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✿アヤメと菖蒲それからアイリス(同級生/両片想い/思ってたんと違う/腐女子が出てくる)
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──菖蒲の日常──
アヤメに初めてあったのは、5歳の頃だった。
二卵性双生児だと言うのにそっくりな双子で、姉のアイリスとアヤメはいつもお揃いの服を着て居たからてっきり女の子だと思っていた。アヤメは背が小さくて、ほっそりした手脚。睫毛が長くて瞳も大きくてぱっちり二重で、ぷっくりとした唇なんかいつもうるうるぷるんとしてて、近寄るとバラの良い香りがするような奴だった。
否、"だった"だと語弊がある。
今でも天使のように可愛い男子だ。そしてすっっっごく、めっっっちゃ鈍感な天然野郎だ。
最初は同じ漢字の名前なのに、見た目も名前も女みたいだし、不思議な奴だと思ってた。だけど、見れば見る程可愛くて、知れば知るほど愛しくて。次第に、自然に、無自覚に恋していたんだと思う。否、一目惚れだったのかも知れない。
そんな俺が11年間親友を努めているのは、ひとえにあいつの安全を守り幸せを確保するためであり、断じてあいつの恋路を邪魔したい訳では無い。が!男女問わずモテモテの上、のほほんとした天然キャラのせいで邪な考えの奴も近寄って来るからな。アヤメにはバレないようにしめて回ってると言うわけだ。
とは言え喧嘩して怪我した事は良くバレてるが。
俺が恋人になりたいから嫉妬でそんな事してる訳でも無い。はず。いや、無い!!!
「おいゴルァ、次アヤメの事盗撮しやがったらただじゃすまないと思えよ」
「は、はい……す"み"ま"せ"ん"でした。」
校舎脇の人から見えにくい位置でアヤメを盗撮しながらニヤニヤしてる奴を見付けて、データを自分のスマホに転送してから消して、ちょっとだけ痛い目を見てもらった。……ちょっとだけな。
「しょーぶぅー?どこいったのー?」
離れた所から俺を探すアヤメの声がする。急いで戻らねぇと!!!
盗撮魔にもう一度だけ凄みを利かせてから、走ってアヤメの後ろに回ると、何食わぬ顔で声をかける。
「アヤメ、どうした?俺を探してただろ?」
「あー、後ろに居たのか。気づかなかった」
いや、今来たんだけどな!
「もぉー、菖蒲は目を離すといつもどこかで喧嘩して怪我するだろ?だから僕のそばにちゃんと居てよね」
くっっっそ可愛いなぁおい。上目遣いにこっち見てくんじゃねぇよ犯すぞコラッ
「喧嘩するのは相手が悪いんであって、俺はなんも悪くねぇ。」
「ハイハイ。今日はまだ喧嘩してない?チェックするから手を出して」
にっこり笑顔で、はいっと手を差し伸べられると断る事も出来ず、アヤメの手の上に自らの手を乗せた。
「ん。」
「あ、右手ちょっと赤いね。また何か殴ったの?」
「怪我はしてねぇよ」
赤くなってる俺の手をきゅっと握ると赤い箇所に唇を落として昔からのおまじないをしてくれる。
「でも、痛そう。痛いの痛いのお山の向こうに飛んで行けー!チュッ」
ゾクッとする程の色気を当てられて抱き締めたい衝動を懸命に抑える。
俺は変態共と違ってコイツの親友だ。親友だからこんなに心を許してくれてるんだって事を忘れるな、俺。これ以上を望むなんてダメだ。耐えろ。死ぬまで我慢しろ。一番そばでコイツを守るって決めたんだから。
「元々痛かぁねぇよこんなもん。アイリスはどうした?」
何食わぬ顔で手をアヤメの頭に乗せてぐしゃぐしゃと掻き回す。
「アイちゃんなら先に教室戻ったよ。僕達も行こうか」
穏やかな顔で髪を直しながらほんのり赤くなった頬で微笑むアヤメと共に日常に戻る。
頭を撫でるだけで赤くなるなんて反則だ。クソっ……アヤメが俺を好きになったらいいなんて思っちゃダメだ。変な事して今の関係で居られなくなったらどうする?俺は、親友なんだ。
頭2つ分ほど小さいアヤメの後ろ姿を見つめながら自分を戒める菖蒲であった────。
──アイリスの日常──
今日も私の可愛すぎる弟とやんちゃな幼馴染みがイチャイチャしていた。
