤツ……?

 時間を持て余したルシーファが、一旦ギルドに戻ってお茶を入れて来てくれた。
 
 ずずず……地味に美味い……

「あー……これは相手が気の毒ですねぇ……」

 ポリポリと。
 一緒に持ってきてくれたポメト芋を薄くスライスして揚げた菓子を頬張りながら、俺達はネーヴェリク達の戦いを観戦していた。

「まぁ、2対11だからな」

『ドエムン、遠距離攻撃はお前が全部受け止めよ!! サーキュ、そのほうも補助せよ!!』『んほほほほ!! かしこまりましたぞぉぉ、ゴブロー殿!!』『わ、わかってるわよっ!』『コギッツ、ベータさん、二人はあっちの屍鬼に攻撃魔法よ!』『了解っス、カシコ副ギルド長!』『全ては、旦那様のために』『ウサミン様、念のため【月魔法】お願いしマス!』『は、はいっ!』『……宇智切《ウチキリ》!』『うぉぉぉ!』……

どか、ばき、めしょっ、ごりゃっ!

『きゃああああぁぁぁぁ!』『み、ミーカイル様、申し訳ッ……』

 ウチの皆からフルボッコにされ……いや、フルボッコというか、もはや戦闘訓練の的扱いになっている二人を遠い目で見つめる。

『よーし! 次行くぞ、次っ!! どっち進めば良いんだ、オメガ!』『えっとね~……うん、ボクの【魔力探知】によるとこっちみたいだねぇ~』『ふふふ、オメガちゃん、すっかり探知系を習得しちゃったわね』『えへへ~、だって、カシコの教え方、分かりやすいもん』『なるほど、【魔力探知】と【生命探知】を同時に使うと、罠を見分けやすいですね』『ベータさん、凄いっスね!? 2種類魔法の同時展開っスか!?』

 うんうん。皆、順調に強くなっていっているね……

 もしかして、向こうの戦力崩壊速度が速すぎて、こっちに出陣している余裕が無い……のか?

 いや、まさか、誰もこっちに来ないまま終わりとかじゃないよね? 流石に?
 ちろり、と来訪用の魔法陣に目をやるも、やっぱり誰も現れる気配が無い。
 俺がちょっと不安に駆られていると、

「……アレが魔王・ミーカイルですか?」

 ルシーファが画面上に映った4枚羽の男を指差した。

「ああ、そうそう」

 今までの敵とは違う風格を漂わせ、黒と白の翼を広げている。
 その圧倒的な魔力量は、流石魔王……と、言って良いんだが……

 え? アイツもあっちに居るって……
 ね、ねぇ、本当にこっちに誰も来ないの!?

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