四天王最弱の男、最強ダンジョンを創る〜俺を追放した魔王から戻ってこいと言われたけど新たなダンジョン創りが楽しいし、知らんがな〜

伊坂 枕

文字の大きさ
上 下
13 / 124

13 犯罪者奴隷を買おう!

しおりを挟む

「そうか。そこまで伝わっているなら話が早い。早速、奴隷を見せてくれ」

 俺がそういうと、待ってました、とばかりに奴隷商人は、俺たちを館の奥へと案内する。

「念のため確認ですが、本当に『不良在庫』で構わないのでしょうか?」

 ちなみに不良在庫、というのは病気をしていたり、怪我などで身体に欠損が有ったり、年を取り過ぎている老人の事を指すらしい。

「ああ、こう見えても俺は医学を志しているから『回復魔法』や『薬作成』の実験用にしたいんだ」
 
 実際、この手の不良在庫の使い道は人体実験用の『実験奴隷』一択だそうだ。
 戦闘用や労働用……もちろん、愛玩用にも使えないから、値段も安い。

 奴隷商人としても、いつあの世へ旅立たれるかわからない奴隷など、維持費もかかるし、手元に置いておくのはリスクでしかないのだろう。

 その点、俺の場合はダンジョン内で『住人登録されていない者』が死んだ時は、ダンジョン・ポイントに一時ボーナスが付く。
 長い目でみると、屋敷ダンジョン内で長生きしてくれた方が得なのだが、仮に死亡したとしても損はない。
 それに、強い不満や怒りを胸に抱いたまま死んでくれれば、アンデットとして復活してくれる可能性すらあるのだ。

 そんな訳で、この奴隷商人の手元に残っていた、病人・ケガ人・老人等を併せて11人を購入する事にした。内訳は女6名、男5名だ。

「あの……カイトシェイド様、こちらの方々は、購入されなくテよろしいのデショウか?」

 その時、ネーヴェリクが少し離れた所で隔離されていた3人を指差した。

 全員、猿ぐつわのようなモノを噛まされ、拘束されている。
 それぞれが別の場所に入れ墨のようなマークが刻まれていた。

 一人は、しわがれたよぼよぼの老人。
 もう一人は元戦闘要員らしき右腕が欠損した筋肉質の男。
 最後の一人は、顔中ボコボコだし、倒れ伏しているせいで性別もよく分からないが、身に着けている布が腰巻だけなので多分、若い男……いや、男の子供だろう。

「ああ、お嬢様、そちらは流石にお勧めできません。コイツ等は元・犯罪者です」

 聞けば、老人は貴族に仕えていた元執事だそうだが、主の貴族が犯罪に手を染め、投獄。お家取り潰しで仕事を失い路頭に迷ってしまったらしい。
 後に、その取り潰しの原因を暴いた別の貴族家の主を逆恨み。
 結局、その相手方を詐術と毒を用いて殺害してしまったのだそうだ。 

 次に、右腕の無い男は殺人鬼。
 なんでも、冒険者のクランと呼ばれる集団同士の抗争とやらで、相手方40名を殺害。そのせいで右手を失ったようだが、その戦闘能力は中級の魔族並と言って良い。
 腕を失ってなお、ネーヴェリクを射殺しそうな瞳で鼻先に皺をつけて睨みつける様は、まさに狂犬のそれだ。

 そしてフルボッコにされている子供は虚言癖のある頭のオカシイ餓鬼で自分の主が寝静まった際に、手にかけてしまったにもかかわらず、偶然生き延びたのだとか。

 通常、奴隷は【奴隷紋】と呼ばれる魔法の紋章を身体に刻まれ、主に重大な害を及ぼす行為を取った際には、その魔法の力で命を奪われるはずなのだが、ごく稀に生来魔法耐性の高い者は、その呪いを打ち消してしまうことがある。

「仮に傷が癒えたとしても、行動や言動は狂人のそれ、とても手に負えるモノではありません」

「いや、構わない。この三人も購入する」

 特にあのじーさんは元執事ってことだし、それなりに常識もありそうだ。
 魔族の俺たちに人間達が使う程度の毒は効かないから、大した危険は無い。

「危険です! こやつ等は【奴隷紋】も効きづらく、旦那様に害を及ぼす可能性がございます!」

 ダンジョン内であれば中級魔族レベルの戦闘力は驚異ではないし、じーさんやフルボッコくんは明らかに非戦闘員。

「問題無い」

「で、ですが!?」

「……くどいぞ」

「いえ、申し訳ございません! かしこまりました、こちらの三人もお売りいたします」

 俺が、少しワザとらしく不愉快そうに顔を歪めると、平身低頭な態度でお辞儀を繰り返した。
 想定よりも安く大量に奴隷を仕入れられたので、俺としては万々歳である。

「サービスとして14名の一週間分の食糧と荷馬車をお付けいたします。さ、旦那様、それでは奴隷たちとの契約魔法を使わせていただきますが……一部効きの悪い者が居ることは重々承知おきください」

「ああ、もちろん。……お前に迷惑をかける真似はしないさ」

「お心遣い、ありがとうございます!」

しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...