近場にBL供給源があるのは本当に毎日が楽しい。おかげで私の漫画も人気で嬉しい悲鳴だわ。
こないだは弟がモブレされる案件を幼馴染みが事前に解決してくれたし、痴漢野郎をボコボコにしてくれたわ。その度に弟は幼馴染みの怪我した場所や赤くなってる場所にキスのおまじないをするの。姉の私が見ててもアレはエロいのよね。モブレ未遂の時なんか涙目になりながら手や顔中にキスしてて、あれで付き合ってないのが謎すぎるレベルだったわ。因みに私の漫画ではめちゃくちゃセッしてもらったけどね。
次は何を供給してくれるのかしら。
「そしたらね、……てたんだよ……ちゃん……アイちゃん?」
危ない危ない。妄想に耽りすぎて現実が見えてなかったわ。
「ごめん、考え事してて聞いてなかった。なんて言ったの?」
「考え事?僕で助けられる事なら何でも言ってね」
「ええ、いつも助けられてる。ありがとう、大好きよアヤメ」
この天使のように可愛い弟だけど、幼馴染みの知らない私だけが知ってる事もある。
それは
「僕もアイリス好きだよ。ぁ、でね、今日の菖蒲は校舎の影から僕を盗撮した男を相手にしててね、自分のスマホにデータ転送したり殴ったりしてくれてたの!で、手が真っ赤になってたからいつものちゅーしてあげたの!そしたらね、顔がどんどん赤くなって、ちょっと勃ってるのに眉間に力を入れて我慢してたんだよ!きっと僕を抱きたいんだろうなぁ。あれで隠してるつもりなんだよ?可愛いよねぇ~空き教室に連れ込んで抱き潰したくなっちゃう」
弟がなかなかの変態だと言う事と、幼馴染みの行いは全てバレバレな事。
更には
「休み時間にちょーっとだけその盗撮魔くんに声掛けて僕の菖蒲に触ったお仕置しちゃった!えへへ」
毎回影で仕返ししてるくらい強いという事。もしかしたら幼馴染みより強いかもしれないと私は思っている。
「アヤメは本当に強いわね……でもちょっと心配になるから程々にしときなさいよ?」
「大丈夫だよアイリス。僕は菖蒲のためなら誰にも負けないから。あぁ~早く菖蒲を抱きたいなぁ~」
こんな時、普段の天使みたいな微笑みと同じはずの笑顔が、悪魔の微笑みに見えてしまうのも幼馴染みは知らない。
そして私は今日も弟×幼馴染みのBLを描いている。
アヤメに初めてあったのは、5歳の頃だった。
二卵性双生児だと言うのにそっくりな双子で、姉のアイリスとアヤメはいつもお揃いの服を着て居たからてっきり女の子だと思っていた。アヤメは背が小さくて、ほっそりした手脚。睫毛が長くて瞳も大きくてぱっちり二重で、ぷっくりとした唇なんかいつもうるうるぷるんとしてて、近寄るとバラの良い香りがするような奴だった。
否、"だった"だと語弊がある。
今でも天使のように可愛い男子だ。そしてすっっっごく、めっっっちゃ鈍感な天然野郎だ。
最初は同じ漢字の名前なのに、見た目も名前も女みたいだし、不思議な奴だと思ってた。だけど、見れば見る程可愛くて、知れば知るほど愛しくて。次第に、自然に、無自覚に恋していたんだと思う。否、一目惚れだったのかも知れない。
そんな俺が11年間親友を努めているのは、ひとえにあいつの安全を守り幸せを確保するためであり、断じてあいつの恋路を邪魔したい訳では無い。が!男女問わずモテモテの上、のほほんとした天然キャラのせいで邪な考えの奴も近寄って来るからな。アヤメにはバレないようにしめて回ってると言うわけだ。
とは言え喧嘩して怪我した事は良くバレてるが。
俺が恋人になりたいから嫉妬でそんな事してる訳でも無い。はず。いや、無い!!!
「おいゴルァ、次アヤメの事盗撮しやがったらただじゃすまないと思えよ」
「は、はい……す"み"ま"せ"ん"でした。」
校舎脇の人から見えにくい位置でアヤメを盗撮しながらニヤニヤしてる奴を見付けて、データを自分のスマホに転送してから消して、ちょっとだけ痛い目を見てもらった。……ちょっとだけな。
「しょーぶぅー?どこいったのー?」
離れた所から俺を探すアヤメの声がする。急いで戻らねぇと!!!
盗撮魔にもう一度だけ凄みを利かせてから、走ってアヤメの後ろに回ると、何食わぬ顔で声をかける。
「アヤメ、どうした?俺を探してただろ?」
「あー、後ろに居たのか。気づかなかった」
いや、今来たんだけどな!
