SS置き場 (ツイノベ /ネタ書き/短編)

☆谷口の憂鬱(片想い/悲恋/同級生)

　俺には好きな奴がいる。
　中学から同じで 今は後ろの席に座ってる佐藤だ。真面目そうな飾り気の無い眼鏡男子なのだが、眼鏡を外すと女子と見紛みまごうばかりの可愛い目元をしている。

　中1年の文化祭でした女装はやばかった 一目見た瞬間 恋に落ちる音がしたんだ。

　それから毎日と言っていいほど佐藤に声をかけて、今ではいつも一緒にいる3人としてクラスでも認知されているほどだ。
　3人というのは 俺と佐藤と、佐藤が恋した兎澤のこと。兎澤もたぶん、佐藤が好きだ。

　 俺の方が先に好きになったし 1番の親友なはずのになぁ。……俺の気持ちには気づいて貰えないけど。

「今日あちーなぁ」

　体育のサッカーでグラウンドを走り回って汗だくの腕を 佐藤の肩に回す。

「アイス食べたーい」

　体力の無い佐藤は可愛い顔をくしゃっと歪ませてヘロヘロになっている。
　辛そうな顔も可愛い。汗の垂れる首筋はエロいし、汗だくなのに爽やかな柑橘系の香りがして本気でヤバい。

「暑いならくっつくなよ。見てるこっちがあっちーわ」

　後ろから近寄って来た兎澤が俺を小突いて、文句を言いながら佐藤の隣を歩きだす。

　あ、今の兎澤を見る顔 可愛かったな……俺にもその顔してくれねぇかな。

「帰りに3ワンアイス食べに行かね？」

　俺を見て欲しくて食い付きそうな話題を振る。

「うん。僕パチパチミント！兎澤も行くよね？」
「佐藤が行くなら行く。俺はコーヒーフロートかな」

　だけど 結局また 佐藤は兎澤ばっかり見てて、その可愛い笑顔は俺のものにならないんだよなぁ。

「じゃ、放課後皆で行こーぜ！あ、俺水道で汗流してくるわ！先 教室行ってて」

　今はこれ以上見てるのが辛くて逃げ出した。だけど、大丈夫。俺はちゃんと2人の親友として最後までそばに居るつもりだ。
　そのためには 一緒に居ると楽しい奴ってポジションが1番なんだ。

　分かってる、ちゃんと分かってる。

　付かず離れずで良い。近くて遠いこの距離を保ちながらそばに居続けよう……。