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第10章 世界へ ポートリタ編

第236話 報告

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 翌日の仕事後

イリーナとライラはミアンにお願いして、私は先に、クゥの所に来て準備をしていた。

「指先の再生出来たし、どこの再生をやるべきかな?」

 前回同様、親指だけでもいいけれど、もうちょっと

『肘から先でいいんじゃないですか?』
「そうしよっか」

 自分の分身の肘と手首の間を切り落とした。

 切り落としてから思った。

「これさ、あれだよね、元の骨が無かったら、肘から手首までの骨をクゥにつくって貰った後、今残っている骨を取り出さないとだよね」
『せやなぁ』
『だが、それだけで切り落とされた腕が帰ってくるなら十分だろ』
『これさ~、元のサイズがわかってれば良いけど、サイズがわからないときはどうするの?』

 フゥの質問に対しては、反対側の健康な腕を元にすれば良いと思った。

「ん?正常な腕の骨を元に作って貰えば良いんじゃ無いの?」
『両腕共に無かったら?』
「ん……」

 参考になる骨が無かったらどうするべきかな……?

『確かに、その場合は元となる骨が作りにくいですね』
「じゃあ、先に筋肉とか周りを再生させてから、見合った骨を作って、骨を埋め込んでいくとか?」
『そうなるだろうな』
「とりあえず、どんな状況でも、再生は出来そうだよね」
『だね~、手とか足見たいに小さい骨の所は大変そうだけどね~』

 確かにそうだ、手の部分とか足の再生のやり方を考えないと、同時に五本以上の骨をちゃんと配置しないとだ。

「これ、アクアかまん丸の方で、再生中に骨を並べるの手伝ってくれないかな?」
『私がやりましょうか、水を使ってくっつけたり並べたりしましょうか』
「ありがとう」

 まん丸ゴーレムと一緒に切り落とした腕を解体して骨を取り出し、アクアに綺麗にして貰った。

 その後は、まん丸と一緒に綺麗に並べた。手根骨と言われる場所は小さい骨の集まりだからこればかりは間違えないようにしないと……。

「クゥ~切断した骨の完璧なのをお願い」

 綺麗な尺骨と橈骨現れた。

「ありがと~、これで十分かな?」
『そうですね、つなげる際にですが、肘関節との位置関係は大丈夫ですか?』
「大丈夫」

 あとは何だろうか?

 エクスヒールポーション、メス、各部の骨も大丈夫。

「準備は大丈夫そうかな」
『そうだね~』

 しばらく待っていると、ミアンと一緒にイリーナとライラがきた。

「連れてきたよ」
「ありがとう」
「何を見せてくれるんですか」

 イリーナが来るなり、台上に横になって腕が切断された私のダミー、そして横の台車の上には綺麗に並べられた骨を見ていた。

「もしかしてですが……、切断された腕を再生させるんですか……?」

 現状を見て判断したかな?

「ぇ、そんなこと出来るの!?」

 イリーナの言葉に、驚くライラ。

「さすがイリーナ先生、その通りです」
「ぇ?マジで?」
「ハイヒールポーション何本使うかわかりませんが、骨が用意されていると言うことは、欠損箇所の再生かと」

 イリーナも、ポーションを注いでいる間のみ再生されることを知っているようだった。

「ラミナさん、もしかして研究所でエクスヒールポーションを買ったんですか?」

 え?
 買えるの!?

