32 / 124
32 カルチャーショックを受ける
しおりを挟む
「どうだろう? 洞窟の中で手に入れたものはそちらで好きにして貰って構わないから、調査をお願いできないかい?」
「分かったっス。でも、俺の手に負えるかどうかわかんないから、難しそうなら『冒険者ギルド』に正式依頼として出した方が良いっスよ」
なるほど? そういうものなのか。
「でも、今日の所はちょっと中を見てみるっスよ」
彼は、同じ孤児院内の年長組とパーティーを組んでいるらしいので、午前中いっぱい『接待用ダンジョン』を堪能してもらった。
「だ、旦那、あの洞窟凄いっスよ!!」
昼食に合わせていったん戻って来た彼の手のひらの上には、『魔法石』が二つばかり転がっている。
「確かに、ゴキーブリや弱い魔物は居たけど、結構広くて……まだまだ全然探索が終わらないっス! それなのに、ほら、こんなにたくさん『魔法石』が!!」
「おお、こ、これは……凄いな」
この程度の量でこんなにテンション上げてくれるのか……
お手軽すぎて、本当に良いのか逆に軽く不安になるな。
俺は別の意味で驚いているのだが、彼らは純粋に戦利品について衝撃を受けていると感じてくれたらしい。
「旦那、このダンジョンなら、銀貨1枚の入場料を取ったって入りたがる冒険者連中はいっぱい居ますよ!!」
「ええっ!? ダンジョンに入場料!?」
思わず素が出てしまった。「何ふざけたこと言ってんだ、おまえ」と口からこぼれそうになった言葉を飲み込めてよかった。
人間の発想が斬新すぎて逆にビビる。
じいちゃんの話だと、冒険者って生き物は、コア破壊のために魔族や魔物を蹂躙し、罠は打ち壊し、ダンジョン内の資材を根こそぎ奪い取って行く連中だ、って話だったんだが……
時代が違うのか、それとも、この地域柄なのか……?
「そうですよ! 迷宮都市のダンジョンだって潜るのには入場料がかかるんスよ!? それに、ダンジョンから出たアイテムだって、何割か税金として取られるし……第一、こんな奇麗な『魔法石』最低でも銀貨5枚……いや、7枚はいくっスよ!!」
念のため、ベータやアルファにも確認を取ってみた所、同じような事を言っていたので、そういうものなのだろう。
か、カルチャーショックってこういう事をいうんだろうな……
俺はコギッツくんの教えに従い、冒険者ギルドへ依頼をしてみた。
流石に、入場料は取らない代わりに俺からの報酬は特に無い。ただし、ダンジョン内で入手したアイテムについては冒険者が総取り、という内容だ。
こんなふざけた内容なのだが、コギッツくんの口コミの威力おそるべし。
1階の比較的浅い部分でも『魔法石』を拾える可能性が有る、と分かった冒険者たちで連日大盛況だ。
駆け出しから人気に火が付き、中堅クラスの中には全5階を完全踏破し、俺の館の前へ瞬間移動してくるパーティも現れた。
とはいえ、数日もあれば、地下の構造は自動的に変化する。
部屋数が増えたり、ルートが変わったり、罠が別の場所に発生したり……
俺が最初に設定した罠の『種類』や『特殊な謎解き扉』『瞬間移動魔法陣を設定した部屋』など、変わらない要素はあるものの、中身が流動的なのも『生きたダンジョン』の特徴の一つだ。
ダンジョン・ポイント的にもウハウハが止まらないので、そろそろ地下10階くらいまで大きくしようか……と、ネーヴェリクと拡張工作を進めている時に、冒険者ギルドからの使いが訪れた。
「分かったっス。でも、俺の手に負えるかどうかわかんないから、難しそうなら『冒険者ギルド』に正式依頼として出した方が良いっスよ」
なるほど? そういうものなのか。
「でも、今日の所はちょっと中を見てみるっスよ」
彼は、同じ孤児院内の年長組とパーティーを組んでいるらしいので、午前中いっぱい『接待用ダンジョン』を堪能してもらった。
「だ、旦那、あの洞窟凄いっスよ!!」
昼食に合わせていったん戻って来た彼の手のひらの上には、『魔法石』が二つばかり転がっている。
「確かに、ゴキーブリや弱い魔物は居たけど、結構広くて……まだまだ全然探索が終わらないっス! それなのに、ほら、こんなにたくさん『魔法石』が!!」
「おお、こ、これは……凄いな」
この程度の量でこんなにテンション上げてくれるのか……
お手軽すぎて、本当に良いのか逆に軽く不安になるな。
俺は別の意味で驚いているのだが、彼らは純粋に戦利品について衝撃を受けていると感じてくれたらしい。
「旦那、このダンジョンなら、銀貨1枚の入場料を取ったって入りたがる冒険者連中はいっぱい居ますよ!!」
「ええっ!? ダンジョンに入場料!?」
思わず素が出てしまった。「何ふざけたこと言ってんだ、おまえ」と口からこぼれそうになった言葉を飲み込めてよかった。
人間の発想が斬新すぎて逆にビビる。
じいちゃんの話だと、冒険者って生き物は、コア破壊のために魔族や魔物を蹂躙し、罠は打ち壊し、ダンジョン内の資材を根こそぎ奪い取って行く連中だ、って話だったんだが……
時代が違うのか、それとも、この地域柄なのか……?
「そうですよ! 迷宮都市のダンジョンだって潜るのには入場料がかかるんスよ!? それに、ダンジョンから出たアイテムだって、何割か税金として取られるし……第一、こんな奇麗な『魔法石』最低でも銀貨5枚……いや、7枚はいくっスよ!!」
念のため、ベータやアルファにも確認を取ってみた所、同じような事を言っていたので、そういうものなのだろう。
か、カルチャーショックってこういう事をいうんだろうな……
俺はコギッツくんの教えに従い、冒険者ギルドへ依頼をしてみた。
流石に、入場料は取らない代わりに俺からの報酬は特に無い。ただし、ダンジョン内で入手したアイテムについては冒険者が総取り、という内容だ。
こんなふざけた内容なのだが、コギッツくんの口コミの威力おそるべし。
1階の比較的浅い部分でも『魔法石』を拾える可能性が有る、と分かった冒険者たちで連日大盛況だ。
駆け出しから人気に火が付き、中堅クラスの中には全5階を完全踏破し、俺の館の前へ瞬間移動してくるパーティも現れた。
とはいえ、数日もあれば、地下の構造は自動的に変化する。
部屋数が増えたり、ルートが変わったり、罠が別の場所に発生したり……
俺が最初に設定した罠の『種類』や『特殊な謎解き扉』『瞬間移動魔法陣を設定した部屋』など、変わらない要素はあるものの、中身が流動的なのも『生きたダンジョン』の特徴の一つだ。
ダンジョン・ポイント的にもウハウハが止まらないので、そろそろ地下10階くらいまで大きくしようか……と、ネーヴェリクと拡張工作を進めている時に、冒険者ギルドからの使いが訪れた。
0
お気に入りに追加
1,309
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる