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温泉旅行編
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旅行当日は何故か、門の前での待ち合わせだった。
母屋と離の違いはあれど、どうせ同じ屋根の下に住んでいるのだから一緒に出掛ければ良いと思っていたのだが、坊ちゃんがどうしても待ち合わせが良いと主張するものだから そうしたのだ。
時間より10分ほど早く外に出て待っていると、しばらくしてから白のセダンが目の前に止まって助手席のウィンドーがゆっくりと下りた。
何事かと思って警戒していると サングラスのイケメンが顔を出した。
「そこのかわい子ちゃん俺とデートしない?」
人違いかと思って辺りを見回したが、朝早い事もあり誰1人周りには居ない。
「…………坊ちゃん……何してるんです?」
やたらとキメていている慈海はかっこいいと言うより 少々空回りしていて愛らしいとすら思えてくる。
「凛ちゃんノリ悪ーい」
不服そうな慈海へこの車はどうしたのか冷静に確認すると、夏に取ったばかりの免許でレンタカーを借りて来たとドヤ顔で教えてくれた。
大学生らしい溌剌とした笑顔を向けながら出てきた慈海は、俺の荷物をさりげなく受け取り、助手席のドアを開けて 少しキザに「こちらへどうぞ」と誘導してくれる。
「坊ちゃん……どこでこんなこと覚えて来たんです?」
高校生の頃はもう少し可愛げがあったはずなのに 今ではまるで昔の俺を見ているようだ。
慈海も大学生らしく飲み会や合コンにでも行って……少し大人の女に教わったんだろうか? 俺を抱くように欲にまみれた雄の顔をして 若くて抱き心地の良い女と一夜を共にしたのだろうか。
「こんな事? ってか、今日はデートだから坊ちゃん呼び禁止!」
……仮にもし、慈海が浮気をしていても 俺に勝ち目は無いだろう。本当は こんなにも愛しい慈海を独り占めしたい。けれど、三十もの歳の差を考えると そうは言えたものじゃないな。
車に乗り込むと 慈海は改めて俺に向き合って手を伸ばして来た。
「凛ちゃん 久しぶりにこのウィッグ着けてるんだね、かわいい。それにこの服 新しいの買ったんだ? もしかして デート意識してくれたの? すげぇ似合ってる」
結局悩んだ末に着けてきたウィッグも、今日の為に選んだ服も 何もかも甘い声で褒めてくれるものだから 良い歳してデートに浮かれていた自分を再確認して恥ずかしい。
慈海の視線から逃げるように 熱くなってきた顔を窓の外へ向けた。
「……最近 服を買っていなかったので……」
「ふーん? ね、凛ちゃんこっち向いて?」
座席に腕が置かれ、身を寄せて来る慈海の気配を感じる。
「キスしたい」
窓の外には寺の門が見えているのに こんな場所では……
背徳感を感じながらも 頬に伸びてきた慈海の手に誘導されてしっとりと唇が重なった。
「……んっ……坊ちゃん、これ以上はダメです。今日はデートなんでしょう?」
ゆっくりと下方へ移動する慈海の手を取り、少し怒った風を装った。
このまま始まってしまっては 俺の身が持ちそうにないし、こんな場所を誰かに見られでもしたら……。
「ん~、もう少しって言いたい所だけど、そうだな。温泉行ったらいっぱいシようね 凛ちゃん」
俺の心配を他所に、慈海はウキウキとしながらもう一度軽いキスをしてからエンジンをかけた。
母屋と離の違いはあれど、どうせ同じ屋根の下に住んでいるのだから一緒に出掛ければ良いと思っていたのだが、坊ちゃんがどうしても待ち合わせが良いと主張するものだから そうしたのだ。
時間より10分ほど早く外に出て待っていると、しばらくしてから白のセダンが目の前に止まって助手席のウィンドーがゆっくりと下りた。
