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第8章 学園生活 収穫祭&学園祭編

第199話 怪盗アレクサンドリア任務遂行2

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 そして、男達が崩れ落ちたことで発生した音で、部屋の外にいた人らが中に入ってきた。

「何が起きてる……!?」
「まずい、この匂いカブリトの麻痺薬!」

 このカブリトの根で作った薬品を知ってる人がいるのか、そう思って発言した人を見ると、ファラだった。

 錬金科の人間だから知ってるのかな……。

「そいつらを外に運び出さないと死ぬぞ」

 倒れた3人を運び出すために、数人が呼吸を止めて3人を引きずって外にはこびだしていた。

 入り口は開放したまま、で皆入り口から離れていた。

「鏡と竪琴は無事か?」
「さぁ、確認できねぇな」

 どうしようか、ちょっとした騒ぎになってきたけれど。

 肝心の小箱は、男達が倒れた弾みで床に落ちていた。

「まん丸、以前キラベルでオークを丘の上に運んできた要領で小箱をこっちに持って来れない?」
『できるよ~』

 小箱が私の居る外壁側にゆっくりゆっくり移動している。

 問題があるとしたら、壁と小箱の間に木箱が置かれているって事くらいだ。

「この後どうやって手に入れようか……、この部屋のしたって部屋がある?」
『あるよ~、人も居ないし、下に落とす~?』
「そうしようか、じゃあまずは下の部屋に行こう」
『は~い、こっちこっち~』

 まん丸の開ける穴が外壁沿いに下に続く。

 滑り落ちないように慎重に降りると、外壁に穴が開いていた。

「ありがとう」
『は~い』

 中に入ると、長らく使われていないのかかび臭かった。

「カビ臭い……」

 私が言うと、エセリアの頭に“!!!”が浮いたように見えた。そして次の瞬間かび臭さとかが無くなった。

「エセリア、浄化してくれたの?」

 エセリアは、私が尋ねると、ニコニコしながら頷いていた。

「ありがとう」

 エセリアが来てからアクアの負担も少し減ったかもしれない。

「まん丸どの辺りに落ちそう?」
『ここらへん~』

 まん丸が教えてくれた位置に移動した。

『落とすよ~』
「うん」

 天井に穴が空き、小箱が落ちてきた。

 問題なくキャッチしてカバンの中にしまった。

「さぁ、帰ろう」
『ほ~い』

 その後は、開けた穴は全て塞いで元の場所に戻ってきた。

「次はお城?」
『ですね、宝物庫に潜入出来るなら、回収した物を宝物庫内の指定された場所に置いて、対価を一つ貰えば怪盗ミッションは終りですね』
「ぇ、宝物庫に入れないときはどうするの?」
『学長に渡せば大丈夫ですよ』
「そっか」

 さぁて、お城に向かうか。

 お城まで来ると、城門の前に2人の騎士が居た。

「これってさ、どう考えても正面からは入れないよね……?」
『せやろ、城やし』
『リタの時代から改修はしているようですけど、作りはあまり変わっていませんね』
『だな、となると左側の庭を抜けて、厨房の勝手口から潜入だろうな』
『そうですね、ちなみに宝物庫はお城の2階にありますよ』
「了解」
『足音には気をつけろよ、消音効果はないからな』
「うん」

 城門を守護する騎士達を横目に、城の左側にある庭に抜けた。

 城の周りを見ながら庭から裏側に回ろうとすると、小さな扉があった。

「厨房の通用口?」
『あぁ、中には2人だな』
『リタの時代に使った手口を教えましょうか』
『せやな』
「お願い」

 どんなことをして潜入したのかが気になる。

『まずは足下の石を拾ってください』

 石?

 疑問に思ったが、言われたとおりに石を拾った。

『次にだ、壁に張り付いて扉をノックする』
「うん……」

 グレンに言われたとおりに、壁に張り付いて扉を3回ノックした。

『人が出てきたら、あの壁に石を投げるんだ』

 ぇ?

 繋がりがよく分らなかった。

「は~い」

 中年女性の声がすると同時に、扉が開いた。

「あれ?居ない?」

 さっき拾った石を壁に投げると……、壁に石が当たり“コツン”と音がなった。

「ん?」

 女性が扉を離れて音のした方に歩いて行く。

『今のうちに中へ』

 厨房の中に潜入!

 こんなやり方があるのか……。

 アクアが先導してくれるようだったので、後に付いていく。

 途中、騎士やら城の文官とおぼしき人達と遭遇するたびに壁に張り付いて自分の口元を抑えて過ぎ去るのを待った。

『警備が薄いですね』
『だな、騎士の数名が学園に行ってるみたいだしな』
『罠って感じや無いな』

 それなら良いんだけども……。

 宝物庫付近には5人の騎士が守っていた。

 慌てて壁に張り付いた。

「これ、闘技場と同じように隣の部屋からとか出来ないかな……」
『この壁の裏が宝物庫だよ~』

 これは……、ここで穴開けたらうろうろしている人達に確実に見つかるだろう。

 どうするべきだろうか……。

「グレン、廊下の奥で音だけでいいから爆発を起こしてくれない?」

 厨房に潜入する時のやり方で、騎士達の気を引いて貰えれば……。

『分った。いいか?』
「まん丸、騎士達の注意が向こうに行ったらお願い」
『は~い』
「グレンお願い」
『あぁ』

 グレンが返事をすると、私が潜んでいる方とは反対側で軽い爆発音が鳴り響いた。

「何だ!?」
「2人はそこに居ろ!」
「「っは!」」

 5人中3人が爆発した方に向かっていった。

そして私の後ろの壁が突如消えたため危うく後ろに倒れそうになった。

「っっととと……」

 倒れそうになりながら宝物庫に入ると、壁が閉じられた。

 物語の宝物庫のイメージとは違い結構綺麗に整理されていた。

「なんか部屋の中央に、金貨とかが山積みにされてるのかと思った……」
『海賊とか盗賊のアジトなんかはそういうのが多いな』

 物語と現実は違うって事かな。

「不正品を置く場所は?」
『そこですね』

 空のケースが置かれている。

私が盗ってきた3品と、クゥが回収した4つの品を置いた。

「んで、何か持って行って良いんだよね?」
『えぇ』
「おすすめは?」
『ありませんね』
『だな、他の奴らにとっては宝って物があるが、ラミナにとって価値のある物は無いな』

 ならば別にいいかな。

「じゃあ、帰ろうか」
『入ってくるよ~』

 まん丸がそういった瞬間、宝物庫の入り口扉が開いた。
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