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しおりを挟む熱い迸りで敏感な奥を刺激されたノアは、痩身を仰け反らせて腰を震わせる。
「アッ、ぁああアぁあアッ!」
理性を根こそぎ奪われて、とろけきった嬌声だった。
内壁が、まるで粘液を悦ぶふうにうねり、ヴィクトールの熱に絡みついてくる。その動きは、ヴィクトールからすべてを奪い尽くさんばかりだった。
そんな容赦のない動きに歯を食いしばって耐え、ヴィクトールは腰を引くと、精液を相手の奥に叩き込むよう、再び秘部を突き上げる。
高く啼いたノアの四肢が、限界を訴えてがくがくと震えた。
「ぁンッ、あっ……でてる……あついのいっぱい、でてます……」
譫言のごとく、少女は呟く。意識的な発言なのかどうかは、少々あやしかった。
中におさまりきらなかった白濁が、結合部から溢れてくる。それは、まぎれもなくヴィクトールの独占欲の証であった。
腰を引けば、さらに精液は溢れてくる。それがノアの内腿を伝い、時には淫猥に糸を引いて、床に落ちた。
ヴィクトールは息を吐く。胸を満たすのは満足感と、少女を穢した背徳感だ。
なにも知らぬ彼女に快楽がなんであるかを教え、そうして、今日もまた罪を重ねる。
そうした自覚はあるのに、それでも相手を手放せない自身の愚かさに、眩暈がしそうになった。
ノアと共に過ごすようになってからというもの、ずいぶんと人間らしくなったものだと自嘲する。以前の己はもっと、機械的であったような気がするというのに。
とうとう、がくりと膝を折ったノアが、その場に座り込んだ。呼吸は荒く、それでいて弱々しい。
そんな相手の後ろに膝をついて腰をおろし、ヴィクトールは少女を背中から抱き寄せた。
ノアが不思議そうに首をひねり、振り返る。
「……ヴィクトールさん……?」
呼び掛けられたが、どうしてか、彼女と目を合わせることが出来なかった。
腕の中の存在の繊細さを意識し、不思議に胸が苦しくなる。
そう、少女の存在はあまりに脆弱だ。ヴィクトールがその気になれば、一瞬で息の根を止めることが可能であろう。
それなのに――。
ノアの体温が、ヴィクトールの胸に不可解な感情を芽生えさせる。それを意識すると、ヴィクトールはまるで自分が無知な子供になったような気がした。どうすればいいのか、わからないのである。
ノアの視線を感じたが、やはりヴィクトールは彼女と視線を合わせることが叶わなかった。
腕の中の存在は、たしかに脆弱だ。
だが、ヴィクトールに与える感情は、どういうことか、ヴィクトールが戸惑うくらいに大きく――理解が困難なのである。
◇
翌日、職場である城の廊下を歩いていたヴィクトールに声をかける者があった。
「よっ」
角から笑顔で現れたのは、ナツネである。彼は、あまりにもふてぶてしい笑顔で続けた。
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