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第5章 学園生活 学内武道会&アカデミー7不思議編

第115話 決勝トーナメント 開会式

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 決勝トーナメント当日の朝、闘技場に到着すると、ソロ部門、ペア部門、パーティー部門それぞれのトーナメント表が掲示板にでかでかと張り出されていた。

ソロ部門を見ていると、第1回戦でファラVSジョーイ、決勝まで進んでハンゾーとぶつかるような組み合わせだった。

『ジョーイの相手があかんわ』
『だな、こればかりは運だからしかたあるまい』
「空から弓で射ればよくない?」
『無理だな、おそらく矢掴みが何度か見られるだろう』

 即答えるあたりジョーイに勝ち目はないのだろうか?

 そもそもファラがジョーイに攻撃する手段すらないようにも思うけど。

 ペア戦のトーナメント表を見てみると、ミアン・ミッシェルペアとファラ・ハンゾーとぶつかるとしたら2回戦、決勝でプリム・ミラペアとぶつかる。

『ちょっと不運ですね』
『だな、ファラ・ハンゾーペアが2回戦で、決勝でプリム・ミラか』

 VSプリム・ミラペアは私が入学試験でやったようなことをすれば勝てるのは知っているけど、物理特化のファラ・ハンゾーをどうやって攻略するのだろうか?

『せやなぁ、またハンゾーの刀折る?』
『ぇ~もう作らないよ~』
『だろうな、ミアンの奥の手に気づかなければ二の舞だろ』
『試合開始と同時にリング上を凍らせてしまえば早いですよ』

 確かにアクアなら出来そうだけど、

「そんなこと考えているの?」
『えぇ、既にミアン達は作戦立てているようです』
「1回戦でも手の内さらしそう?」
『どうだろうな、ミッシェルの槍だけでもどうとでもなりそうな相手だったが』

 そうなれば、手の内をさらす前にファラ・ハンゾーとぶつかる。勝率がずっと上がりそうだけど、どうなるかな?

 パーティー戦は、もうプリム・ミラ・ハンゾー・ファラチームが圧倒しているので見応えがあまりないかな?

 トーナメント表を見終えて観客席の前の方に空きがあったので席を確保した。

「あら、ラミナさん」

 お隣の生徒を気にかけてなかったけど、ミッシェルグループのラミィーだった。

「ラミィーさんおはよう」
「おはようございます、今日はミッシェル様の雄姿が見られますよ」

 ミッシェル信者らしい台詞だなぁ。

「そういえば、ラミィーはミッシェルと出身地同じなんですよね?」

 4月の自己紹介を聞いてみた。

『宰相の孫らしいで』

 最近他の人から答えが帰ってくる前に精霊達が答えを教えてくれるようになっている……。

「そうですわ」

 えっとどうしよう、ミントが教えてくれたおかげで会話が……。

 そう思った瞬間視線を感じ、視線を感じたほうを見ると、謁見台付近に視線を持って行ったときに1人の女性騎士と目が合った気がした。

闘技場に設けられた謁見台に男女の騎士2人と先日あった公爵にもう一人の男性がいた。

『ラミナ、女性の騎士が騎士団団長で、隻眼の乙女と呼ばれている方です』
「あぁ、以前ライラが作っていた眼を採用したっていう……」

 “隻眼の乙女と呼ばれている方”とアクアが言ったように義眼を採用したにもかかわらず、片方の目を眼帯で覆っていた。

『えぇ』
「まだ隻眼じゃん?」

 私の錯覚じゃなければはっきりと眼帯をしているようにみえる。

『今は健康な目の方を覆っているようですよ』
『義眼の方が性能ええもんな』
『義眼ならあそこからでもここの場所はっきり見えるもんね~』
「目が合ったの気のせいじゃなかったりするかな?」
『ラミナをはっきりと見ていたぞ』
「なんでまた……」

 私の中では目を付けられるような事をした覚えはないけど……。

『強者の気配だろ』
『ラミナの魔素量は異常やしね』
『だね~』
『一応彼女は剣聖を持っていますからね、ラミナの持つ気配は彼女も感じ取れたんでしょうね』
「私ってそんなに異常なの?」
『そりゃも~、ラミナがこの国の敵に回ったら余裕で滅ぼせるくらいには~』
『リタやないんやから、そないなことせんやろ』
『仮の話ですからね、まん丸の言うとおりラミナがこの国滅ぼしてって言えば私は全力でやりますよ』
「いやいやいや、やっちゃだめでしょ!」

 アクアのことだから、この国の全てをこおりづけに出来そう。

「なんか楽しそうですわね」
「ごめん、うるさかったよね」
「いえ、ラミナさんを見ていると飽きないので大丈夫ですわ」

 私はどんな目で見られているの!?

 その後、開会式が始まり、皇帝の言葉やらなんやらで会場は大いに盛り上がっていた。

 予選の開会式の挨拶の時同様なぜ盛り上がるのかが分からなかった。
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