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49 夢魔をゲットしよう!
しおりを挟む「があ”ぁ”……っ!」
「浄化魔法【操作解除!】 魔族進化【眷属化!!】」
その小さな身体が地面に倒れるより先に、俺の魔術が発動する。
オメガの心臓に絡みついていた厭らしい男の魔力を消し飛ばす、と同時に魔族化が発動する。
「あ”っ……あぁっ……ッアーっ!!」
普通は、人間を魔族化させると「魔人」か「鬼人」に進化することが多いんだけど、オメガの場合は、どっちかなー? 俺と同じ妖魔だったりするのかなー?
この瞬間はまるでクジでも引いている気分でわくわくするぜ。
眷属化はかなり魔力を喰うから、俺も分身体を完全統合した状態で、一日3回使うのが限度だ。
世界樹の杖で貫いた部分に魔族の証である魔核が生まれる。
その刹那、ぽん、とオメガの情報が流れ込んできた。
【氏名:オメガ 種族:夢魔】
おお!?
夢魔か! レアなのが出たな~。
夢魔は、主に夢や幻術などの精神攻撃を得意とする反面、物理攻撃能力はほぼ皆無。
デバフ補助系チート持ちで情報収集能力・隠ぺい能力・魔力操作にも長けるが、一度、術を破られてしまうと、ほぼ手の施しようが無いので、絶対に単体で前線に出してはいけないタイプの種族だ。
見た目の変化は魔核以外無いから、コイツも人間の街で暮らすにはうってつけだ。
「よし! オメガ、お前はもう自由だ。好きにしていいぞ」
「えっ? えっ??」
当のオメガご本人はへたり込んだまま、自分自身の身体をぺたぺた触って、そして、いきなり号泣した。
「……ふ、うっ……うわあああああぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」
えー!?
い、いや、別に良いけど。
こ、これ、慰めるべきだよな? オメガさんのご希望はあったか家族だったみたいだし……
「よ、よしよし……」
……なでなで。
こ、こんな感じか? ちょっとアルファーッ!!
そんな奴さっさと何とかして、こっち手伝ってくんないかなー!?
「ええいっ!? 何をしている№6!! さっさとその男を殺せ!」
こちらの状況を把握したのか、アルファとどつき合っていた男が突然キレ気味に叫ぶ。
すると、ビクリ、と体を震わせて硬直するオメガ。
ふ……馬鹿め。
貴様の操作魔法など、とっくに俺が破棄してやったわ。
ぽん、とオメガの背中を叩き、俺は言ってやる。
「オメガ……好きにして良いぞ? ほら、何なら、夢の中でお前の経験をアイツに追体験させてやれ」
しかし、流石にオメガの方はそこまで図太い訳ではないのか、涙を溜めて、ふるふると首を左右に振るばかり。
だが、俺の言葉に反応したのはオメガではなくアルファだった。
「テメェら、手ぇ出したらぶっ殺すぞ!! この野郎は……ゲドーダのヤツは俺が殺すッ!!」
ああ、そう言えば、コイツ、アルファの恩人と恋人の敵でもあったんだっけ。
アルファのヤツが全身から血を流しつつも、一歩も引かない姿勢でゲドーダの前に立ちはだかる。
やれやれ。
「だったら、せめてコレ使え」
俺は、手にしていた『世界樹の杖』をアルファに投げ渡す。
「!?」
ヒュン、と風を切ってアルファの元へ飛んだ杖を引っ掴んだ瞬間、しゅるしゅると形を変え、手甲のような形状へと変化した。
『世界樹の杖』は俺用の武器だから、別のヤツが使ってもあまり強化はされないが、無いよりはマシだろう。
「これは……?」
「よーし、がんばれー」
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