四天王最弱の男、最強ダンジョンを創る〜俺を追放した魔王から戻ってこいと言われたけど新たなダンジョン創りが楽しいし、知らんがな〜

伊坂 枕

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25 幼児を呼び込もう!

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「……でしたら、収穫の手伝いをしていただいたら、売却価格の半分を労働対価としてお渡しいたします。ご協力いただけませんか?」

「えっ!? そ、その、ほ、本当に……よろしいんでしょうか?」

「もちろんです! 明日、是非、孤児院の皆様でお越しください。町の外れではありますが、庭は安全ですので、小さなお子様がご一緒でも構いませんよ。」

 俺は、冒険者ギルドに頼んで譲って貰った紙に、俺の屋敷までの地図を書いて彼女に渡す。

「お子様は何人いらっしゃるんですか?」

「あの、はい、さ、30人ほど……」

 30人!!
 それは、なかなか大人数だぞ。
 適当な菓子、と思ったが……大量に作れる具だくさんスープの昼食辺りで妥協しよう。

「それでは、簡単な昼食を準備してお待ちしております」

 彼女と別れるなり、アルファのヤツが呆れた調子で話しかけて来た。

「……カイトシェイドさんよぉ、テメェ、ああいう女がイイのかよ?」

「ん? 別に彼女がどうこうというよりも、俺が興味あるのは、大量の子供達の方だな」

 子供や老人は魔力値がその種族の平均よりわずかに高くなる傾向がある。
 才能のある一部は、その高い魔力を維持できるんだが、大体は身体が丈夫になるのと反比例するように魔力は減って行き、身体が衰えはじめると、また魔力が増えて行くのが一般的。

 だけど、子供や老人ってあまりダンジョンに来ない生き物なのだ。
 特に子供はダンジョン内で繁殖させない限りは、ほぼ見ないといって良い。
 ウチの奴隷も平均年齢は高めだし。
 折角呼び込めるなら、呼び込んでおいて損は無い。

「……とんだ変態だな、テメェ」

「失礼な! 別に取って食うわけじゃないぞ? 獣人の子供という生き物が、俺の屋敷に存在してくれるだけで良いんだ!」

「発言がより変質者キチガイじみてキモチ悪ぃんだよッ!! テメェが言うと!!」

「……む、そうなのか? それは今後、気をつける」

 変質者に近寄りたがる子供や老人はいないだろう。
 そんな評判を立てられるのはごめんだ。

「よーし、明日の為にも食材を多めに買って帰るぞ! アルファ!! あと、屋敷に戻ったら傷を治してやるからな? オメガ!!」

 俺は、手にした通貨で大量の食料を買い込み、ホクホク顔で帰路についたのだった。



 翌日。

「も、申し訳ありません、よろしくお願いいたします。さ、皆、お願いするよ~」

「「「おねがいしまぁすっ!!」」」

 わちゃわちゃと、様々な種族の子供達を引き連れ、ダンジョン・ポイントボーナスの群れ……もとい、シスター・ウサミンご一行がやって来た。

 おー!! わちゃわちゃ居るなぁ!!
 中には、まだ本当に小さな獣人もヨチヨチと歩いている。
 猫耳の子、犬耳の子、トカゲ尻尾の子!
 ボーナスがちょこちょこ動き回っていると思うと妙に可愛く見えるからゲンキンなものだ。

「お待ちしておりまシタ、お手数をおかけしますがよろしくお願いしマス」

 ネーヴェリクがそんな一行を笑顔で畑へと案内する。
 そこは、昨日引き抜いた分、再度、種を撒き、風呂の水を与えて急成長させたマンドラニンジンが大量に生えている。

「うわぁ~、こ、こりゃすげぇや!!」

 冒険者をしているという年長の子供だろう。

 狐のようなモフモフの尻尾を揺らした赤茶髪の少年が大喜びでマンドラニンジンを引き抜き始める。
 彼くらいの年頃の子供が他にも4名ほど居り、幼い子供たちのリーダーを担っている。

「にいちゃん、これ、おっきいー!」「あたしのほうがおっきいよ!!」「にいちゃん、ぬけない~!」

 小さな子供達の面倒を見ながら、年長組がガシガシと収穫作業を進めている。
 俺たちは、そんなゲストへ出す昼食のスープ作りだ。

 安く手に入った鳥っぽい肉とマンドラニンジンと芋のスープに主食のパン。
 
 この銀貨数枚程度の投資で夕方まで滞在してくれるなら言う事なしだ。
 しかも、マンドラニンジンを売り払った半額は俺の懐に戻って来る事を考えると、収支は完全なる黒字。笑いが止まらないぜ。

「ふふっ……カイトシェイド様、楽しそうデス」

「わかるか、ネーヴェリク」

「ハイ! あの小さな獣人が、あんなに色んな種類で、あんなにイッパイ……跳ね上がったポイント増加量が、目に見えるようデス~」

 ネーヴェリクも嬉しそうに小さな生き物がわきゃわきゃと騒ぎ立てる姿を見ている。
 意外なことに、ベータや他の奴隷たちも、目じりを下げて楽しそうにしていた。

 ベータは、孫とか居てもおかしくない年だもんな。

「マンドラニンジンは流石に全部収穫しきれないだろうから、三分の一は残しておいて、種を取るようにしよう!」

 それが出来れば、今後も孤児院の子供達に畑仕事を手伝ってもらう口実になる。

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