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第7章 学園生活 不穏な夏休み編

第139話 はしゃぎすぎ

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 ミントとアクアとはぐれ、日も完全に落ち辺りは暗闇に包まれていた。

 ランタンに火をともし、レジェンドブラッディベアが寄りかかって居た木に寄りかかって待っていた。

「帰ってこないね~」
『だな……、あいつらどこまで行ってんだ……』
『大量だよ~』
「もうすぐ戻ってくるの?」
『うん~直ぐ近くまで来てるよ~』

 鳥の鳴き声以外に川の音位しか聞こえない静かな状態だった。

「この近くに魔物っていないの?」

 地の子達が集まってきているのに何事もなく過ごしている。

『レジェンドブラッディベアが居たからこの辺りの魔物や動物は避けてるんだよ、おまけにこの木に匂いがまだ残ってるからな』

 匂い?

 大きく鼻から息吸ってみるけど獣の匂いなんて感じなかった。

「ん~?臭くないよね?」
『人の鼻には嗅ぎ取れない匂いだと思えば良い』
『あとはね~ラミナの魔素量がおかしいから賢い魔物は寄ってこないよ~』
「私避けられてるの?」
『賢い奴らだけな、狼系やさっきのベア系なんかは考えないから襲ってくるぞ』
「なるほど……」

 そんな雑談をしていると、目の前に巨大なイノシシ系の魔物や、山羊の魔物等の死体が落ちてきた。

 これは覚えがある。スペルンサバイバル学習の時にも似たようなことがあった犯人はミントだ!

 17体の死体が落ちてくると、今度は別方向から氷漬けされたイノシシ系だの猿系だのワニ系の死体が降ってきた。

 死体が降って来なくなったことを確認してから各死体をカバンにしまった。

 死体を回収していると、2人が戻ってきた。

『おっせぇぞ……』

 グレンがちょっと怒っている様子だった。

『すいません、久々に解放したのではしゃぎすぎました』
『うちもや、堪忍な』
『ごちそうだね~』

 まん丸は怒るどころか機嫌が良さそうだ。

 死体を回収し終わりイスコの町に戻った。

 町に戻り時計を見ると19時を回っていた。

「ちょうど夕食時だね」
『お肉食べたい~』

 久しぶりにまん丸からリクエストが飛んできた。

「どこか良いお店ある?」
『こっち~』

 まん丸がふわふわ~っと飛んで行くのをグレンが制し。

『その前にだ、明日の朝までに終わる分だけでも解体依頼だしとけ』
「あっ、そうだね」
『そうだね~、じゃあこっち~』

 まん丸の誘導でイスコの冒険者ギルドに着いた。

 時間も時間だからだろうか?

 冒険者が居らず、ギルド内は空いていた。

 レジェンドブラッディベアのクエスト票を探すために掲示板を回って見るも、帝都やキラベルとは違いクエスト票の数が多くなかった。

 掲示板を見ていて思った。

 討伐クエストが多いけど、町中のクエストは全く見なかった。

『レジェンドブラッディベアはこれだね~』

 まん丸が教えてくれたクエスト票は掲示板の上の方に掲示されていた。

 背伸びしてみるが届かない……。

『死体あるんやし、先にカウンターに行けばええんちゃう?』
「そうだね」

 クエスト票を取るのを諦めクエスト報告のカウンターに向かった。

「すいません~クエスト票が届かなくて無いんですけど良いですか?」
「はい、大丈夫ですよ、どんなクエストですか?」
「レジェンドブラッディベア討伐です」
「ぇ……?討伐部位はお持ちですか?」

 カウンター奥にいる女性の職員が少し驚いていた。

「死体なら丸々持ってきてます」
「ふぅ……、分かりました。それでは裏の解体所まで着て貰っても良いですか?」

 ため息つかれた?
 落ち着くためだろうか?