「もぉー、菖蒲は目を離すといつもどこかで喧嘩して怪我するだろ?だから僕のそばにちゃんと居てよね」
くっっっそ可愛いなぁおい。上目遣いにこっち見てくんじゃねぇよ犯すぞコラッ
「喧嘩するのは相手が悪いんであって、俺はなんも悪くねぇ。」
「ハイハイ。今日はまだ喧嘩してない?チェックするから手を出して」
にっこり笑顔で、はいっと手を差し伸べられると断る事も出来ず、アヤメの手の上に自らの手を乗せた。
「ん。」
「あ、右手ちょっと赤いね。また何か殴ったの?」
「怪我はしてねぇよ」
赤くなってる俺の手をきゅっと握ると赤い箇所に唇を落として昔からのおまじないをしてくれる。
「でも、痛そう。痛いの痛いのお山の向こうに飛んで行けー!チュッ」
ゾクッとする程の色気を当てられて抱き締めたい衝動を懸命に抑える。
俺は変態共と違ってコイツの親友だ。親友だからこんなに心を許してくれてるんだって事を忘れるな、俺。これ以上を望むなんてダメだ。耐えろ。死ぬまで我慢しろ。一番そばでコイツを守るって決めたんだから。
「元々痛かぁねぇよこんなもん。アイリスはどうした?」
何食わぬ顔で手をアヤメの頭に乗せてぐしゃぐしゃと掻き回す。
「アイちゃんなら先に教室戻ったよ。僕達も行こうか」
穏やかな顔で髪を直しながらほんのり赤くなった頬で微笑むアヤメと共に日常に戻る。
頭を撫でるだけで赤くなるなんて反則だ。クソっ……アヤメが俺を好きになったらいいなんて思っちゃダメだ。変な事して今の関係で居られなくなったらどうする?俺は、親友なんだ。
頭2つ分ほど小さいアヤメの後ろ姿を見つめながら自分を戒める菖蒲であった────。
──アイリスの日常──
今日も私の可愛すぎる弟とやんちゃな幼馴染みがイチャイチャしていた。
近場にBL供給源があるのは本当に毎日が楽しい。おかげで私の漫画も人気で嬉しい悲鳴だわ。
こないだは弟がモブレされる案件を幼馴染みが事前に解決してくれたし、痴漢野郎をボコボコにしてくれたわ。その度に弟は幼馴染みの怪我した場所や赤くなってる場所にキスのおまじないをするの。姉の私が見ててもアレはエロいのよね。モブレ未遂の時なんか涙目になりながら手や顔中にキスしてて、あれで付き合ってないのが謎すぎるレベルだったわ。因みに私の漫画ではめちゃくちゃセッしてもらったけどね。
次は何を供給してくれるのかしら。
「そしたらね、……てたんだよ……ちゃん……アイちゃん?」
危ない危ない。妄想に耽りすぎて現実が見えてなかったわ。
「ごめん、考え事してて聞いてなかった。なんて言ったの?」
「考え事?僕で助けられる事なら何でも言ってね」
「ええ、いつも助けられてる。ありがとう、大好きよアヤメ」
この天使のように可愛い弟だけど、幼馴染みの知らない私だけが知ってる事もある。
それは
「僕もアイリス好きだよ。ぁ、でね、今日の菖蒲は校舎の影から僕を盗撮した男を相手にしててね、自分のスマホにデータ転送したり殴ったりしてくれてたの!で、手が真っ赤になってたからいつものちゅーしてあげたの!そしたらね、顔がどんどん赤くなって、ちょっと勃ってるのに眉間に力を入れて我慢してたんだよ!きっと僕を抱きたいんだろうなぁ。あれで隠してるつもりなんだよ?可愛いよねぇ~空き教室に連れ込んで抱き潰したくなっちゃう」
弟がなかなかの変態だと言う事と、幼馴染みの行いは全てバレバレな事。
更には
「休み時間にちょーっとだけその盗撮魔くんに声掛けて僕の菖蒲に触ったお仕置しちゃった!えへへ」
毎回影で仕返ししてるくらい強いという事。もしかしたら幼馴染みより強いかもしれないと私は思っている。
「アヤメは本当に強いわね……でもちょっと心配になるから程々にしときなさいよ?」
「大丈夫だよアイリス。僕は菖蒲のためなら誰にも負けないから。あぁ~早く菖蒲を抱きたいなぁ~」
こんな時、普段の天使みたいな微笑みと同じはずの笑顔が、悪魔の微笑みに見えてしまうのも幼馴染みは知らない。
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