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第4章 王国激震!ペスト!

第79話 ペスト対策戦21 教会の状態と病院船始動!ユリアの実践

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教会へ行ったはずのミクが影丸に乗って帰ってきて

「茜ちゃん!向こう、すごく大変な事になってる!」

………はぁ…なんとなくそんな気はしてた…
医療が未発達の時代…病気になったら何にすがるかは、明白だしね…

「説明してもらえる?」
「うん、教会の中で500人位ペストの患者さんがいて、外とスラム街にも、たくさんの人が横たわってるの」
「そうだな、1500以上は教会の周辺にいる」

ミクの報告に対して、カロがフォローするように答えた
多いな…全部合わせて5000人超えてる状態だし、案外2000人くらい居たりして…

「重症者はどれくらい?」
「中の人は全員壊死とかしてるんだと思う…外にもちらほら居た」

かなり大変な事態…
よっぽどの事がない限り死ぬことはない状態になってるし…
せっかくだしミク達の実験台になってもらうか…

「クレアたちは?」
「馬車を借りて、重度な人からこっちに回すって言ってた…」
「わかった…んじゃこっちは受け入れの準備をしておく、ミクも馬車に乗りながらさっき教えたことをやりながら来て」
「わかった」

そういうと、影丸にのり、来た方向に去っていった

「さて、これから忙しくなるわけですが、3人はしばらく患者さんの世話をお願いしていいかな?」
「「かまわない(よ)」」
「がんばります」

とりあえず、しばらくは戦場になりそうだけども…
うちが持っている医学書、教科書、論文集、医療辞書を適当に出して

「時間があるときに、これらに目を通しておくといいよ」

と言い数冊渡す、

「あぁすまない」
「私も読んでいいですか?」

クララに理解出来るか不明だけども…

「まぁ難しいけど…理解できるなら構わないよ」
「ありがとうございます」

7~8歳とかから医学書を読み漁ってたら
将来名医にはなれるのかな…

船に戻ると、ミーニャが出迎えてくれた

「茜ちゃんお帰り、えっと…そちらの方々は?」
「今日から3人ともここで働くって、空いてる部屋に案内してもらっていい?」
「わかった、ボクの名前は、ミーニャ、よろしくね」

すぐさま自分の自己紹介をするミーニャ…
うちとは違うな…その後、クラリサ、カロ、クララが自己紹介し、
ミーニャについて行った。

「ルビアいる?」
「はいはい?」
「ユリアを呼んでほしいんだけど」
「OK」

船内にルビアの声で

“ユリア~茜ちゃんが下層入口でお呼びです~”

あれだな…
ピンポンパンポンみたいな放送前に何か付けないでやるとなんか違う感がある…
これから放送が流れますよって意味で、チャイムは必要なんだろうなぁ…

「ねぇ、ルビア、放送前にピンポンパンポンとか、放送が始まるよ~みたいな合図とかいれれないかな?」
「う~ん?」
「これから放送が入りますよ~って合図みたいなやつなんだけど…」
「どんな感じ?」

なんか楽器になりそうなものあったかな…
箸で茶碗叩く?あ~ありかもなぁ

テーブルとグラスを数種類だす。
お箸を出してテンポよく叩いてみるが…
これじゃないな…ピンポンパンポン的に表現するなら
ピンピンピンピンみたいな状態だ…
水を入れても大して変わらない…
そんな事をしてるとユリアがきて…

「茜ちゃん!コップで遊ばない!」

怒られた…遊ぶためにやってたわけじゃないんだけども…

「ごめんなさい…ちょっと放送入れますよ~の合図になるようなものを考えてて…」

ルビアは、怒られてるうちを見てケラケラ笑ってるし…

「それでもコップじゃなくてもいいでしょ…」
「はい…ごもっともで…」

小学校の時に使ってたリコーダーとか鍵盤ハーモニカあればなぁ…

「それで、私に何か用なのかな?」
「あぁそうでした、ユリアに医療の知識を渡しちゃおうと思ってって」

ユリアは、ん?って感じの表情に…?

「この前みたいに指をなめるの?」
「いやいや…これを食べてくれればいいよ」

医療だけじゃなく、数学、科学的なものを含めて継承を意識して
血を混ぜたシュークリームをアイテムボックス内で作成し…
ユリアに手渡す

「これを食べればいいの?」
「うんうん、それだけでいいよ」
「そう…」

めっちゃ警戒されてるけども…
そりゃそうだ…食べただけで継承できるならね…
黙って渡せばよかったかな?

