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111 東の魔王ミーカイル
しおりを挟むそもそも、俺が魔王就任した事を知っているの者はハポネスの住人以外に存在しないはずなのだ。
何でコイツがそんな事を? という不信感が顔に出ていたのだろう。
『ああ、突然、ゴメンね! 実はね、だいぶ昔に行方不明になった僕の姉さんに似た魔力を持つ魔族が『西』に居るって噂を聞いて、シシオウに探って貰っていたんだけど……残念ながら、僕の可愛い部下であるシシオウがサタナスに喰われてしまってね』
あー……シシオウってコイツの部下だったのか。
しかしミーカイルの姉が西に? 聞いたことが無いな……
女魔族を取り仕切っていたのはサーキュだから、後でヤツに聞いてみようかな?
『でも、その代わり、サタナスが一気に弱体化したのを察知出来たってワケさ』
「だが、それで何でウチに繋がるんだよ?」
『もちろん、サタナスご本人に直接聞いたんだよ?』
何やら意味深に笑みを深めるミーカイル。
「へぇ? あのサタナスから?」
あのプライドだけは天より高いアホが素直に喋るとは思えないんだが?
……いや、でも、もしかしたらサタナスって、意外と自分より格上だと思った奴には全力で媚びを売るタイプなんだろうか?
『ふふふ、彼、とーっても素直にキミの事を話してくれたよ? 僕の愛する姉さんを壊したのはキミの指示だって言ってたんだけど、本当かい?』
「はいぃ!? ちょ、何の話だっ!?」
俺の質問を遮るようにヤツが目の前に映し出したのは、影のような触手の群れに捕らえられ、顔面蒼白で恐怖に全身を引き攣るように震えさせる天使……いや、堕天使の姿だった。
これが、ミーカイルの姉?
あの中央神殿で見た一時的に成長させたルシーファに似ている。
『ククク……ルシーファよ』
あ、名前出た……ってことは、ご本人じゃねーか。
……アイツ、弟なんて居たんだ?
それに、この声はあのバカ魔王の声だ。
姿は映っていないけど、どうやらこれ、あの魔王城に居た頃の記録映像であるらしい。
『さあ、思い出せ』
サタナスの野郎は、そう言うと、ルシーファの頭を掴み、何やら魔力を流し込んでいる。
すると、囚われの堕天使は、徐々に困惑を帯びた恐怖の表情から、絶望混じりの恐怖の顔へと、その表情を変えていく。
『思い出したか?』
『あ……ああ、アアアアッ!!』
絶叫と同時に必死に拘束から逃れようともがき始めるルシーファ。だが、その抵抗が、かえって全身を押さえつける触手に力を込めせる結果になったようだ。
『や……やめ……あぐっ! ひゅっ……っ! ……ッ!!』
みし、みし、と、触手のような影が、ルシーファの白い肌を、腕を、足を、翼を、そして首を万力のような強さで締め上げ始める。
ぱく、ぱくと、空気を求めて必死に逃れようと暴れるも、ヤツは元々、純粋な筋力は控えめ。
少女ボディであるば、ならなおさらその傾向が強いだろう。
しかも、どうやら何らかの『魔法封じ』が施されていることは一目瞭然。
次第に力を失い、されるがままに触手によって衣類を毟り取られるルシーファ。
だが、完全に意識を奪ってくれるような慈悲は持ち合わせていない。
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