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109 四天王争奪戦?
しおりを挟む「ん~……でも、せっかく急成長させられる枠があるのに使わないのも勿体ないな~……アルファ、お前たちの中で『四天王』じゃなくて『寵愛』枠でも良いってヤツ居るか?」
「おい、ふざけんなよ!」
案の定、反発するアルファ。
俺も、あの説明を聞いてお前が大人しく異動してくれるとは思ってねぇよ。
「旦那様……流石にそれは……将来を見据え、伴侶とすべき女性から選んでください」
ベータの奴も異動する気はないようだ。
「ボク、『四天王』の方がカッコ良くていいなぁ~」
オメガは、夜だけでも女の子なんだから、ボーギルに譲ってやって欲しい気もするのだが、本人があまり乗り気ではないらしい。
「何でしたら、あのサキュバスを連れて来ましょうか?」
ゴブローさん……お気遣いありがとう……でも、それは俺がちょっと……な。
第一、今ここに生きた呪い解除素材の塊であるルシーファが居るのだ。
サーキュとは接触させたくない。
せめて、ルシーファのヤツがもうちょっと強くなってくれないと危なっかしくて仕方がない。
「じゃ、希望者で『四天王枠決定戦』でもやるか?……負けたら『寵愛枠』な?」
「『寵愛枠』って負けて押し付けられる枠扱いで良いのか?」
ボーギルのヤツがそうツッコミを入れて来るが、お前が妥協してれば、しばらくこのまま運用してみるつもりだったんだからな?
なお、可能な限り『寵愛枠』は女の子にすべき、というベータの意見を反映し、シスター・ウサミンにも声をかけてみたところ、何故かコギッツくんも参加表明をしてくれた。
なんでも、ウサミン姉さんが心配なのだとか。
そんな訳で、『役職争奪戦』を行う事になった。
方法は簡単。あの闘技場でガチバトルである。
勝者1位~4位が『四天王』、5位~7位が『寵愛枠』。
参加者は、アルファ、ベータ、オメガ、ゴブローさん、ドエムン、ボーギル、カシコちゃん、シスター・ウサミン、コギッツくんだ。
なお、ダンジョン運営の効率を考えても、『副官』はネーヴェリク確定。ここは変更するつもりはない。
それと『寵愛枠』の一つには、ルシーファをぶち込むことがすでに決まっている。
ルシーファのヤツはどんなに肩書が嫌でも、もう少し強くなってくれないと実質保護者のボーギルとカシコちゃんの負担がデカすぎるのだ。
『長時間、聖域結界から出たら体調を崩す』かといって、自衛手段がないから『一人でお留守番』すら危うい。
……お前……ホント、良く中央神殿で生き延びたよな……
低レベルとは言え、回復術師が多い土地柄でよかったね。
でも、さすがにこのままでは厄介が過ぎる。
ボーギルくらいの強さになってくれれば、『男なのに俺の正妻候補は嫌!』というある種、真っ当な理由で役職枠を蹴ってくれても構わないが、テメェはダメだ。
「かしこまりました、旦那様。では、折角ですので……このイベント、大々的に入場料を取って行いましょう。『武道大会』と称していくつか景品を出せば、他の町から腕の立つ人間を集めるのにも役立ちます!」
「わかった、その辺りの運営はベータに任せる」
本命は俺が最初に仮登録したメンバーとウサミン&コギッツくんあたりかもしれないが、それ以外の猛者が隠れていれば、スカウトするのも有りだ。
それに、大々的にイベントを開催するなら、他の町からの観光需要で人口流入も増えて、ダンジョン・ポイントもウハウハだ。
ベータは、この手の人集めのアイディアに関しては本当に頼りになるなぁ。
冒険者さんが訪ねて来る人数が増えれば、さらには、ウチの地下ダンジョンに来てくれる人達も増えるだろう。
地下3階の謎解き扉はドエムンから新しい扉に変更するとして……それ以外は前に調整したとおりでいいな。
「よし! じゃ、『武道大会』が開催されるまでは、現在の仮役職にしとくぞ」
「うぉぃっ!! こうなったら、各種ギルドや他の冒険者ギルドにも連絡してS級冒険者を集めて貰うぞ、カシコ!! ベータ殿、こっちも全力で協力するんで、早急に開催しましょう! 早急にッ!!」
おお、ボーギルのヤツが燃えている。
うんうん。やる気があるって良いことだね。
ところが……そんなイベント開催準備計画を嘲笑うように、風雲急を告げる来訪者が現れたのである。
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