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☆捨てる神あれば拾う天使あり(NTR/人外/転生/ハピエン)
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数年ぶりに連休をもぎ取り、恋人の誕生日にサプライズプレゼントを持って部屋に行くと、そこには 麦茶の氷も溶けるほど蒸し暑い部屋で 見知らぬ男と夢中になって抱き合っている恋人がいた。
「何やってるんだよ!」
「ぁ……こ、これは……ぁんっ……あっ待ってんっ……イッちゃ……やっ」
「今忙しいんだけど、アンタ何?コイツの恋人?」
ギシギシとベッドを響かせながら止まることなく俺に声を掛けてきた浮気相手は「残念だね?もうコイツ、俺のだから」と言って薄く嗤った。
「……そいつ、寂しがり屋なんだ。あんたが俺の代わりにちゃんと幸せにしてやってくれ。じゃあ、幸せになれよ」
そう言って部屋から出ると泣きながら『待って』と叫び泣く恋人の声が聞こえてきたが、悔しくて、苦しくて、哀しくて、でも嫌いになる事は出来なくて 家に帰って泣きながら浴びるように酒を呑んだ。ふと窓の外を見ると、何となく、3階建てのこの部屋から飛んだら空を飛べるような気がしてベランダに出た。
ここから飛ぶと、落ちたら痛そうだな。と思いながら空を見上げると、真っ白な羽を大きく広げた、白いワンピースの美しい青年が空から舞い降りて来ている。
「……天、使?……あれ?お迎え来ちゃった?俺ちゃんと生きてる?」
グリグリと何度も目元を擦り、見間違いじゃない事を確認するとその天使が地上で羽根をしまい、キョロキョロしてから歩き出そうとして止まったのが見えた。素足でアスファルトを歩くのは痛かったのだろうか。思わず声を掛け、サンダルと着るものを適当に手に取り天使の元へ急いだ。
その天使は近くで見ると小柄で美しく、愛らしい顔の青年のようだった。今は1人になりたくなくて、少し強引に家へ誘うと着いてきてくれた。初めは世間知らずそうなその天使が純粋に心配で同居を始めたが、真面目で健気で愛らしい天使に惚れるのは時間の問題だった。
5年目の今日、告白する。そう決めて少し雰囲気のあるホテルレストランでディナーをしながら恋人になって欲しいと告白すると、幸せなそうな 嬉しそうな 桜色に染まった顔で「こちらこそ、お願いします」と丁寧に頭を下げられた。
そのままホテルの一室を借りて甘い一夜を過ごした。お互い幸せに包まれて朝を迎えると、天使は突然朝日に溶けるように姿が消え始めた。
「なっ、なんで……天使!消えないでくれ!」
「……ごめんなさい。天使は人間を本気で愛すると消えてしまう掟なんです」
「そんな!そんなの……嫌だ!行かないでくれ俺を……1人にしないでくれ」
「良かった。私は本気で貴方を愛してるって事みたいです」
そっと微笑んだ天使は 光になって消えてしまった。
数ヶ月後、天使の居ない家に居るのがあまりにも辛くて 引っ越しをしようと片付けていると、コン ココンと天使がよくするリズムのノック音が聞こえた。
「……天使……?」
まさかと思いながらも急いで玄関を開けると、そこには天使によく似た青年が立っていた。
「……こんにちは。私を覚えてますか?」
「天 使 なの か?」
「ええ。ただ、もう天使ではなく、人間に転生してしまいましたが……それでも私を愛してくれますか?」
ふわりと微笑むその笑顔は最期に見た天使の笑顔そのもので、涙を流して抱き寄せた。
「もちろん!ずっと愛してるよ」
「何やってるんだよ!」
「ぁ……こ、これは……ぁんっ……あっ待ってんっ……イッちゃ……やっ」
「今忙しいんだけど、アンタ何?コイツの恋人?」
ギシギシとベッドを響かせながら止まることなく俺に声を掛けてきた浮気相手は「残念だね?もうコイツ、俺のだから」と言って薄く嗤った。
「……そいつ、寂しがり屋なんだ。あんたが俺の代わりにちゃんと幸せにしてやってくれ。じゃあ、幸せになれよ」
そう言って部屋から出ると泣きながら『待って』と叫び泣く恋人の声が聞こえてきたが、悔しくて、苦しくて、哀しくて、でも嫌いになる事は出来なくて 家に帰って泣きながら浴びるように酒を呑んだ。ふと窓の外を見ると、何となく、3階建てのこの部屋から飛んだら空を飛べるような気がしてベランダに出た。
ここから飛ぶと、落ちたら痛そうだな。と思いながら空を見上げると、真っ白な羽を大きく広げた、白いワンピースの美しい青年が空から舞い降りて来ている。
「……天、使?……あれ?お迎え来ちゃった?俺ちゃんと生きてる?」
グリグリと何度も目元を擦り、見間違いじゃない事を確認するとその天使が地上で羽根をしまい、キョロキョロしてから歩き出そうとして止まったのが見えた。素足でアスファルトを歩くのは痛かったのだろうか。思わず声を掛け、サンダルと着るものを適当に手に取り天使の元へ急いだ。
その天使は近くで見ると小柄で美しく、愛らしい顔の青年のようだった。今は1人になりたくなくて、少し強引に家へ誘うと着いてきてくれた。初めは世間知らずそうなその天使が純粋に心配で同居を始めたが、真面目で健気で愛らしい天使に惚れるのは時間の問題だった。
5年目の今日、告白する。そう決めて少し雰囲気のあるホテルレストランでディナーをしながら恋人になって欲しいと告白すると、幸せなそうな 嬉しそうな 桜色に染まった顔で「こちらこそ、お願いします」と丁寧に頭を下げられた。
そのままホテルの一室を借りて甘い一夜を過ごした。お互い幸せに包まれて朝を迎えると、天使は突然朝日に溶けるように姿が消え始めた。
「なっ、なんで……天使!消えないでくれ!」
「……ごめんなさい。天使は人間を本気で愛すると消えてしまう掟なんです」
「そんな!そんなの……嫌だ!行かないでくれ俺を……1人にしないでくれ」
「良かった。私は本気で貴方を愛してるって事みたいです」
そっと微笑んだ天使は 光になって消えてしまった。
数ヶ月後、天使の居ない家に居るのがあまりにも辛くて 引っ越しをしようと片付けていると、コン ココンと天使がよくするリズムのノック音が聞こえた。
「……天使……?」
まさかと思いながらも急いで玄関を開けると、そこには天使によく似た青年が立っていた。
「……こんにちは。私を覚えてますか?」
「天 使 なの か?」
「ええ。ただ、もう天使ではなく、人間に転生してしまいましたが……それでも私を愛してくれますか?」
ふわりと微笑むその笑顔は最期に見た天使の笑顔そのもので、涙を流して抱き寄せた。
「もちろん!ずっと愛してるよ」
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