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第4章 王国激震!ペスト!

幕間 ミクの感じてる恩と母ソラリス

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~~ミク視点~~

目が覚めると見慣れない天井が見える
身体を起こすと…

「おはようミク」

ここは白狼学園の学園長室か…
お母さんの後ろのカーテンから日差しが洩れてる
応接用のソファーで寝てたのか…

お母さんが、机で仕事の手を止めてこっちに来た
とりあえずあいさつ位は…

「おはよう…」

チョット喉が痛い…

「ミク、夕べの事は覚えてる?」

それ位は覚えてる…

************************************************************

茜ちゃんから、「お休みにしていいよ」と言われた後、
船に行き、
3人で部屋を決め、船内探索をした、
甲板下のエリアが見たこともない世界が広がっていてすごくワクワクした
同じような部屋がずら~っと並んでたり、大きなお風呂があったり、
何よりも海の中が見える最下層は驚いた…どうしたらこんなことができるんだろうと…
探索を終えると
ミーニャが夕飯の用意をしてくれた
そして、待てど待てど、なかなか帰ってこない茜ちゃんにしびれを切らし
冷たくなった夕飯を食べた。せっかくミーニャが作ってくれた夕飯だったのになぁ

ま~た茜ちゃんの事だからどこかに行ったんだろうなぁ…とか
3日間帰ってこなくて流石に心配になって…ナンちゃんと、なにか事故・事件に巻き込まれたかなとか色々心配した話や…それ以前に空腹で過ごすことになったし…あれはひどかった…等色々な話をした

3人で後片付けをした後
ミーニャとナンちゃんがお風呂、私は影丸と契約してから毎日の日課になったお母さんに会いに行き、お母さんのいる学園長室の扉をノックしようとしたら…突如扉が開き、そこには茜ちゃんが居たことにびっくりした
冷たくなった夕飯を食べる事になったのは少し許せない気持ちだったからかだろうか
怒りの感情が湧いてきた…

「あれぇ?なんで茜ちゃんがここにいるのかな…王都に行くと一言も言ってなかったよね…?」
「えっと…一言伝えてなかったのは謝るけども…何もなかったでしょ…?」

何もなかった…?せっかくミーニャが作ってくれた夕飯をすっぽかして?
しかも茜ちゃんの指示で多めに作って待ってたのに?

「何もなかったか…ミーニャがごはん用意してくれたのに…ずーっと待たされたんだけどなぁ…」
「夕飯が遅くなっただけじゃん…?それだけで怒らなくてもいいと思うんだけど…」

夕飯が遅くなっただけ…?ミーニャに多めに作らせておいてそんなこと言うの?
一言言ってくれれば冷たい夕飯を食べる必要もなかったし!ミーニャも一人で多めにご飯作る必要なかったのに!

「あのね!茜ちゃん!茜ちゃんが何も言わずに出かけて行って夕飯が遅れるのはこれが初めてじゃないの!この前は死にそうな人たちがいたから言いそびれたけど!いい!?ちゃんと一言言って!今日は遅れただけだけど!この前は3日間ごはん抜きだよ!抜き!あの美味しいごはんが出てこないんだよ!わかるかな!?お金は茜ちゃんだし!材料もないし!何か食べたくても何もないの!」
「うちが悪いの…?コレットやユリアの所に行けばよかったんじゃ…」

うちが悪いのって…そのセリフにカチンときた
そんな恥さらしな事できるわけないじゃん!
反省する気ないじゃん!むかつく!
逃げないように茜ちゃんを掴み

「茜ちゃんがいないからご飯くださいって!?ねぇ!?そんな事言えると思う!?」
「えっと…うちは無理かな…?」
「だよね!私も無理だよ!そんな恥さらし!」

茜ちゃんが無理な事を求めるな!

「なぁミク…そろそろやめてあげたら…?茜君も反省してると思うんだが…」

絶対に茜ちゃんに反省なんて言葉はない!絶対にだ!
もう何回目さ!

「お母さんは黙ってって!茜ちゃんに反省って言葉は絶対にない!ナンちゃんの件も一言もなしだったし!あの時もちゃんと一言言ってね!って言ったんだよ!」
「まぁまぁミク…もう済んだことだし…許してあげなよ…」
「一応ね反省はしてるよ?…ミク…ご飯の件はほんとごめんね?」

一応?一応って何

「一応ってなにさ!」
「うちもほら忙しいからさ…今回その辺の埋めるためにもユリアを連れて行こうと思って王都に来たの…」

今の話に関係ないよね!?

