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第5章 学園生活 学内武道会&アカデミー7不思議編

第109話 アカデミー7不思議

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ペア予選が終わった4日目の夜、ミアンに誘われてミッシェルと一緒にミアンの部屋で予選お疲れ様会に参加していた。

 机の上にはツキとミッシェルのメイドが作ってくれた料理が並び準備が出来ると。

「それでは~予選お疲れ様でした~」
「お疲れ様~」
「お疲れ様ですわ」
 
 ミアンの乾杯の音頭に私とミッシェルが続いた。

「決勝進出おめでとう!」

 始まる前にも2人には伝えていたが、改めて私は2人をお祝いした。

「ありがとう~」
「ありがとうございます」
「ミッシェルの槍裁きグレンとアクアが褒めていたよ、伸びしろがまだあるのに完成度が高いって」
「精霊様に褒めて貰えるとは光栄ですわ」

 ミッシェルはうれしそうな笑顔を見せた。

「だよね~私もミッシェルの槍裁き見ていてすごいって思ったもん」
「幼少の頃から、槍術の鍛練を積んでいれば、お二人も私のようになれますわ、今からでも槍術を学んでみてはいかがですの?」
「ミッシェルの槍すごく重いよ……、私には無理かな……」

 ミアンは持ってみたことがあるという事だろうか?

「そんなに重いの?」
「うん、騎士の人たちが持つ槍と同じ位だった」
「当然ですわ」

 大人用の槍を8歳の子どもが精霊に褒められるレベルで使いこなしているのか。

 どれだけ血のにじむような鍛錬をしてきたのだろうか?

「ん~私も難しいかな……?」
『ミッシェルほどじゃないが、慣れればある程度出来ると思うがな』

 今はハンゾーに教わっている柔術をマスターしてからだと思う。両方に手を出したら中途半端になりそう。

「そう……、そういえばラミナさん」
「うん?」
「最近噂になっているアカデミーの7不思議って知っています?」

 急に話題が変わった。

「ミアンがこの前ダンスホールがどうとか言っていた奴だよね」
「そうですね、どうして今そんな話を?」

 ほんと、どうしてだろうか?

「実は今日の日中にリック先生が見たそうなんですの」
「ぇ?日中にですか?」
「えぇ、13時頃に鍵のかかったダンスホールで見たんですって」
「あれ?夜の話じゃないの?」
『夜だけとは限らんわ』
「いくつかのお話は日中のことなんですの」

 ミッシェルの前にミントが教えてくれた。

「そうなんだ」
「ラミナの為に私がお教えしましょ~、まずはダンスホールの怪!見回りしているとダンスホールの方からピアノの音が聞こえてくるんです。ダンスホールの扉にあるガラス越しには中に人が居るのですが、扉を開けると消えてしまうんです!」

 それはこの前言っていた奴だ。

「2つめ!花摘みに行った女生徒が消えるお手洗い!どこのお手洗いかは詳しく分からないのですが、どこかの一番奥の個室だそうです。見慣れぬ生徒が居て声をかけようと女生徒の後を追いかけると、お手洗いに入ったところまで見たんですが、一番奥の個室だけが使用中になっていたのですが、いつまで経っても出てこなくて、鍵を開けたらもぬけの殻だったんです!」
「へぇ~」

 お手洗いに入ったと見えたけど、実は隣の教室とかじゃないのかな?

「3つめ!グランドに響き渡る剣戟音!真夜中のグランドに響き渡る謎の剣戟の音!校舎内を見回っていると、グランドの方から剣戟の音が聞こえ、慌ててグランドの方に行くも誰も居ない、グランドを確認して校舎内に戻ると、再び剣戟の音が……」
「うん」

 先生に気づいた2人の生徒が隠れて見つけられなかったとかそういう落ちじゃないのかな?

「4つめ!夜の騎士科棟に現れる謎の首無し騎士デュラハン!これも夜見回っていると甲冑を着た者が出す独特の足音と甲冑同士がぶつかり合う音が聞こえてくるんです。音のする方に行くと首なしの騎士が廊下を徘徊していたそうです」
「首が無いの?」
「えぇ、なんでも自分の首を探してさまよっているって話なんです」
「はぁ……」

 首が無かったら動き回れないし、それ以前に見えるのかな?
 それ以前に絶対に盛られている気がする。

 これが以前言っていた。あやかしとかいうやつ?

「5つめ!錬金科の動く人体模型!夜の錬金科棟に行くと走り回る人が居るそうなんです。後を追いかけていくと、やっぱり誰も居ないんですが、錬金科棟の医務室のベッドに横になっていたそうです!」

 人体模型って職員室にあった気がするけど、医務室のベッド移動したの? 

「6つめ!基礎学科棟の階段にある踊り場の姿見の怪!これは夜でも日中でも起こるのですが、階段を上っていくと、目の前にある姿見があるんですが、自分の後ろに誰もいないのに鏡の中には誰かが居るんです!後ろ確認して鏡を見ると後ろに居た人が消えているんです!」

 で?

「襲ってくるとか……?」
「いえ、襲ってこないです。ただ後ろ誰もいないのに姿見には誰かが居るんです!怖くないですか!?」
「そう?」

 今のどこに怖がる要素があるのだろうか?

 錯覚とかじゃ無いのかな?

「最後7つめですが、これも基礎学科棟の屋上に続く階段の段数が変わる怪!普段15なんですが時間によってなのか14段だったり16段だったりとか……」
「で……?数え間違いとかじゃないの……?」
「そう思いますよね、でも一緒に居た生徒も数えているので間違いないと思いますよ!」
「そうなんだ」

 ん、少し不思議な感じはあるけど、私からしたら割とどうでも良い話。

『ッフッフフ、いつになっても変わりませんね』
『せやね、リタの時も似た話あったな』

 昔っからあるってことだろうか?

「ラミナさんは怖いと思いませんの?」
「ぇ?なにが?」
「不気味だと思いませんの?」
「んまぁ、不思議だと思うけど、怖いって思う要素はないかな?」
「んま」
「ラミナは冷静ですからね~、怖いって感情がなさそうですよね」
「失礼な、魔物とか怖いって思うよ?」

 私が目撃する前に精霊達が対処しているせいかあまり見ないけども……。

「そうですか?スペルンのサバイバル学習の時も皆緊張しているのに、ラミナだけいつも通りだった記憶がありますよ」

 確かに緊張していた記憶は無いかな、あの時はミントとアクアがなんとかしてくれるって思っていたから、いつも通りだった気がする。

「精霊が居れば別になんとかなると思っているから……」
「うらやましいですわね」
「でも実際になんとかなっていますもんね、スペルンウルフが一斉に押し寄せてきたとき、私達何もしなくても終わっちゃいましたし」
「でしょ、だから必要以上に何か考える必要は無いかな」
「ん~それでは、これから校内探索しません?」

 時計を見てみると既に19時回っている。

「ぇ?怒られない?」
「おじいさまに言えば多分大丈夫でしょ」

 学長に許可を貰う気ですか。

「いいですわね」
「ぇ、ミッシェルも乗り気なの?」
「えぇ」

 ついて行かなきゃダメな流れ!?

 ツキとミッシェルのメイドの方を見ると、ただニコニコしてこちらを見ているだけで止める気配が無かった。

「ん~わかった、先生の許可が貰えるなら良いよ」
「決まりですね!それでは早速出かけましょう!」

 こうして夜の学校探索することが決まった。
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