四天王最弱の男、最強ダンジョンを創る〜俺を追放した魔王から戻ってこいと言われたけど新たなダンジョン創りが楽しいし、知らんがな〜

伊坂 枕

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119 さぁ!戦争を始めよう!!

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「おい、サーキュ」

「きゃああああぁぁぁぁっ!? ちょ、ちょっとぉ!! 来るなら来る前に一言声を掛けなさいよねッ!!」

「……お、おぅ……」

 あ……パックしながら、脱毛中だったんですね……
 何か、その……サキュバスも大変なんだな……つーか、鼻毛まで抜いてたんだ……?

 最近は、魔王城でよく着ていたような露出路線から、熟女の魅力のしっとり路線へと変更しているらしく、あまり素肌を晒さない恰好をしている。
 晒せない、とも言う。……そうだね。こっちのお風呂は魔王城ほど効果が強くないからね。
 ガッチリホールドの下着じゃないと、重力が激しさを増してるもんな……色々と……

 とりあえず、数分後に改めて声をかけたら、女の顔を取り戻したサーキュのヤツが引き攣りながら凄く迷惑そうな態度のまま出迎えてくれた。

「……何よ……カイトシェイド、様……」

 うん。あの【強制服従】の呪いだが、作成主であるサタナスのヤツが弱体化した事で、結構弱くなってきているはずなのだ。
 ゴブローさんのおかげで、サーキュも弱体化しているから、未だに効いているみたいだけど。

「サーキュ、命令だ。嘘はつくな……『俺が魔王サタナスを操ってルシーファを殺した』って話に心当たりは?」

「ハァッ!? ルシーファを八つ裂きにしたのはサタナス様よ。アタシ、この目で見たもの! ……だいたい、雑用係の貴方がサタナス様を操るってどういうことよ? 寝言は寝て言いなさいよ!!」

「だよなぁ……うん、そうだよなぁ」

 思わず、サーキュの生意気な言葉にも頷いてしまう。
 魔王城での俺の扱われ方を知ってると、こういう反応になるよな?

 ミーカイルのヤツがあんな勘違いをしている理由は、ダンジョンバトル終結後にじっくりとご本人に確認するしかあるまい。

「……ところで、お前、どうする?」

「な、何がよ?」

「これから、このダンジョンでダンジョン・攻略戦をすることになった。……で、ココに魔王・ミーカイルってヤツが攻めて来る訳だが、ココに残るって言うなら、お前が最初にソイツと戦う事になるんだけど……」

「はああぁぁぁっ!? い、嫌よっ!! アタシはそんなのやらないわよっ!」

 サーキュのヤツがぶんぶんと首を横に振る。
 アップにしていた髪が乱れてうなじに揺れる様子は、ほんのり女の色香が漂っている。
 さすがに腐ってもサキュバスだ。

「じゃあ、俺の部下たちと一緒に攻略側に回るか?」

「ぶ……部下、たち?」

「ゴブローさんとネーヴェリクはお前も知ってるだろ? 彼等は皆でミーカイルってヤツのダンジョン・攻略をして貰うんだが、そっちに行くか?」

 暫く悩んでいたようだが、たった一人でダンジョン・キーパーをやらされるよりは攻略側の方がマシ、という結論に達したらしい。
 
 正直、今回、防衛を俺一人で担う関係上、半捕虜であるサーキュがここに居てもらうと、万が一、【強制支配】の呪いが解除されてしまったりした場合、厄介以外のなにものでもないのだ。
 土壇場でコイツに攻撃されたりする不安要素を取り除きたい。

 ぶっちゃけ、俺としては、一旦、ウチのダンジョンから追い出したいのである。

 そんな内心を知ってか知らずか、サーキュの出した結論は「自分も出陣」だった。
 実に好都合。監督はゴブローさんにお願いしておこう。

 俺は、にっこりと微笑んだ。

 こうして、攻略側・ネーヴェリク、アルファ、ベータ、オメガ、ゴブローさん、ボーギル、カシコちゃん、ドエムン、シスター・ウサミン、コギッツくん、サーキュ……と、11名ものカードが揃った。

 これだけ人数が居れば、24時間以内に、ダンジョン・コアを破壊してくれるはずである。

 さぁ! 戦争を始めよう!!

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