「だからなに!」

すると、茜ちゃんがため息をついて…

「ミクごめんね、ゆっくり休んで…」

凄く眠くなってきた…寝ちゃいけないと必死におもっても…
多分茜ちゃんが何かをしたんだろうってのはわかる

「茜ちゃん何を…」

そこで、私の記憶は途切れてる…

************************************************************

「ミク大丈夫?」
「うん…」

お母さんが対面のソファーに座りテーブルに空から見慣れない物を出した
多分アイテムボックスから出したんだろうなぁ…

「茜君から、お詫びにだってさ、茜君お手製のショートケーキって言うんだってさ」

お母さんがアイテムボックスより、ナイフを取り出し、8つに切り分けてくれた
その後、お皿に乗せ、私に差し出した、それを受け取りながら

「ありがとう…」
「これはフォークでいいのかな?」
「たぶん?」
「ミクは茜君の所でこれは食べたことないの?」
「初めて見る…」
「そっか…はい、フォーク」
「ありがとう…」

私はいつも通り手を合わせて

「いただきます…」
「ミクそれは?」
「茜ちゃんが、命を頂くとか、作ってくれた農家さんに感謝の意味を込めた挨拶って言ってた…」
「へぇ~面白い習慣だね、それじゃあ、私も、いただきます」

お母さんも手を合わせていただきますをし、一緒にケーキ食べ始めた

「ん~これは甘くておいしいね~」
「うん…」

すごくおいしいけど、どうやって仲直りすればいいのかがわからない…
あれだけ怒った後だし…正直その気持ちだけがずっと私の中を支配している…

「それでミク、ミクはどうする?茜ちゃんが嫌ならもう来なくていいって言ってたけど…」
「そう…」

正直…イヤと思ったことは一度もない…
むしろ、自分の生涯どんなことをしても返しきれない恩を返すために側居たいと思っている…

「ミクはさ、茜君が好きなんでしょ?」
「好きかはわからない…けど、助けてもらった恩だけは絶対に返したい…」

茜ちゃんに医療の知識を貰った事、そして今ペストの患者さんの対応した後だから分かる…
壊死している患者さんの匂いは
かつては自分からしていたものと同じものだと…
あの時は目が見えなかったから分からなかったけど…
今ならはっきりとわかる、
茜ちゃんが治療してくれる前まで、
私の痛くて動かなくなっていた手足は壊死していたんだと…
茜ちゃんの知識だと、本来なら壊死した部分を切断する必要があるって事を…
それなのに、今は歩けるし走れる…元通りとまでいかなくても、不自由のない生活が送れてる…
切られた尻尾も治してくれたし、目も治して光を返してくれた…
それに…この先どんな事があっても、体が痛くなったり、もう二度と目が見えなくなったりすることの無いように、絶対健康のスキルまで与えてくれた。

そんな事をしてくれた茜ちゃんをどうやって嫌いになれようか…
この身が受けた大恩を、この身が朽ちるまで返し続けないと…

「ならさ、どうすればいいかわかってるんでしょ?ミクはこの後どうするの?」
「茜ちゃんの所に帰りたい…」

正直どんな顔して会えばいいかが良く分からない…

「帰れば良いじゃない、茜君夕べの事あまり気にしてないと思うよ?」
「そうかな…結構ひどいこと言った気もするし…」
「そうだね…反省なんて絶対にしないって言いきってたもんね…」

反省してるし…そこは言いすぎたと思ってる

「ねぇミク、茜君の性格ってさ、思い立ったら即行動するタイプでしょ?」
「うん…」
「茜君に対して何かしてって期待するんじゃなくて、ついて行けばいいと思うよ、ご飯が出来て30分以内に戻らなきゃ居る人で食べるとかさルール作ればいいじゃない」
「そうだね…」
「ネアもそうだけど、神様なんて、人はどうしたとか関係なく自分が思ったように自由に行動するものだしね」
「お姉ちゃんもそうだね…」
「メグはね…ちょっと自由すぎるかな…もうちょっとしっかりしてほしいんだけどね…女の子らしさもないからねぇ…とりあえず、茜君なら、“言いすぎましたごめんなさい”って言えば許してくれるし細かいこと気にしないで戻りなさい、不安なら先に戻ってミーニャ君とナンシー君に側にいてもらって謝罪すればいいし」
「わかった…帰る…」
「気を付けてね、あんまり慰めるの上手な母さんじゃなくてごめんね」
「そんなことはない…影丸」

ワフ!影丸に乗り自分の部屋に戻った。

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