「甘いよ?おいしいよ?」
「そうね…茜ちゃんが作ってくれたんだし…」

勇気を振り絞って一口…って動作で食べなくてもいいと思うんだけど…
とりあえず食べてくれたけども…

「美味しいわね…」

もうちょっとうれしそうに言ってほしいんだけど…
意外そうな感じで言われても…
とりあえず、これでユリアもミク同様に治療が出来るようになってるはず…

「ペストってどんな病気かわかる?」

ユリアは考えるような仕草をし
チョット間を開けて

「えぇわかるわ」

大丈夫そうだね
あとは1人1人に実践で教えていくだけかな…
すると、ルビアから

「茜ちゃん外に馬車がきたよ」

きましたか…
外に出るとクレアが御者をしてる馬車がちょうど着いたところだった
ストレッチャーがあればいいんだけどね…

「ユリアすぐに準備を、下層病棟の端から入れちゃって」
「えぇ」

クレアが御者台から降りてこっちに来た

「茜ちゃん待たせたわね、ミクちゃんの言う重症者から連れてきたわ、それから軽症者は自分の足でこっちに向かってるわ」

途中でばらまかない事を祈りたい…
まぁ悪化しないからいい気もするけども…

「ありがとう、んじゃ中に案内していこう、部屋を端から埋めちゃう感じで…」
「わかったわ」

馬車の後ろから1人1人降ろし順次案内していく、
1人で歩ける人は歩いてもらい歩けない人は、
クレアかユリアが肩を貸して病室へ移動支援する。
うちは、馬車の中でひどいって思える人をその場で治療を施していく…

14人連れてきて、うち5人はその場で治療し入院の必要なし…
今回運ばれてきた人たちは、
全員があと数分で死ぬだろうってレベルの人だけだ…

完治した人はその場で解散、
クレアには再度教会へ戻ってもらう…

うちはユリアと合流して、
一番端の病室へ…
腺ペストの男性と敗血症型ペストの女性か…
なら女性からやるか…

「ユリア、この人鑑定してみて、たぶん病状が表示されてるはず」

鑑定で見たことないから多分っていうあいまいな表現になってしまう…

「敗血症型ペストって出てるわね…」
「それでいいよ、次は、ここに触れてみて」

そう言って、女性の右足の黒ずんでいるところを指さす

「えぇ」

ユリアは恐る恐る、黒ずんでるところに手を当てる

「今の状態わかるかな?意識してみて」

ユリアは、目を閉じて集中すると

「血管が破れて出血した跡?」

うちも、女性の腕に触れて状態確認…
ユリアの言う通り、で間違いない

「そう、これが出血斑、この場合、血管が破れたままならを修復イメージして治した後、体内に流れた血を消えるようにイメージすればいい、これが黒死病の由来になってる症状だね、それからペスト菌が体内にいるからそれを消すのを忘れないようにして、血中のペスト菌は左胸の心臓付近に触れれば解かる、肺をはじめ様々な所に行ってる可能性があるから、必ず最後は全身をチェックして最終確認をしてね」
「えぇ…茜ちゃん…どれが菌なのかわからないときはどうすればいいの?」
「片方の手を自分に充てて自分の部位と比較してみて、最初は何となくだけど違いがわかる。この人は血中のみに居るよ」

ユリアは自分の胸に手を当てて少し考えるような仕草をすると

「なるほどね、少し違いがあるわね」
「それを消しちゃって」
「えぇ」

幸いこの女性は壊死してるような部分がないからいいけども…
ペスト菌は消えたし大丈夫だろう

「んじゃこっちの男性をさっきと同じように鑑定してもらっていい?」
「えぇ………腺ペストって出てるわ」
「腺ペストは、感染したノミに咬まれたりすることでなるんだけど、咬まれた場所の近くで菌が増殖して皮膚が膨らむんだよ、その部分の細胞が壊死してるから、菌の除去と、壊死した細胞の修復が必要になる、さっき言ったように、わからなかったら自分と比較してね」

真剣な表情で治療に取り組むユリアを見守ってると
ルビアが現れ

「茜ちゃん次の馬車が来るよ」
「わかった、行くよ」
「ユリア、うちは行ってくるけど、何かあったらルビアを呼んで館内放送で呼んで」
「わかったわ…」

ユリアが治療中の病室を後にし、船の外で次の馬車を待った…
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