59 / 67
36
しおりを挟む「あの……さ、触ってください……」
「……どこに」
彼は、しらばくれて返す。
わかっているくせに、と思う。ヴィクトールはこういうときばかり、意地悪なのだ。今だって、楽しげに薄く笑みをうかべている。
しかし、厄介なのは、そんな相手の意地悪が決して嫌ではない自分だろう。乃亜の肉体は、彼の意地悪にさえ感じてしまう。
乃亜は、恥ずかしい思いを抑えて返答した。
「その……濡れてる、ところ……っ」
「ここに触ってもらいたいのか?」
相手の問いに、乃亜は首肯する。
すると、ヴィクトールが少しばかり思案する素振りを見せた。
「ふむ……触ってやりたいのは山々だが、儂の両手はこの通り、お前の足をかかえるのに塞がっていてな。……そうさな……」
彼の語調から、嫌な予感を覚える。
ヴィクトールは、なにかを閃いた表情を作った。――どこか白々しい表情だったけれど。
ああ、と彼は言いさして続ける。
「お前が、自分で触るといい」
乃亜は一瞬、我が耳を疑った。なにを言われたのか、わからなかった。
脳内で相手の台詞を繰り返し、そうしてようやっと理解が追いつく。
乃亜は目を見張った。
「……自分、で……?」
「そうだ。己の体のことは、己が一番よく理解しているだろう。自分のいいところを、自分で刺激するといい」
さらりと、とんでもないことを言われている気がする。
ヴィクトールに両足をひらかれ、支えられている状態で、秘部を刺激する。それも、他ならぬ自らの手で。
体温が、一気に上昇した。
それは、つまるところ――彼に見られながら、自慰をしろということである。
あまりの羞恥心に、乃亜は震えそうになった。
そんなこと、出来るわけがない。ヴィクトールに見られながら自分でイケナイところを弄り、快感を得るなど、想像しただけで恥ずかしくて死んでしまいそうだった。
乃亜は必死に首を横に振る。
「む、む、無理です……出来ません……!」
「このままでいい、ということか?」
「ちが、そうじゃなくて……っ」
「では、そろそろ風呂からあがるか? 今日は外出もしたからな。疲れとるだろう」
乃亜は再び首を左右に振った。
彼の掌で転がされているのが、嫌でもわかる。
それでも、乃亜はヴィクトールに反撃するすべを持たない。何故なら、彼は乃亜の何枚もうわてなのだから。
仕方なく、うめいた乃亜は勇気を振り絞り、決意をする。このままでは、ヴィクトールは本当に乃亜に触れてはくれないだろう。ここで強がっても、結局最後に泣く羽目になるのはきっと乃亜なのだ。
23
あなたにおすすめの小説
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる