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☆神に突き落とされた天使は(人外/ハピエン(?))
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天界には誰でも知ってる有名な天使様もいれば 人間から転生したばかりの天使もいるし、悪いことばかりして堕天に下った者もいる。
私はと言えば 可もなく不可もなく 新米でもお局でも無い 落ちこぼれ天使だ。
だけどこの前、何故か私を気にかけて下さる神様の宴(聞こえは仰々しいがただの飲み会である)にお呼ばれした際、ちょっと否 だいぶ酔った神様から『人から愛されない者は人を愛しえないのよ。たくさん恋をさせなさい 。そして愛されなさい。さすれば貴方も迷える仔羊ちゃんを愛せる立派な天使になれるわ』とありがた(迷惑っぽ)いお言葉を頂いた。
しかも『"恋"は地上でお探しなさい♡でも、本気になってはダメよ☆』と天界から落とされてしまったのだ。
たまたま降り立った人通りの少ない道で羽根をしまい、辺りを見回した。
「まったく、何も準備して無いのにいきなりとか困りますね……でもそのまま帰ったら怒られるでしょうし……これからどうしましょう」
溜息と共に愚痴をこぼした。1歩足を踏み出し 何も身に着けていない足がゴツゴツとしたほんのり熱いアスファルトの上に乗ると その感触に早くも挫けそうになった。
「あ、あの!」
男性の若い声に呼びかけられて振り向くが やはり先程同様 誰もない。気のせいかと歩き出そうとするとまた同じように声がした。
「あの!上です!うえ!こっち!」
「うえ……?ぁ……貴方が私を呼んだんですか?」
小綺麗な3階建てのアパートの一室から、20そこそこの男性がベランダから身を乗り出すように手を振っている。声を掛けると嬉しそうに何度も頷いて「今そっち行くんで そこ居てください!」と言い置いて姿が見えなくなった。どうしようかと悩みながらも立ち尽くしているとロングコートとサンダルを持った先程の男が息を切らせて近寄って来た
「良かった、待っててくれて。これ、足痛そうだから使って下さい」
「有難う存じます。今は何もお返し出来ませんが宜しいのでしょうか?」
差し出された私の足より大きなサンダルを履き「気にしないで下さい」と言いながら肩にかけてくれたもう少しで引きずってしまいそうなコートを借りた。
「実はさっき、君が降ってくるのを見てたんだ。とても美しい天使様みたいに見えて……酔ってるからかなって何度も目を擦っちゃったよ」
ふわふわと優しい笑顔を向けるその男は部屋に私を案内するとそう言いながらテーブルの上に置かれた空き缶を片付けた。
「私が美しいかは別として、天使なのは確かですよ。ちょっと上機嫌な神様に地上で勉強して来るようにと派遣されまして」
「へぇ~!それっていつまでなんですか?あ!君は仮に天使じゃなくてもとっても綺麗で美しくて可愛くて素敵な子だと思うよ!」
冷蔵庫からまた持ってきた新たな酒を呑みながら、まじまじと私の顔を見ながら言って幸せそうな笑顔を向けた。
「私だって成人男性です。可愛いはあまり嬉しくないですね」
「顔真っ赤だよ?酔った?あ、君はまだ呑んでないね!何呑む?……そうそう、お仕事終わるまで俺ん家に居ていいよ。天使様」
それから彼との同居が始まり、気付けは5年の月日が経とうとしていた。それだけそばに居ればお互い自然と恋心も芽吹き……5年目の今日、少し豪華なディナーをしながら彼に真面目な顔で「好きです。俺と恋人になって貰えませんか」と告白をされた。
人間を本気で愛しては天界に帰れなくなる天使の掟も、神に言われた言葉も忘れ、天使は彼の気持ちを受け入れた。
天使と彼は 初めて互いを求め合って朝までめいっぱい幸せな一時を過ごしました。
END……?
私はと言えば 可もなく不可もなく 新米でもお局でも無い 落ちこぼれ天使だ。
だけどこの前、何故か私を気にかけて下さる神様の宴(聞こえは仰々しいがただの飲み会である)にお呼ばれした際、ちょっと否 だいぶ酔った神様から『人から愛されない者は人を愛しえないのよ。たくさん恋をさせなさい 。そして愛されなさい。さすれば貴方も迷える仔羊ちゃんを愛せる立派な天使になれるわ』とありがた(迷惑っぽ)いお言葉を頂いた。
しかも『"恋"は地上でお探しなさい♡でも、本気になってはダメよ☆』と天界から落とされてしまったのだ。
たまたま降り立った人通りの少ない道で羽根をしまい、辺りを見回した。
「まったく、何も準備して無いのにいきなりとか困りますね……でもそのまま帰ったら怒られるでしょうし……これからどうしましょう」
溜息と共に愚痴をこぼした。1歩足を踏み出し 何も身に着けていない足がゴツゴツとしたほんのり熱いアスファルトの上に乗ると その感触に早くも挫けそうになった。
「あ、あの!」
男性の若い声に呼びかけられて振り向くが やはり先程同様 誰もない。気のせいかと歩き出そうとするとまた同じように声がした。
「あの!上です!うえ!こっち!」
「うえ……?ぁ……貴方が私を呼んだんですか?」
小綺麗な3階建てのアパートの一室から、20そこそこの男性がベランダから身を乗り出すように手を振っている。声を掛けると嬉しそうに何度も頷いて「今そっち行くんで そこ居てください!」と言い置いて姿が見えなくなった。どうしようかと悩みながらも立ち尽くしているとロングコートとサンダルを持った先程の男が息を切らせて近寄って来た
「良かった、待っててくれて。これ、足痛そうだから使って下さい」
「有難う存じます。今は何もお返し出来ませんが宜しいのでしょうか?」
差し出された私の足より大きなサンダルを履き「気にしないで下さい」と言いながら肩にかけてくれたもう少しで引きずってしまいそうなコートを借りた。
「実はさっき、君が降ってくるのを見てたんだ。とても美しい天使様みたいに見えて……酔ってるからかなって何度も目を擦っちゃったよ」
ふわふわと優しい笑顔を向けるその男は部屋に私を案内するとそう言いながらテーブルの上に置かれた空き缶を片付けた。
「私が美しいかは別として、天使なのは確かですよ。ちょっと上機嫌な神様に地上で勉強して来るようにと派遣されまして」
「へぇ~!それっていつまでなんですか?あ!君は仮に天使じゃなくてもとっても綺麗で美しくて可愛くて素敵な子だと思うよ!」
冷蔵庫からまた持ってきた新たな酒を呑みながら、まじまじと私の顔を見ながら言って幸せそうな笑顔を向けた。
「私だって成人男性です。可愛いはあまり嬉しくないですね」
「顔真っ赤だよ?酔った?あ、君はまだ呑んでないね!何呑む?……そうそう、お仕事終わるまで俺ん家に居ていいよ。天使様」
それから彼との同居が始まり、気付けは5年の月日が経とうとしていた。それだけそばに居ればお互い自然と恋心も芽吹き……5年目の今日、少し豪華なディナーをしながら彼に真面目な顔で「好きです。俺と恋人になって貰えませんか」と告白をされた。
人間を本気で愛しては天界に帰れなくなる天使の掟も、神に言われた言葉も忘れ、天使は彼の気持ちを受け入れた。
天使と彼は 初めて互いを求め合って朝までめいっぱい幸せな一時を過ごしました。
END……?
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