何事かと思って警戒していると サングラスのイケメンが顔を出した。
「そこのかわい子ちゃん俺とデートしない?」
人違いかと思って辺りを見回したが、朝早い事もあり誰1人周りには居ない。
「…………坊ちゃん……何してるんです?」
やたらとキメていている慈海はかっこいいと言うより 少々空回りしていて愛らしいとすら思えてくる。
「凛ちゃんノリ悪ーい」
不服そうな慈海へこの車はどうしたのか冷静に確認すると、夏に取ったばかりの免許でレンタカーを借りて来たとドヤ顔で教えてくれた。
大学生らしい溌剌とした笑顔を向けながら出てきた慈海は、俺の荷物をさりげなく受け取り、助手席のドアを開けて 少しキザに「こちらへどうぞ」と誘導してくれる。
「坊ちゃん……どこでこんなこと覚えて来たんです?」
高校生の頃はもう少し可愛げがあったはずなのに 今ではまるで昔の俺を見ているようだ。
慈海も大学生らしく飲み会や合コンにでも行って……少し大人の女に教わったんだろうか? 俺を抱くように欲にまみれた雄の顔をして 若くて抱き心地の良い女と一夜を共にしたのだろうか。
「こんな事? ってか、今日はデートだから坊ちゃん呼び禁止!」
……仮にもし、慈海が浮気をしていても 俺に勝ち目は無いだろう。本当は こんなにも愛しい慈海を独り占めしたい。けれど、三十もの歳の差を考えると そうは言えたものじゃないな。
車に乗り込むと 慈海は改めて俺に向き合って手を伸ばして来た。
「凛ちゃん 久しぶりにこのウィッグ着けてるんだね、かわいい。それにこの服 新しいの買ったんだ? もしかして デート意識してくれたの? すげぇ似合ってる」
結局悩んだ末に着けてきたウィッグも、今日の為に選んだ服も 何もかも甘い声で褒めてくれるものだから 良い歳してデートに浮かれていた自分を再確認して恥ずかしい。
慈海の視線から逃げるように 熱くなってきた顔を窓の外へ向けた。
「……最近 服を買っていなかったので……」
「ふーん? ね、凛ちゃんこっち向いて?」
座席に腕が置かれ、身を寄せて来る慈海の気配を感じる。
「キスしたい」
窓の外には寺の門が見えているのに こんな場所では……
背徳感を感じながらも 頬に伸びてきた慈海の手に誘導されてしっとりと唇が重なった。
「……んっ……坊ちゃん、これ以上はダメです。今日はデートなんでしょう?」
ゆっくりと下方へ移動する慈海の手を取り、少し怒った風を装った。
このまま始まってしまっては 俺の身が持ちそうにないし、こんな場所を誰かに見られでもしたら……。
「ん~、もう少しって言いたい所だけど、そうだな。温泉行ったらいっぱいシようね 凛ちゃん」
俺の心配を他所に、慈海はウキウキとしながらもう一度軽いキスをしてからエンジンをかけた。
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でも伏🦍がわかんないやー🤔に……も……?んー、🦍へ🦍へ?ん〜なんだろう?(棒)
おショタなのにかっこいい坊ちゃんと 戸惑っちゃうけど癒されてる凛ちゃんの構図が好きです(◦`꒳´◦)ᵎᵎw
さらり様
このお話は泣いちゃうからーーー😭😭😭
朝からまた見返しちゃダメだったwwww😂
坊ちゃん………切ないよぉー😭
号泣しながら書いたやつを編集しながら号泣しておりました😂 😭
現在ほのぼの(?)ドエロ温泉旅行編を制作中ですのでよろしくお願いいたします🙇♀️
さらり様
絶賛妄想滾り中の最中に更新ありがとうございます(о´∀`о)💓
ますます力が入るってもんですよ🤣🤣
団子には見えないでしょ‼️
坊っちゃん🤣
坊ちゃんは団子に紛れて鎮雄さんを食べたくてつい
……丸い団子になら隠せるかなーって紛れ込ませたのでしょう😌