「ぇ?買えるんですか!?」
「あれ?違うんですか?」
「クロットさんにスターダストフラワーの粉末を分けて貰ったので、自分でエクスヒールポーション作りました」
「そうでしたか、とりあえず始めましょうか」
「はい」

 肘部分から切断面まで切り、尺骨と橈骨を置き換える所からはじめ、エクスヒールポーションで再生させていく。

 ここで思ったことがある。再生速度が思っていた以上に早い。急ぎ手首の骨である手根骨を尺骨と橈骨の上に乗せる。

 手根骨はアクアが氷でひとまとめにしてくれて助かった。

 手首の再生がすすみ、各指に繋がる骨を並べていく。と綺麗に手まで再生された。

 最終的にエクスヒールポーションが半分以上残っていた。

「ラミナさん、スターダストフラワーの粉末をほとんど使っていませんね?」
「はい」
「イリーナはそんなこともわかるのか?」

 ライラがイリーナに質問していた。

「えぇ、粉末を使えば使うほど、回復量が落ちますからね、逆に粉末をあまり使わずここまでの回復量を見せるとなると、相当な量の魔素を注ぎ込んでいると言うことですからね、そんなことが出来るのは、ラミナさんとミアンさんだけですから」

 さすが、イリーナ良くわかっている。

「はぁ、エクスヒールポーションとか高いだけで使えないって思っていたけど、ここまで回復量があるとなると……」
「そうですね、骨さえなんとかなれば再生可能ですね……」
「一応見せたいというか、報告したいことは以上です」
「ん~、ラミナさんはこの治療をどうしたいですか?」
「ぇ?」

 何か問題があると言うことだろうか?

「ライラ、あなたが義肢を用意した場合、いくらになりますか?」
「ん~、さっきの切断面から先なら大体大金貨4枚位じゃ無いか?」

 大金貨1枚100,000ウル、だから40万ウル、思った以上に大金だった。

「そうなると、その10倍以上の治療費を取る必要が出てくるんです」

 400万ウル……、高ランク冒険者や貴族なら出せそうだけども。

「義肢の作り手を守るため……、ですか?」
「えぇ、少ないですが、アカデミーの卒業生の一部はライラのように義肢職人が居ますからね」
「んと……、治療費とかの事は今まで通りお任せします……」

 実際に、これまでも出産に関することとか、お腹を切った治療なんかも全てイリーナや治癒院の人達にお任せしてきた。対応した対価も一応貰ったが、実費を除いてヴィッシュに預けている。

「これ、骨無い人も治せるの?」
「クゥに依頼して作って貰えばできますよ」
「そうなると、ラミナさんだけしか出来ないので、もっと高額になると思います」
「ぇ……」
「もっというと、エクスヒールポーション自体が元々高額ですからね、並外れた回復量を持っているとなると、割り増しで取らないと行けませんし」
「ん……、あの……、エクスヒールポーションに関してはともかく、必要な人にって思うのですが……」

 どういう対応がベストなんだろうか?
 高額な治療費を取るのがベストなのかもしれないけれど、個人的に大金を取る必要はないとおもっている。

「いや~、腕や足なんか誰もが必要とするよ」

 そりゃごもっともだ……。必要ないと考える人なんて居ないはず。

「ラミナは目も再生出来るんですよ」

 あ、ミアン、それを今言ったら……。

「……、それは見えなくなった目をくり抜いて、エクスヒールポーションを使うだけですか?」
「くり抜く発想がまず沸かないからな……」

 ライラは呆れている?

「まぁ、そうですね……、あ!でもですよ、治る場合もあるし、治らない場合もあるんですよ!」
「まぁ、それでも治る可能性があるなら賭けてみる人も少なくはないでしょうね」
「だね、目は手足より重要だからね」
「とりあえず、この件は少し預からせて貰っても良いですか?」
「あ、良いんですけど、クロットさんの友人の手を治療する約束をしているんですけど……」
「それは対応して貰って構わないです」

 よかった、ダメって言われたらどうしようかと思った。

「とりあえず、どれだけ取る必要があるか治癒院の院長やヴィッシュ先生に相談させてください」
「はい……」
『まぁ、それくらいは仕方ないな』
『そうですね、守るべき人が居ますからね』

そういうのは、分るけれども……、治療法を見つけても直ぐに対応出来ないのが気になった。

 仕方ないことだとは分っているけども……。
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