四天王最弱の男、最強ダンジョンを創る〜俺を追放した魔王から戻ってこいと言われたけど新たなダンジョン創りが楽しいし、知らんがな〜

伊坂 枕

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117 ダンジョン・バトルを準備しよう!

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 ダンジョン・攻略戦。
 それは、古より続く、魔王達の実力を測る戦いだ。

 お互いの陣営を「ダンジョン・攻略側」と「ダンジョン・防衛側」に分け、相手のダンジョン・コアの破壊を狙う大戦おおいくさである。

 明確なルールは『ダンジョン・コアを必ず侵入者の破壊可能な場所に置かなければならない』という一点のみ。
 
 なにか事前に約束を交わせば、それがルールになるが、それ以外は何でもアリだ、と言って良い。
 この攻略戦実施中は、例えダンジョン内に高位魔族が入り込んだとしても、どちらの陣営も一切ダンジョン・ポイントが増減しないし、当然それは、倒されても、倒しても同じ。
 
「それで、ミーカイル本人と打ち合わせは出来るのか!?」

『申し訳ありまセン……それが、一方的にミーカイル様が決定されテしまって……』

 くそっ! ネーヴェリク達が副官だからって向こうの意見を勝手に押し付けて来やがって……!
 賞品にルシーファを指名するなら、こっちだって勝った場合には、同じくらいダンジョン・ポイントが得られるヤツを景品に指定したのに!! 俺達は勝っても何も得るモノが無いじゃないか! ずるいっ!!
 
 よ~し、こうなったら、もし俺が勝ったら天使レベルのヤツをふんだくってやるからな!!

『ミーカイル様、ひどいデス……』

「まったくだ!」

『カイトシェイド様がルシーファ様に、そんなひどい事をするはずが無いデス……』

 あ、ああ、そっち?

『本当だよねぇ~……ふふふ……だって、あなたはボクのお願いだって、叶えてくれるもの』

『そうデス! それに、カイトシェイド様は、とっても優しいんデス!』

 ……うん……信頼してくれるのは嬉しいんだけど、まさか……二人共……
 ミーカイルの話を聞いて、売り言葉に買い言葉で喧嘩を買って来ちゃった訳じゃないよね?

『それでねぇ~、ボク達が戻って、3日後にスタートだって~……』

「なるほど、分かった。……だったら、二人は、ちょっとゆっくりミーカイルのダンジョンを探索・調査しててくれ。その間にこっちの準備を整える」

『かしこまりマシた』

 多分、3日も有ればダンジョンの形式などを変更されてしまうと思うが、それでも大きなダンジョンの形状変更にはダンジョン・ポイントの消費につながる。
 土壇場で使えるダンジョン・ポイントが少なければ少ない程こちらに有利だ。

「お守りがあるから、二人共大ダメージ等を喰らってしまえばこっちに強制送還だ。こっちの準備が整うまで粘ってみても良い。お前たち二人なら俺の【腹心召喚】ですぐにでも呼び戻せる。」

 育成型魔王だと、ここに呼べる9人を自分の周りに呼び出せるのだ。便利、便利。

「あと、目ぼしい戦力調査も頼む」

『ハイ』『は~い』

 二人共、ウチのメンツの中では頭の回転が良い方だ。

 ……二人共、ちょっとだけズレた所はあるが……肝の部分をつかみ取る嗅覚には優れている、と、思う。
 ……うん。



 そうとなれば、こっちでは戦力の強化から始めよう!

 という訳で、まず最初に俺が行った強化はドエムンの弱点変更である。
 例の「胸の竜の紋章を6回ノック」はフジョシーヌちゃんにバレているから、謎解きを変更してみたのだ。

 だが、謎解きのが上がるとドエムン自身の防御力が下がる、という訳の分からない仕様になっていて……何だろう? この、知能指数と防御力が反比例するって……こんなのアリなのか?
 これもあの馬鹿魔王サタナスの呪いなの?
 
 なお、球体の面積を求めるレベルの計算問題になると、コギッツくんでも簡単にドエムンを殴り倒せるようになってしまったので、結局『1たす1の答えと3ひく2の答えの大きい方の数だけ、左手の小指で竜の紋章に触れろ』……という問題に落ち着いた。

 正直、文字を読めるヤツにとって「馬鹿にしてんのか?」レベルの謎が、ドエムンの背中にでかでかと書かれているのだが……大丈夫かな……
 謎が簡単すぎて心配なのだが、このレベルでないと、あの異様な防衛力は発揮されない。 

「んんんっ!! では、せめて、この竜の紋章、ワタクシめの股間にでも貼っておきましょうかな?」

「……やめて差し上げろ……」

 それは画ヅラが辛すぎる。
 やめろ、爽やかに笑うな。お前……顔はちょっとサタナスに似てんだぞ?
 まぁ、表情や言動が全然違うから、意外と別人だって認識できるけどさぁ……

 しかし、何でわざわざ人間と同じ急所に自分の急所を持って来るんだよ?
 移動できるなら額にでも貼っとけよ……その紋章……

 だが、これで、ドエムンの強化は完了だ。
 強化……かな? と思ってはいけない。 
 長所=短所であっても、それを伸ばすのは一種の戦略!

 あくまでもこれは、強化なのだ!!
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