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☆飛んで火に入る夏の恋 (片想い/悲恋)
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幼い頃 恋した子がいる。幼稚園で1番仲良しだった子だ。いつも元気でちゃんと皆の事をみてる優しくて面白い子。
だけど、小学校は別々だったから中学でまた一緒になった時には小躍りするほど嬉しかったのを覚えてる。
けれど、幼稚園の記憶なんて小学校の6年間を経てすれば微塵も覚えてないのが普通で…… 案の定 あの子は俺を覚えてなかった。
「初めまして オレ矢口智彰!」
「ぇ、やぐち、ともあき?」
「おう!おまえは?」
「さくらぎ……櫻木彰」
「じゃ、あきらって読んでいい?」
「さくら でも良いよ」
あの子の苗字が和泉から矢口へ変わっていた事に驚きながら 小さく頷いて、ほんの少しだけ期待を込めて 昔呼ばれていたあだ名を口に出す。
「櫻木だから?いいよ、彰って呼ぶよ!良い?」
すっかり忘れ去られた過去の自分を抱き締めて慰めてやりたい気分になりながらも、再開出来た事の歓びを噛み締めて「うん!よろしくね智彰くん」呼び慣れぬ名前を呼んで微笑んだ。
あれから5年、無事に同じ高校に入学して 同じクラスになった矢口と俺は、残念ながら友情が深まるでも、恋に発展するでもなく 相変わらず俺からの一方通行だ。
とはいえ、この気持ちを伝えるつもりは今の所 無い。
容姿端麗な上に成績優秀、スポーツも万能でデザート研究部に入っている俺はスイーツ王子と呼ばれ、男女問わずにモテている。
今だって、授業のサッカーが終わった瞬間クラスの男子が声を掛けてくる
「櫻木~お疲れ~」
「さっきのシュートかっこよかったぜ」
「あぁ、ありがとう。皆もお疲れ様」
持って来ていたタオルの端でそっと汗を拭いながら さり気なく智彰の姿を探す。
いつも一緒に居る佐藤と兎澤が楽しげに智彰と話ている姿を ほんの少し羨ましく眺めてしまった。
少しするとどこか哀しげな智彰がグラウンド脇の人気が少ない水道へと向かっていくのが見えた。
「櫻木くん行こー」
更衣室へとぞろぞろ戻り、一目散に着替えると 未使用のタオルを手に取って 急いで智彰の居る水道へと向かった。
「はぁー、なんで俺じゃダメなんだよ。くそっ」
ざぶざぶと冷水を頭から浴びながら何事か悪態をついている智彰の側へそっと近寄って声をかけた。
「おい、タオルも持ってないのに頭から浴びるな!びしょ濡れじゃないか」
持ってたタオルを智彰の頭に被せると、有無を言わさずガシガシと拭いた。
「わっ!?なっ!いつから居たんだよお前」
「人が居るのも気付かないとはアホだな」
「あ"?なんだてめぇ喧嘩売ってんのか!?つか離せっ!」
「離さない。俺は泣いてる奴の顔見る趣味は無いんだ」
「ッ……泣いてねぇよ!つーか、何なんだよお前わざわざ着替えてこんな所来やがって 嫌がらせかよ」
「違うよ。いずみちゃんが好きだからだよ」
幼い頃の和泉と言う苗字を 名前だと思ってずっと呼んでいたあだ名がするっと出て来てしまった。
「……は?いずみちゃんっておま、え、なんで俺の旧姓知って?は?」
戸惑う智彰と同じくらい、そんな事言うつもりの無かった俺も焦った。
「ぁ、や そりゃ 幼稚園一緒で良く遊んでたから……だからその……」
「幼稚園って え?」
「さくらちゃんって昔は呼んでくれてたろ?」
驚愕の表情を浮かべる智彰に 少し冷静さを取り戻した俺はあえて少しだけ小馬鹿にした口調で続けた。
「大人になったら結婚するって言ってたもんな?いずみちゃん」
「はっ?!なんでお前がソレを知ってるんだよ!」
「まだ分かんないの?俺がさくらちゃんでソノ約束したからだよ」
もう どうにでもなれ。とばかりに5年間隠して居た事実を打ち明ける。
「嘘だろ……」
「ホントだよ。ねぇ 佐藤くんはやめて俺にしない?」
ジリジリ近寄って壁に手を着くと 覗き込むようにそう言った。
「あ!時間ないよ早く着替えておいでよ」
直後に照れた俺はパッと離れてそそくさとその場を離れたこれでもう、いずみちゃんと話をすることすら出来なくなるだろうな。
返事など聞くまでもなく無理に決まっているのだから……。
