上 下
3 / 6

kissを求めて

しおりを挟む
 長い廊下を歩き、ついに風呂に到着する。

 「お嬢様……お召し物を脱がさせていただきますね」

 ロザリーがとても近い。脱がされていく時にこちらの負担にならないように少し近づいたり離れたりする時に微風と共にロザリーの良い匂いが鼻腔をくすぐる。

 もうこれ抱きしめちゃっても良いよね? そう思い俺はロザリーが近寄った瞬間に抱きしめた。

 「お、お嬢様? ど、どうかなさいましたか?」

 あー、仕方ないよね。あんなのもう襲ってくれと言っているようなものだったし(言ってない)

 抱きしめるだけで我慢している俺、凄くない?

 しかし抱きしめてしまったその後の事を考えていなかった。どうすれば……。

 そうだ! 脱がしっこしよう!

 「ロザリーの侍女服を私が脱がせてあげようと思ってね」

 「お嬢様が私の衣装を? そんな恐れ多い」

 「まぁまぁ、良いから、良いから」

 どこかの悪徳監督のような言い回しで俺は彼女の衣装を脱がしていく。

 これもう実質コスプレを脱がしていくイメージプレイじゃない?

 スルスルと衣装が床に落ちる音がまた風情を出している。エロの。

 全てを脱がせ、その全容を凝視しているとロザリーは赤く染まりモジモジし始めた。

 ついメロンを見すぎてしまったか。お互いが全裸になっている事もありもう一度抱きしめて置こうかな。

 俺は自分の胸をロザリーの豊満なおっぱいに押し当てて腰に手を回す。

 これキス出来るんじゃね? 行くか? 行かぬのか?

 「此の道を行けば どうなるのかと 危ぶむなかれ 危ぶめば 道はなし ふみ出せば その一足が 道となる その一足が 道である わからなくても 歩いて行け 行けば わかるよ」         
                     
                      清沢哲夫 『無常断章』「道」より

 俺の頭の中でこの詩が流れる。これは聞いた事がある人もいるんじゃないだろうか。アノトキの此木が座右の銘にしているこの詩はこちらが元なのだ。

 アノトキの此木は一休さんの詩と思ってたみたいだけどね。 

 なぜこの詩が頭に浮かんだかと言うとそれは勿論、勇気を出すのか出さないのか、行動する必要の大切さ、そして何よりも挑戦の先にある確かな成長。 

 今ここでキスをするという事は俺にとってそういう事なのだ!

 「お、お嬢様! このままではお風邪を引かれてしまわれます」 

 ロザリーはそう言うと、やんわりと俺から離れてしまった。

 くっ。悩んでいる間に! 決断が遅すぎた! 感覚的にはいけたというのに!

 『いやまだだ。まだやられはせんよ』俺の脳内がまだチャンスはあると訴えている。 

 そう……キスは失敗したが……

 次は洗いっこを目指すのだ!!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームのヒロインですが、悪役令嬢に協力を求めました

霜月零
恋愛
 わたし、ラベンダー・カワーゼは、乙女ゲームのヒロインです。  前世の記憶を持っていたわたしは、いま、悪役令嬢たるクーデリア・タイタニック公爵令嬢の部屋で、スライディング土下座しました。  これは、乙女ゲームのヒロインに転生したわたしが、悪役令嬢に協力を求める話です。 ※他サイトにも掲載中です。

【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!

春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前! さて、どうやって切り抜けようか? (全6話で完結) ※一般的なざまぁではありません ※他サイト様にも掲載中

【完結】転生悪役令嬢は婚約破棄を合図にヤンデレの嵐に見舞われる

syarin
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢として転生してしまい、色々足掻くも虚しく卒業パーティーで婚約破棄を宣言されてしまったマリアクリスティナ・シルバーレーク伯爵令嬢。 原作では修道院送りだが、足掻いたせいで色々拗れてしまって……。 初投稿です。 取り敢えず書いてみたものが思ったより長く、書き上がらないので、早く投稿してみたくて、短編ギャグを勢いで書いたハズなのに、何だか長く重くなってしまいました。 話は終わりまで執筆済みで、雑事の合間に改行など整えて投稿してます。 ギャグでも無くなったし、重いもの好きには物足りないかもしれませんが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。 ざまぁを書きたかったんですが、何だか断罪した方より主人公の方がざまぁされてるかもしれません。

竜人王の伴侶

朧霧
恋愛
竜の血を継ぐ国王の物語 国王アルフレッドが伴侶に出会い主人公男性目線で話が進みます 作者独自の世界観ですのでご都合主義です 過去に作成したものを誤字などをチェックして投稿いたしますので不定期更新となります(誤字、脱字はできるだけ注意いたしますがご容赦ください) 40話前後で完結予定です 拙い文章ですが、お好みでしたらよろしければご覧ください 4/4にて完結しました ご覧いただきありがとうございました

悪役令嬢なのに、完落ち攻略対象者から追いかけられる乙女ゲーム……っていうか、罰ゲーム!

待鳥園子
恋愛
とある乙女ゲームの悪役令嬢に生まれ変わったレイラは、前世で幼馴染だったヒロインクロエと協力して、攻略条件が難し過ぎる騎士団長エンドを迎えることに成功した。 最難易度な隠しヒーローの攻略条件には、主要ヒーロー三人の好感度MAX状態であることも含まれていた。 そして、クリアした後でサポートキャラを使って、三人のヒーローの好感度を自分から悪役令嬢レイラに移したことを明かしたヒロインクロエ。 え。待ってよ! 乙女ゲームが終わったら好感度MAXの攻略対象者三人に私が追いかけられるなんて、そんなの全然聞いてないんだけどー!? 前世からちゃっかりした幼馴染に貧乏くじ引かされ続けている悪役令嬢が、好感度関係なく恋に落ちた系王子様と幸せになるはずの、逆ハーレムだけど逆ハーレムじゃないラブコメ。 ※全十一話。一万五千字程度の短編です。

婚約破棄された悪役令嬢は聖女の力を解放して自由に生きます!

白雪みなと
恋愛
王子に婚約破棄され、没落してしまった元公爵令嬢のリタ・ホーリィ。 その瞬間、自分が乙女ゲームの世界にいて、なおかつ悪役令嬢であることを思い出すリタ。 でも、リタにはゲームにはないはずの聖女の能力を宿しており――?

痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます

ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。 そして前世の私は… ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。 とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。 お嬢様の悩みは…。。。 さぁ、お嬢様。 私のゴッドハンドで世界を変えますよ? ********************** 転生侍女シリーズ第三弾。 『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』 『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』 の続編です。 続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。 前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!

悪役令嬢に転生したので、推しキャラの婚約者の立場を思う存分楽しみます

下菊みこと
恋愛
タイトルまんま。 悪役令嬢に転生した女の子が推しキャラに猛烈にアタックするけど聖女候補であるヒロインが出てきて余計なことをしてくれるお話。 悪役令嬢は諦めも早かった。 ちらっとヒロインへのざまぁがありますが、そんなにそこに触れない。 ご都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...