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本編
恐怖の休日①
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タクシーの中ではお互いに何も言わなかった。いや、口を開く雰囲気じゃなかった。
ただただ徳仁が俺の手を握り締めてて、手錠でもかけられた気分が居心地悪かった。
ワンメーターぐらいでアパート前に到着すると、重い足を引き摺る様にして部屋の前まで連れてこられた。
鍵を出すフリして手を離して貰えばワンチャン逃げられるのではと考えた次の瞬間。
どこからか出した鍵で解錠された玄関ドアが 無情に開かれてしまった。
「ッ!!」
グッと引き寄せられて真っ暗な玄関に押し込まれ、足がもつれて廊下に倒れ込んだ。
─バタン ! ガチャ─
ドアの閉まる音がしたすぐ後に錠の落ちる音が響いた。
「ねぇめぐ、俺と毎日電話して玩具でも遊んであげてたのにまだ足りなかったの? めぐちゃんは悪い子だねぇー。せっかく帰って来てあげたのに」
訳の分からない状況で、反射的に後退りしながら小さく震えた。
「なんで……鍵……それよりどうしてここに居るの? だって今 大阪じゃ」
そうだ。出張中で大阪に居るはずなのに。何故ここに居る?
「環に会いに来たに決まってるだろ?」
面倒くさそうなため息を吐き出した低い声の徳仁が、俺の上にまたがってきて服を乱す。
「待っ! っ痛ッ」
抵抗しようともがくたびに服の上からキュッと乳首をつままれて痛みが走る。
顔を歪めて痛みに耐える俺とは対照的に 無表情な徳仁に唇を奪われ、口内を気色悪く動く舌に蹂躙される。
「ねぇめぐ、いつから香水なんかつけるようになったの? そんな色気づいて誰とナニするつもりだったの」
香水? いったい徳仁は何を言ってるんだ?
「そんなの付けてなッ……痛ッ」
「へぇ、じゃあ誰の匂いをつけてるの? ……この匂いさっきのコシバくんじゃ無いよね?」
首筋に鼻先を寄せて匂いを嗅ぎながら不服そうに言った。
自分でも分からないのに……なんで徳仁はそんな事まで分かるんだろう? でも、ついてるとしたらたぶん、蓮見さんだ。介抱してくれた時に着いたのだろう。
あの人は優しいムスクの香りがしていたから……。
ほんの少し考えてる間にも、徳仁はイライラと俺の服を剥ぎ取りながらネクタイで俺の両手を縛り上げ、全身の匂いを嗅ぎ始めた。
「ちょっと待って! 嫌ッ、徳仁ッ! なんでそ んッ」
肌の上を生暖かい息がかかるのも、徳仁に理不尽に怒られているのも 不快で気持ち悪くて嫌なのに、俺の身体は段々と現実逃避を始めて居るのが何より1番 不愉快極まりなくて 目の前の徳仁を突き飛ばしたい。
そうは思っても、徳仁に弱みを握られていては強い反発も出来はないのが現実だ。
「なんで? はぁ……まだ分かんないの? 環は俺の玩具だって言ってるでしょ。勝手に他人に触らせちゃダメなんだよ」
穿いていたスラックスのベルトで足の自由まで奪われた状態で、徳仁は立ち上がった。
そのままワンルームの奥へと進んで行った徳仁はチェストの引き出しを開けて何かを探しているようだ。
「ちょっ待って、徳仁! お願い、枷外して」
チェストに入っているのもと言えば、いつの間にか用意されていた玩具しか考えられない。もしもこんな場所で、しかもこんな手枷や足枷のある状態で使われたら たまったもんじゃない。
懸命に手足を動かして冷たい廊下の上で身体を捩るが、足枷も手枷も外れる気配は無い。