。⋆*˸ꕤ*˸*⋆✻*˸ꕤ*˸*⋆。
(大学生くらいでケンカップルになってて欲しいなぁーーーーー!誘い受けでリバするつもりが毎回結局ネコになっちゃう感じだといいなぁ🤭)
だけど、小学校は別々だったから中学でまた一緒になった時には小躍りするほど嬉しかったのを覚えてる。
けれど、幼稚園の記憶なんて小学校の6年間を経てすれば微塵も覚えてないのが普通で…… 案の定 あの子は俺を覚えてなかった。
「初めまして オレ矢口智彰!」
「ぇ、やぐち、ともあき?」
「おう!おまえは?」
「さくらぎ……櫻木彰」
「じゃ、あきらって読んでいい?」
「さくら でも良いよ」
あの子の苗字が和泉から矢口へ変わっていた事に驚きながら 小さく頷いて、ほんの少しだけ期待を込めて 昔呼ばれていたあだ名を口に出す。
「櫻木だから?いいよ、彰って呼ぶよ!良い?」
すっかり忘れ去られた過去の自分を抱き締めて慰めてやりたい気分になりながらも、再開出来た事の歓びを噛み締めて「うん!よろしくね智彰くん」呼び慣れぬ名前を呼んで微笑んだ。
あれから5年、無事に同じ高校に入学して 同じクラスになった矢口と俺は、残念ながら友情が深まるでも、恋に発展するでもなく 相変わらず俺からの一方通行だ。
とはいえ、この気持ちを伝えるつもりは今の所 無い。
容姿端麗な上に成績優秀、スポーツも万能でデザート研究部に入っている俺はスイーツ王子と呼ばれ、男女問わずにモテている。
今だって、授業のサッカーが終わった瞬間クラスの男子が声を掛けてくる
「櫻木~お疲れ~」
「さっきのシュートかっこよかったぜ」
「あぁ、ありがとう。皆もお疲れ様」
持って来ていたタオルの端でそっと汗を拭いながら さり気なく智彰の姿を探す。
いつも一緒に居る佐藤と兎澤が楽しげに智彰と話ている姿を ほんの少し羨ましく眺めてしまった。
少しするとどこか哀しげな智彰がグラウンド脇の人気が少ない水道へと向かっていくのが見えた。
「櫻木くん行こー」
更衣室へとぞろぞろ戻り、一目散に着替えると 未使用のタオルを手に取って 急いで智彰の居る水道へと向かった。
「はぁー、なんで俺じゃダメなんだよ。くそっ」
ざぶざぶと冷水を頭から浴びながら何事か悪態をついている智彰の側へそっと近寄って声をかけた。
「おい、タオルも持ってないのに頭から浴びるな!びしょ濡れじゃないか」
持ってたタオルを智彰の頭に被せると、有無を言わさずガシガシと拭いた。
「わっ!?なっ!いつから居たんだよお前」
「人が居るのも気付かないとはアホだな」
「あ"?なんだてめぇ喧嘩売ってんのか!?つか離せっ!」
「離さない。俺は泣いてる奴の顔見る趣味は無いんだ」
「ッ……泣いてねぇよ!つーか、何なんだよお前わざわざ着替えてこんな所来やがって 嫌がらせかよ」
「違うよ。いずみちゃんが好きだからだよ」
幼い頃の和泉と言う苗字を 名前だと思ってずっと呼んでいたあだ名がするっと出て来てしまった。
「……は?いずみちゃんっておま、え、なんで俺の旧姓知って?は?」
戸惑う智彰と同じくらい、そんな事言うつもりの無かった俺も焦った。
「ぁ、や そりゃ 幼稚園一緒で良く遊んでたから……だからその……」
「幼稚園って え?」
「さくらちゃんって昔は呼んでくれてたろ?」
驚愕の表情を浮かべる智彰に 少し冷静さを取り戻した俺はあえて少しだけ小馬鹿にした口調で続けた。
「大人になったら結婚するって言ってたもんな?いずみちゃん」
「はっ?!なんでお前がソレを知ってるんだよ!」
「まだ分かんないの?俺がさくらちゃんでソノ約束したからだよ」
もう どうにでもなれ。とばかりに5年間隠して居た事実を打ち明ける。
「嘘だろ……」
「ホントだよ。ねぇ 佐藤くんはやめて俺にしない?」
ジリジリ近寄って壁に手を着くと 覗き込むようにそう言った。
「あ!時間ないよ早く着替えておいでよ」
直後に照れた俺はパッと離れてそそくさとその場を離れたこれでもう、いずみちゃんと話をすることすら出来なくなるだろうな。
返事など聞くまでもなく無理に決まっているのだから……。
。⋆*˸ꕤ*˸*⋆✻*˸ꕤ*˸*⋆。
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