四天王最弱の男、最強ダンジョンを創る〜俺を追放した魔王から戻ってこいと言われたけど新たなダンジョン創りが楽しいし、知らんがな〜

伊坂 枕

文字の大きさ
上 下
83 / 124

83 領主代理・ダーイリダ

しおりを挟む

 ダンジョン内瞬間移動の場合、すでに知っている場所、もしくは俺の知人の居る場所の近くであればどこにでも移動が出来る。

 ボーギル、カシコちゃん、ルシーファの三人を冒険者ギルドのギルド長室へ送り届けた後、移動した場所はまるで石造りの地下牢のような所だった。

「おーい、ネーヴェリクー?」

「き、貴様っ! 何者だッ!!」

 その地下室の入口には豪奢な服を纏い、複数の兵士を連れたヒゲのおっさんが立っている。

 兵士っぽい人間達が「ダーイリダ様、お下がりください!」とか言っておっさんを庇っているから、コイツが領主代理のダーイリダ卿なのだろう。

「ああ、ダーイリダ卿、お初にお目にかかります。私はカイトシェイド。こちらに私の部下が伺っていると聞き足を延ばしたのですが……」

「まさか……! 貴様が反逆者カイトシェイドか!」

 光の勇者になったり反逆者になったり……忙しいな、俺の評価。
 ま、この様子ならわざわざ敬語を使う必要性もないだろう。

「別に反逆しているつもりは無いが……」

「だまれ! 民衆の人気取りをしてこのハポネスを乗っ取るつもりだろう!!」

 ……そこまで考えてなかったんだが……どうせ俺のダンジョンはココだし、さっさと乗っ取っておいた方が後腐れ無くて良いのか?

「そうだな。お前がそうして欲しいと言うのなら俺が管理してやってもいい。お前、北外町では、ずいぶんと上下水道の管理がおざなりだったぞ? あと、あの辺の住民の世話とかしてないのか?」

 ちょこっと住環境を整えてやっただけで、あの辺りの住民からは、どえらく慕われてしまった。
 病気なんか治そうものなら、ほとんど神様扱いだ。

「な!? ふ、ふざけるな!!」

「ふざけてはいないぞ? 管理とは言っても、俺は人間達の数が増え、長生きし、レベルを上げてくれればそれでいいからな?」

「くそっ!! その厚顔無恥なる態度! 反逆だ!! 我が騎士団を持って貴様等一族郎党、始末してくれるッ!」

 その時、部屋の奥の方から、ヒュッという空気を切り裂く音と同時に、びしっ! と、鋭い衝撃音が走る。
 何してるんだ? と問うまでもなく、拷問官らしき男の声と聞き覚えのある少女の悲鳴が聞こえた。

「ひゃはははっ! さっさとコアの在処を吐け! 出来損ないのクズが!!」

 ビシっ、びしんッ!!

「あうっ……! うぅ……」

 見れば、ウチのネーヴェリクの服を脱がし、鎖に吊るし上げ、下卑た笑いを響かせながら、その華奢な身体を鞭打つ看守らしき二人の男。

「何してんだテメェ等ぁっっ!!!」

 ぶごわっ!!

「うごわっ!?」「ぶぎゃっ!?」

 ばしん! びたんっ!!

 思わず、咄嗟に魔力波を叩きつけて吹き飛ばしてしまった。

 牢の壁に叩きつけられた二人の男は目を回してぶっ倒れている。
 ふん! ……即死させなかっただけありがたく思え……!

 俺は、急いで吊るされているネーヴェリクの鎖を魔力の刃で断ち切ると、拘束を外し、自分の上着を彼女に着せてやる。

「か、カイトシェイド様……だ、だめデス……カイトシェイド様の、たいせつナ……ダンジョン・ポイントさん、たちが……」

「馬鹿っ!! 確かに、コイツ等も大切なダンジョン・ポイントを生み出す生き物たちだが、お前だって大切に決まってるだろっ!! お前自身が嫌だと思うことをしてくるような人間は『眷属化』しろよ!?」

 だが、その様子を呆然と見ていたダーイリダのヤツが我に返ったらしく、顔を真っ赤に染め、怒鳴った。

「き、貴様! 何をしている!! ええい! こ奴をひっ捕らえろ!! そのヴァンパイアは私のものだ!!」

「ふざけんな!! ネーヴェリクは俺の部下だ!! ずっと前から俺の直属の部下だッ!!!」

 思わず、本気で怒気を込めて威嚇してやると、兵士もろとも「ひぎぃ」とか「ふごへっ」とか言いながらションベン漏らして失神しやがった。
 まったく!! 盗人猛々しいにも程があるぜ!
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...