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第7章 学園生活 不穏な夏休み編

第154話 クラーケン討伐

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 クラーケンを目覚めさせ、キラーウェール達が全力で砂浜に向かっていた。

『覚えましたか?』
「うん、多分大丈夫」
『砂浜が見えてきたら、詠唱しましょう』
「了解」

 左右を見ていて思った。

 私の側に居るのは私を乗せている子と左右で私が落ちないようにサポートしている3頭しか居なくなってる。

「他の子達は?」
『無事ですよ、彼ら自身の被害を押さえるために散開しました』

 なるほど、最悪私の攻撃の手が伸びてきた場合近くに居る子達が巻き込まれる可能性が出てくる。

「それで」
『えぇ』

 どれだけ沖に出ていたんだろうか、なかなか砂浜が見えてこない。

 しばらく、逃げているとようやく目的地の砂浜が見えてきた。

 後ろを見てみると、クラーケンの足とおぼしき物が数本水面から出ているのが見えたけどイカなら泳ぐときは頭が前で足が後方だから攻撃される心配はない気がしてきた。

『そろそろ、詠唱を』

 砂浜まで数十メートルと言うところでアクアからGOサインが出た。

「水の大精霊、ウンディーネよ、我が声に応えて現れよ!
深海の底から、生命の源へと繋がる水の流れよ、我が前に結集せよ!
我はあなたの力を借り、我が願いを叶えんとする!
水の流れよ、我が意志に従い、我が願いを運び、現実のものとせよ!
我が前に姿を現し、我が願いを叶えんとする力を貸し与えよ!いでよアクア!」

 私がそういった瞬間、上空に水の子ども達が集まり大きな魔方陣を形成した。

「あれって他の人達にも見えているの」
『魔方陣なら見えているで』

 精霊じゃなくて魔方陣としてなのかな?

 理屈はよく分からないけど、見えているならよかった。

 そして、上空の魔方陣から海上に降り立つように、背丈が2~3m程あるアクアが姿を現した。

「ふっふふ、我が友よ、要件はなんですか?」

 なんだかいつものアクアじゃない気がする。

「えっと、後ろのクラーケンを倒してくれる?」
「いいだろう、友の頼みを聞き届けよう~それでは凍れ!アブソリュート・ゼロ!」

 巨大なアクアが大声で叫ぶと、大気中の水分が凍りはじめキラキラとした氷の粒子が辺りを舞い、私の数m後ろの海面からクラーケンが居たと思われる場所を中心が瞬時に凍った!

「要件はこれで良いですか?」
「あっ、うん……、ありがとう」
「いえ、また何かあれば呼んでください」
「うん、ありがとうね」

 巨大なアクアがニッコリ微笑むと姿を消した。

 気づけば砂浜も私の足が届く範囲まで浅いところにきていた。

 氷漬になったクラーケンはと言うと、なぜかこっちに向かってきている。

「まだ生きている?」
『いえ、完全に凍結していますよ。キラーウェール達が後ろから押しているだけです』
「なるほど……」

 キラーウェールから降り誘導を手伝ってくれた三頭を撫でてお礼を伝えた。

 私がお礼を伝えると、私の側を離れ仲間達と一緒に巨大な氷を押していた。

 私の側を巨大な氷が砂浜に打ち上げられていく。

『もう大丈夫ですかね』

 アクアがそういうと、キラーウェール達が押すのをやめた。

 海岸近くにいたヴェネスとレンゲを見つけ駆け寄った。

「あの、これで良いですか?」
「えぇ、問題ありませんよ、Aランクでもぬるいですね……」
「そうですね、Sランクの最弱クラスと言われるクラーケンですけど、一瞬でしたもんね……」
「君は水以外にどの属性の精霊と契約をしているのですか?」
「植物と大地と火、グリーサ限定で空間ですかね」

 ルナはどう扱えば良いのか分からないから取りあえず言わなかった。

「結構そろえていますね……、残りは風、光、闇ですかね」
「そうですね、とりあえずAランク昇格に関しては問題ないでしょうね」
「そうですね、私ギルドに戻って手続きするように伝えてきます」
「休日なのに申し訳ない」
「いえ、自慢の後輩のためですからね!ちょっと行ってきます」

 レンゲはそういうと、ロシナティスの町の方へ駆けていった。

「このクラーケンはどうしますか?」
「足を1本キラーウェール達にあげたいんですけど、それ以外は町の人達で食べていただいても大丈夫です」
「1本だけで良いんですか?」
「じゃあ2本?」
「ふっふ、何本でも構いませんよ、他の部分は町の方々に配っても?」
「はい大丈夫です」
 
 見た感じあまり美味しそうに見えないけど良いのかな?

「まん丸、クラーケンって美味しいの?」
『ん~味がしつこくて好きじゃ無いかなぁ~』
『それでも食料に困るこの町には必要な物ですよ』

 まん丸が好きじゃ無いというなら自分の分は不要かな。

「まん丸、キラーウェール達の分だけでも切り分けてくれる?」
『いいよ~』
『それでは、解凍しちゃいましょう』

 私から魔素を受け取ると、砂浜の砂でゴーレムになり、砂鉄から刃物らしき物をつくると、長い足を2本切り離ししていた。

 切り離した足をキラーウェール達が群がり食べていた。

『一応彼らにとっても、仲間の敵だったみたいですよ』
「へぇ、魔素無いのに襲われたの」
『えぇ、クラーケンにとって魔素を持つ者が好物というだけで、空腹時は手当たり次第ですからね』
「私から見たら、キラーウェールの方が強そうだけど」
『クラーケンの皮膚が少し硬いですからね、普通の大王イカなんかならキラーウェールの方に軍配あがるんですけどね』
「そうなんだ」

 まん丸が町の人達の分まで切り分け始めたので、近くで見守っていると。

「キィ~~~」

 海辺の方から鳴き声が聞こえ、そちらの方を見ると、小さなキラーウェールが居た。

「今朝助けを呼びに来た子?」
『そうですね、ラミナを呼んでいるようですよ』

 何のようだろう?

 そんなことを思いながらキラーウェールの側まで行くと、私に体をこすりつけてきたりとじゃれついてきた。

「これって、遊ぼうって事?」
『そのようですね』

 まん丸が切り分け作業しているし、終わるまでならいいっかな。

 そんなことを思いながらしばらくの間キラーウェールの子と遊んだ。

 住民達に切り分けるのが終わったのか、まん丸が元の姿で私の所に戻ってきた。

「ん?終わったの?」
『終わったよ~』

 こっちも疲れてきてみたいだしそろそろ終りにしようかな。

「アクア、そろそろ終わろうって伝えてくれる」
『わかりました』

 アクアが返事をすると同時に、キラーウェールの子が水面から顔を出した。

「キュ~」

 っと一鳴きしたあと、群れの大人達が待っている沖に向かっていった。

「なんて言っていたの?」
『また遊ぼうって言っていましたね』
『懐かれたな』
『せやね~』
「でももう会えないよねきっと」

 なんとなく寂しい気持ちになった。

『どうなんだろうね~こういうのは縁だからね~』
『まん丸の言うとおりです、彼女には魔素視というスキルがありますからね、ラミナが海辺にいれば気づいて寄ってくるかもしれませんよ』
「そうなんだ」

 遊ぶのは楽しかったし、また会えたらいいな。

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