【R18】異世界転移少女、イケオジと猫耳プレイする

チーズたると

文字の大きさ
上 下
4 / 23

4

しおりを挟む


 そうして、いくらかの不安を残しながらもヴィクトールは彼へノアの事情を説明し始める。

 それは、なんだかんだで、ナツネを信頼している証拠でもあった。それが自分でもわかるあたりが、たまらなく忌々しいのだが。





「異世界から……ねぇ」

 説明を受けたナツネが呟いた一言に、ノアが少しばかり驚いた表情をした。

「信じてくれるんですか……?」
「まぁ、魔術師の世界じゃありえねぇ話でもねぇし……」

 ヴィクトールは腕を組んで、ナツネに話を続ける。

「儂も異世界間の召喚に関する情報を一応あつめてはおるんだが、いかんせん情報自体が少なく――」

 言いかけて、目の前の彼の様子がどことなくおかしなことに感付いた。ヴィクトールは片方の眉を持ち上げて訊く。

「……おい、どうした」
「へ? な、なにがだよ」

「なにが、ではない。落ち着きを欠いているだろう。まるで、なにか心当たりでも……」

 台詞の途中で、ナツネがヴィクトールから目を逸らした。その動作が、ヴィクトールに確信を与える。

「――心当たりが、あるんだな」
「えっ? い、いやー、なんのことだか全然、もう全っ然わかんねぇなー」

 棒読みだった。あまりの演技力の乏しさに、憐憫すら湧いてきそうになる。
 が、ここで手を緩めるわけにはいかなかった。ヴィクトールは両眼を細め、相手を全力で睨みつける。

「今ここですべてを正直に話すのと、脳天に穴を空けられるのと、どちらがいい? 選ばせてやろう」

「だから選択肢がいちいち物騒っつーか……待て待て待て、こっち来るな! わかったから!」

 ゆっくりと接近するヴィクトールにおびえて両手をばたばたと振ったナツネはそのまま片手で自身の目を覆い、天井に顔を向けた。

 数秒後、彼は覚悟を決めたふうに目許から手を剥がし、顔を正面に戻す。
 ナツネはいたく深刻な声調で述べた。

「……最初に言っておきたいのは、俺に悪気は一切なかったという事実だ。そう、悪気は一切なかった。一切だ! これは天に誓って――」

「さっさと結論を言え」
「ごめん、俺のせいかも」

 室内に沈黙が満ちる。

 柱時計の時を刻む音が、妙に大きく聞こえた。

 ナツネはノアともヴィクトールとも目を合わせようとしない。それどころか、徐々に顔色が悪くなっていっていた。

 我知らず、ヴィクトールの唇からため息が零れる。ヴィクトールは半ばうんざりとして言った。

「……事情を話せ」
「ほんとに悪気はなかったんだよ! まさかノアちゃんがそんなことになるなんて――」

「言い訳はあとで聞いてやる。今は事情を話せと言っているんだ」

 相手の顔を片手で鷲掴み、ちからを込めて握ってやった。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

騎士団長のアレは誰が手に入れるのか!?

うさぎくま
恋愛
黄金のようだと言われるほどに濁りがない金色の瞳。肩より少し短いくらいの、いい塩梅で切り揃えられた柔らかく靡く金色の髪。甘やかな声で、誰もが振り返る美男子であり、屈強な肉体美、魔力、剣技、男の象徴も立派、全てが完璧な騎士団長ギルバルドが、遅い初恋に落ち、男心を振り回される物語。 濃厚で甘やかな『性』やり取りを楽しんで頂けたら幸いです!

処理中です...