「めーぐ、他の男に香水の移り香貰うほどくっついてたんでしょ? ちゃんと反省しなきゃダメだよ。今からたっぷり めぐが誰のモノか分からせてあげるからね」
ただただ徳仁が俺の手を握り締めてて、手錠でもかけられた気分が居心地悪かった。
ワンメーターぐらいでアパート前に到着すると、重い足を引き摺る様にして部屋の前まで連れてこられた。
鍵を出すフリして手を離して貰えばワンチャン逃げられるのではと考えた次の瞬間。
どこからか出した鍵で解錠された玄関ドアが 無情に開かれてしまった。
「ッ!!」
グッと引き寄せられて真っ暗な玄関に押し込まれ、足がもつれて廊下に倒れ込んだ。
─バタン ! ガチャ─
ドアの閉まる音がしたすぐ後に錠の落ちる音が響いた。
「ねぇめぐ、俺と毎日電話して玩具でも遊んであげてたのにまだ足りなかったの? めぐちゃんは悪い子だねぇー。せっかく帰って来てあげたのに」
訳の分からない状況で、反射的に後退りしながら小さく震えた。
「なんで……鍵……それよりどうしてここに居るの? だって今 大阪じゃ」
そうだ。出張中で大阪に居るはずなのに。何故ここに居る?
「環に会いに来たに決まってるだろ?」
面倒くさそうなため息を吐き出した低い声の徳仁が、俺の上にまたがってきて服を乱す。
「待っ! っ痛ッ」
抵抗しようともがくたびに服の上からキュッと乳首をつままれて痛みが走る。
顔を歪めて痛みに耐える俺とは対照的に 無表情な徳仁に唇を奪われ、口内を気色悪く動く舌に蹂躙される。
「ねぇめぐ、いつから香水なんかつけるようになったの? そんな色気づいて誰とナニするつもりだったの」
香水? いったい徳仁は何を言ってるんだ?
「そんなの付けてなッ……痛ッ」
「へぇ、じゃあ誰の匂いをつけてるの? ……この匂いさっきのコシバくんじゃ無いよね?」
首筋に鼻先を寄せて匂いを嗅ぎながら不服そうに言った。
自分でも分からないのに……なんで徳仁はそんな事まで分かるんだろう? でも、ついてるとしたらたぶん、蓮見さんだ。介抱してくれた時に着いたのだろう。
あの人は優しいムスクの香りがしていたから……。
ほんの少し考えてる間にも、徳仁はイライラと俺の服を剥ぎ取りながらネクタイで俺の両手を縛り上げ、全身の匂いを嗅ぎ始めた。
「ちょっと待って! 嫌ッ、徳仁ッ! なんでそ んッ」
肌の上を生暖かい息がかかるのも、徳仁に理不尽に怒られているのも 不快で気持ち悪くて嫌なのに、俺の身体は段々と現実逃避を始めて居るのが何より1番 不愉快極まりなくて 目の前の徳仁を突き飛ばしたい。
そうは思っても、徳仁に弱みを握られていては強い反発も出来はないのが現実だ。
「なんで? はぁ……まだ分かんないの? 環は俺の玩具だって言ってるでしょ。勝手に他人に触らせちゃダメなんだよ」
穿いていたスラックスのベルトで足の自由まで奪われた状態で、徳仁は立ち上がった。
そのままワンルームの奥へと進んで行った徳仁はチェストの引き出しを開けて何かを探しているようだ。
「ちょっ待って、徳仁! お願い、枷外して」
チェストに入っているのもと言えば、いつの間にか用意されていた玩具しか考えられない。もしもこんな場所で、しかもこんな手枷や足枷のある状態で使われたら たまったもんじゃない。
懸命に手足を動かして冷たい廊下の上で身体を捩るが、足枷も手枷も外れる気配は無い。
「めーぐ、他の男に香水の移り香貰うほどくっついてたんでしょ? ちゃんと反省しなきゃダメだよ。今からたっぷり めぐが誰のモノか分からせてあげるからね」
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