 大きく息を吐いてから私に言った。

「はい」
「ジェシカ少し離れます。冒険者が来たら対応お願い」
「はい!」

 話をしていた女性の職員に代わり、リンクル族の女性職員が来た。

 私と話をしていた職員がカウンター側からこちらに来た。

「えっと……、冒険者カードを見せて貰っても良いですか?」
「あっ、はい」

 慌ててカバンから冒険者カードを取り出し、女性の職員にわたした。

「ラミナさんね、私に付いてきてちょうだい」
「はい」

 職員について、カウンター奥の通路を通りギルドの裏側に出ると、大きな倉庫と思われる建物の前まで案内された。

「デュークさんいます~?」

 職員が建物の扉を開け叫んでいた。

「ん?どうした?ヒナじゃないか何かあったのか?」

 建物の奥から、ドワーフとおぼしきひげを生やした小さなおじさんが出てきた。

「こちらの子がレジェンドブラッディベアを討伐したようで」
「ん……?おまえさんどこかで会ったか?」

 デュークと呼ばれたドワーフが私を見るなり言った。

 私の記憶の中では会った記憶は無いはず……。

「いえ初めてかと思います……」
「ふ~ん、そうか、ここに来たって事は死体まるごと持ってきたってことか?」
「えぇ」
「そうか、中で出してくれ」
「はい」

 ヒナと呼ばれた女性職員と共に中に入るとすごく広いスペースが広がっていた。

「ここに出して良いですか?」
「あぁ」

 カバンからレジェンドブラッディベアの死体を取り出した。

「ほんとうにレジェンドですね……」

 信じて貰えてなかった!?

「あぁ、報告にあがってた奴だな……、嬢ちゃんこいつどこで仕留めた?」

 デュークが死体の周り歩きながら聞いてきた。

「森の奥にある木で寝ていました」
「巣か?もう一つ聞く、こいつをどうやって仕留めた?報告に上がっている傷しかねぇし、致命傷になったと思われる外傷が見当たらないんだが……」

 なんて言えば良いのだろう?

「えっと、精霊さんが心臓を凍らせたそうです」
「あぁ、おまえさんをどこかで見たと思ったが、アカデミーの学内武道会か」

 デュークは納得した表情を見せていた。

「ぇ?」
「俺の息子が、ペア部門で決勝進出したから応援に行ったんだよ、1回戦で王女のペアにやられてたが……」

 王女のペアってことは、ミッシェル、ミアンペアか。

「あの日、闘技場に居たんですね」
「あぁ、おまえさんが出した精霊達の戦いも見てたぞ」
「それじゃあこの子って……」

 ヒナと呼ばれていた職員が私の方を信じられないと言った表情を見て言った。

 失礼な気もするけど……?

「あぁ、向こうで聖女の再来と呼ばれてる奴だな、こんなやつ相手にしたらレジェンドでも赤子同然だろう、こいつ以外にもなにか狩ったのか?」

 こんなやつって私のことだよね?

「あっ、はい、それも出せば良いですか?」
「あぁ」

 ミントとアクアが狩ってきた魔物達を出していく。

「キラーアリゲーターにクロップゴートかAランクが混ざってるな、嬢ちゃんのランクは?」
「冒険者カードにはDとなっていましたね……」
「ありえないだろ、剣聖を赤子扱いする精霊を従えてるのによ……」

 クゥVS騎士団長の話だ。

「まぁいい、システムが合ってないだろうよ、こいつら全部ばらすとなると2~3日かかるがいいか?」
「あっ、出来たら明日の朝までに終わる分だけでお願いしたいんですが……」
「明日の朝かレジェンドだけになるがいいか?」
「はい、大丈夫です」
「わかった、他の死体はしまってくれ」
「はい」

 言われたとおりに、レジェンドブラッディベアの死体以外をカバンにしまった。

「それではレジェンドの討伐報酬を用意しますね」
「お願いします」
「それでは後ほどカウンターの方に来てください」
「はい」

 私が返事をすると、職員が駆け足でもどっていった。

「解体でも見学していくか?」
「あっ、いやいいです」
「そうか、明日の8時頃には終わらせとく」
「お願いします。それじゃあ」
「あぁ」

 その後はカウンターに向かい、討伐報酬の金貨8枚を受け取り冒険者ギルドを後にした。

 ギルドを後にし、まん丸おすすめのお店で肉料理を堪能してから宿に戻った。
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